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カーリング世界選手権で過去最高タイの4位入賞。タフな武者修行を続けるコンサドーレの次なる目標とは。

竹田聡一郎スポーツライター
セカンド谷田(左)とリードの阿部(右)は高いパフォーマンスを見せた(著者撮影)

「こっから先は修行っす」

 スキップの松村雄太(永山運送株式会社)は、ラウンドロビン(予選リーグ)突破を4位で決めたあと、そう言って苦笑いを浮かべた。それでも、強い相手と楽しそうにプレーしているようだけど、と伝えると、うーんと首を傾げる。

「楽しいっちゃ楽しいんですかね。でも正直、そこまで到達してないというか、そんな余裕はないっすね」

 初の世界選手権に挑んだ日本代表のコンサドーレは、大会序盤から好調を維持し、今季のツアーランキング首位を走る準優勝のカナダ代表チーム(Koe)に勝利するなど星を稼いだ。9勝3敗の4位でラウンドロビン(予選リーグ)を通過したが、サードの清水徹郎(株式会社シズナイロゴス)が「楽な試合なんてなかった。ギリギリで食らいついていけたのは良かったけれど、大会前は『1勝もできないかもな』と思ってたくらいですから」と語ったようにタフなゲームが続いた。

 それでも大会を通して90%のショット率を残したリードバイスの阿部晋也(コンサドーレ北海道スポーツクラブ)、セカンドでトップの数字を出し大会オールスターに選出された谷田康真(北海道クボタ)らフロントエンドが、丁寧なセットアップと献身的なスイープでチャンスを作ると、WCF(世界カーリング連盟)のリポートで「Japan keeps making those clutch shots」と評されたようにキーショットを粘り強く決め続ける。

 ただ、松村が「修行」と位置付けたプレーオフはさらに厳しさを増した。準々決勝で平昌五輪金メダルチームのアメリカ代表(Shuster)との撃ち合いをなんとか制すも、準決勝では4度目の優勝を決めたスウェーデン代表(Edin)に、3位決定戦で平昌銅メダルのスイス代表(De cruz)にそれぞれ屈した。日本の男子カーリングにとって初の世界大会でのメダルはお預けとなった。

 特にスウェーデン代表との準決勝は、「今はまだ攻略の糸口が見つからない。テイクが別格にうまいのは理解していたけど、難しいドローも決めてくるなんてチートですよ。3年後(の北京冬季五輪)までにはなんとかしないと」と松村が盛大にボヤいたように力負けだった。

 谷田も「先にミスが出るとああいう強いチームには勝てないし、欲しいところにポイントで石を置かないと勝負にならない」と後手を踏んでしまった準決勝を振り返ったが、逆にスイスとの3位決定戦ではスコア的にも石の配置でも、序盤は主導権を握っていた。

「前半の5エンドはぼくたちがゲームをコントロールして、追わせる展開にできた」と松村は手応えを感じ、スイス代表のスキップ、ピーター・デ・クルースも「日本はほとんどのエンドで完璧なプレーをした」と日本の健闘を讃えたようにメダルに手がかかっていたように見えた。

 しかし、デ・クルースが「1つの良くないエンドがすべてを変えてしまった」と指摘したように7エンドに4点を失ってしまう。清水は唇を噛んだ。

「4点取られたところは僕のミス、しかもやっちゃいけないところで前(ガード)に当たったところから始まって。やっぱりレベルの高い相手だと、そのミスを拾われてしっかり大きなスコアに繋げてしまう。予選ではそれでも挽回できてたんですけれど、(上位のチームは)挽回させてくれないので」

 スイス戦の敗戦直後、「勝ちが見えていただけに、とにかく悔しい」と涙を浮かべながら松村は新たな決意を語ってくれた。

「この悔しさを授業料にしなくては意味がない。1年目でここまで来られたので、来年はもっとよくなると思う。何をしたらいけないのか、自分たちはどうしたいのか、少しずつトップチームとの戦い方が分かってきた。それをやるための技術をどう上げるか考えていかないと」

 チームはカルガリーからバンクーバー経由で9日に帰国するが、23日からサスカチュワンで開催される今季最終戦にしてツアー最大タイトルのひとつ、チャンピオンズ杯に出場するため、中1週間ほどでカナダに戻ることになる。

 そこでは既にEdin(スウェーデン代表)やShuster(アメリカ代表)と予選から対戦することが決まっており、他にも歴代の世界王者、五輪メダリストなどが集う。あるいは世界選手権以上のレベルのチームがひしめく伏魔殿だ。

「そこで勝つにはもう一段階上げないといけない。相手はシンプルなショットを完璧に決める。それを繰り返してくるので、そこで何をやっちゃいけなくてどう対応するか」(阿部)

「そういう試合でしか経験できないものはあると思うので、1試合1試合大切に戦いたい」(清水)

「世界との距離は思ってたより近いんですけど、近くまで行くとその壁はかなり厚かった。そんな感じです。でもなんとか破っていかないと。今回の悔しさを忘れず頑張ります」(松村)

 さらに険しい高みへ。コンサドーレの武者修行は続く。

スポーツライター

1979年神奈川県出身。2004年にフリーランスのライターとなりサッカーを中心にスポーツ全般の取材と執筆を重ね、著書には『BBB ビーサン!! 15万円ぽっちワールドフットボール観戦旅』『日々是蹴球』(講談社)がある。 カーリングは2010年バンクーバー五輪に挑む「チーム青森」をきっかけに、歴代の日本代表チームを追い、取材歴も10年を超えた。

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