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ロコ・ソラーレvs.北海道銀行、グランドスラム「Boost National」での対戦が実現

竹田聡一郎スポーツライター
14年の日本選手権での吉村。今季は5年ぶりのスキップ復帰となった(著者撮影)

 カナダのコンセプション・ベイ・サウスで12月11日に開幕する、カーリングのグランドスラムのタイトルのひとつBoost Nationalの出場チームとラウンドロビンのスケジュールが発表された。

 日本からはFujisawa(ロコ・ソラーレ)とYoshimura(北海道銀行フォルティウス)の2チームが参戦し、さらにこの2チームはラウンドロビン最終戦で対戦することが決まった。

 グランドスラムとは、テニスやゴルフのメジャーと同じく、シーズンのツアーの中でもグレードと賞金額の大きなタイトルを指す。今季は新設されたワールドカップを含むと66のツアータイトルがあるが、そのうち7つがこのグランドスラムに認定されている。

 両チームは既に今季、グランドスラムに1度ずつ参加している。

 ロコ・ソラーレは10月にトロントで行われたマスターズに出場。タイブレークの末に惜しくもクオリファイを逃したが、今季は11月のパシフィック・アジア選手権なども含め、出場した大会で安定した成績を残している。

 まだ優勝こそないがPACC後に吉田夕梨花が「今までやってきたことと、新しくトライしていることが繋がってきた」と一定の手応えを掴んでいる。チームは国内での合宿を張った後、12月上旬に米ネブラスカ州・オマハで開催されるW杯の2nd legに挑み、そのままカナダ入りする予定だ。

 北海道銀行は今季、ロコ・ソラーレのようにジャパンとしての実績は加味されないが、今季の初戦となった地元札幌の「どうぎんクラシック」の3位でスタートさせると、2戦目のオンタリオ州・オークビルで開催されたOakville Fall Classicを制す。9月末に短い帰国を挟んでから欧州で転戦し、スウェーデンやスイスなど、欧州のアイスでも3大会すべてで準優勝1度を含むクオリファイを果たす。その戦績が認められ、11月にサンダーベイで開催されたグランドスラムのツアーチャレンジTier2に招待される。そこでもファイナリストになるなど、ゼロから実績を積み、最高峰の舞台に駆け上がった形だ。

 グランドスラムのHPのチーム紹介では、「Yoshimura is now in charge of the team formerly skipped by Ayumi Ogasawara.」と、新スキップとして吉村紗也香がその役割を担うことが触れてられていたが、今季の抱負として彼女は「勝負を決める一投を投げるので、少なからずプレッシャーはあると思う。それでも決め切るスキップでありたい」と語っていた。

 お互いにスキップとしてロコ・ソラーレの藤澤五月とは、吉村が札幌国際大学、藤澤が中部電力にそれぞれ所属していた2014年の日本選手権以来、4年と10ヶ月ぶりの投げ合いとなる。どちらのスキップがチームを勝利に導くことができるか注目だ。

 グランドスラムで日本のチーム同士が対戦するのは、史上初の快挙だ。

 今季、両チームの対戦はまだ実現していない上、2018の日本選手権は平昌五輪開催の関係でロコ・ソラーレは出場していない。

 また、ロコ・ソラーレは軽井沢国際に出場しないため、全日本(2月/札幌)の前哨戦としても興味深いが、その舞台がグランドスラムというのは日本カーリング界の偉大な進展と表現しても大袈裟ではないだろう。

 加えて、中部電力や富士急といった国内トップチームも今季は各地でクオリファイを果たすなど、着実なボトムアップができている。来年2月の全日本は、かつてないハイレベルなものになるだろう。

 ロコ・ソラーレ対フォルティウスの“北海道クラシコinグランドスラム”は現地時間12月14日に行われる。強いニッポンのカーリングを世界最高峰の舞台で見せつけてほしい。

スポーツライター

1979年神奈川県出身。2004年にフリーランスのライターとなりサッカーを中心にスポーツ全般の取材と執筆を重ね、著書には『BBB ビーサン!! 15万円ぽっちワールドフットボール観戦旅』『日々是蹴球』(講談社)がある。 カーリングは2010年バンクーバー五輪に挑む「チーム青森」をきっかけに、歴代の日本代表チームを追い、取材歴も10年を超えた。

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