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カーリングミックスダブルス世界選手権。山口剛史&藤澤五月ペア、4戦を終え2勝2敗のタイに。

竹田聡一郎スポーツライター
ポーランド戦。藤澤は慣れないスイープも無難にこなした(著者撮影)

 スウェーデン・エステルスンドで開催中のカーリングミックスダブルス世界選手権で、日本代表の山口剛史(SC軽井沢クラブ)と藤澤五月(ロコ・ソラーレ北見)ペアは、世界ランキング4位の強豪ロシア代表に競り勝ち、通算成績を2勝2敗とした。

 初戦のニュージーランド、続くエストニアと連敗スタートとなった日本は、世界戦特有の曲がり滑るアイス、クセのある石、ミックスダブルスで求められるタップやレイズの細かな精度に戸惑っていた。山口は「作戦もアイスも投げもどれも分かってなかった」と苦笑いで振り返るが、負け試合の中で勝つための方法を探り続けた。

 藤澤が「特にエストニアのショットや作戦が参考になった」と語ったように、空き時間もホールに足を運び他チームの試合を観察し、JDコーチや長岡はと美コーチらとリスクを減らし先攻でも相手にプレッシャーをかけるショットセレクションを話し合った。山口はロシア戦で「フォース」、つまり先攻で相手に1点を取らせるような形を作り続けることに成功したのが勝因と分析したが、多くのエンドでハウス内に日本のストーンを散らすことができたのはその成果だろう。

 ショットに関しては「ここに来てから、さっちゃんも僕も投げの感覚は日に日に良くなっている」と一定の手応えを得ているように、カマーやレイズといったミックスダブルスに不可欠なショットの成功率も上がってきた。

 特に藤澤はポーランド戦に続き、ロシア戦でも相手が仕掛けてきたパワープレーをいなすウィックを決めるなど、本来の勝負強さが戻ってきた。ミスがまったくないわけではないが、エクストラエンドのラストショットを含め、キーショットはしっかり沈める。頼もしい相棒に対して「スキップらしさ、メダリストらしさを発揮してくれた。これからさらに良くなっていくと思う」と、山口の言葉には期待がこもる。 

 予選リーグは残り3試合。現地25日は朝8時からリトアニア、14時半からはカザフスタンとの2試合を戦う。連勝すれば日本勢として7年ぶりのクオリファイ(16強進出)が現実的になってくるが、「これまで同様まずは一投一投、大事に投げたい」(藤澤)、「しっかりアイスを読んでショットを決めるのが最優先」(山口)とまずは一戦必勝の構えだ。

「ゲームごとに課題が出てきて、翌日にそれを達成できている。今日のゲームでも課題は出たけれど、だいぶ小さいものになってきた。また明日、それをクリアしたい」

 課題をクリアする日々を過ごせば日本勢初の4強進出も夢ではない。彼らの戦いは続く。

スポーツライター

1979年神奈川県出身。2004年にフリーランスのライターとなりサッカーを中心にスポーツ全般の取材と執筆を重ね、著書には『BBB ビーサン!! 15万円ぽっちワールドフットボール観戦旅』『日々是蹴球』(講談社)がある。 カーリングは2010年バンクーバー五輪に挑む「チーム青森」をきっかけに、歴代の日本代表チームを追い、取材歴も10年を超えた。

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