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カーリング日本選手権、男子はチームIWAIが初優勝

竹田聡一郎スポーツライター
難しいアイスでもシンプルショットを我慢強く決め続ける粘り勝ちだ(著者撮影)

 第35回全農日本カーリング選手権が北海道立サンピラーパーク(名寄市)で行われ、チームIWAIが初優勝を果たした。

 決勝は昨年の準優勝で、下馬評では圧倒的に優位なチーム北海道(4REAL)との対戦だったが、スキップの岩井真幸の「必死に食らいついていければ、どこかでチャンスがあると思っていた」というコメントが象徴するように、技術と実績に勝る相手にも臆さずに好ショットを投げ続けた。

 4エンドでは混みいったハウスを前に、No.1ストーンを作らないと2点をスティールされるタフなラストロックを残した。しかし、フォースの青木豪が試合後に「序盤はオープンドローで苦しんでいたけど、あれを決めて落ち着けた」とキーショットとして挙げた、情報の少ないパスを使ったドローをしっかりと沈め、前半を1-1のタイで折り返した。

 タイトなスコアのまま迎えた後半もアイスをクリーンにするというベースはブレなかった。7エンドでは岩井の見事なトリプルでピンチを脱すと1点をスティールし、今大会を通して初めてチーム北海道からリードを奪う。続く8エンドではさらに2点をスティールで加点。これで大勢が決した。名寄特有のストレートアイスと、大会MVPにも輝いた岩井の選ぶシンプルなショットがうまく合致して勝ち取った栄冠だった。

 逆にチーム北海道は、スキップ・阿部晋也が「タイトなスコアの中で我慢が足りなかった」と悔しさを滲ませながら語ったように、ショットセレクションと結果が最後まで伴わなかった。4年後の北京五輪を目指すチームの授業料としてはかなり高くついたが、これを糧にさらなる強化を求められることになるだろう。

 チームIWAIは日本代表として米ラスベガスで3月31日から開催される世界選手権に挑む。

「失うものはないので当たって、砕けちゃダメだけど、いい結果を残せるように頑張ろうと思います」(岩井)

 4年後の北京五輪に関わるオリンピックポイントは付与されない興行ではあるが、だからこそ伸び伸びと世界を体感し、男子カーリング界の未来に繋がるゲームをしてほしい。

 チームIWAI

リード・青山豊(あおやまゆたか)、1984年9月21日札幌市出身。札幌市役所勤務。

セカンド・宿谷涼太郎(しゅくやりょうたろう)、1995年12月6日札幌市出身、北海道学園経済学部。

サードスキップ・岩井真幸(いわいまさき)、1985年7月31日宝塚市出身。札幌道庁勤務。

フォース・青木豪(あおきごう)、1999年12月6日札幌市出身。北海道札幌厚別高等学校。

リザーブ・似里浩志(にさとこうじ)、1980年6月3日新潟市出身。旭川市役所勤務。

2014年に岩井や青山らがベースとなるチームIを結成し、札幌協会のリーグ戦に参加。青木が16年に加入する。18年、宿谷と似里がセンター試験を控えていたメンバーの代わりに全道大会から加わり現在のチームで優勝を果たし、日本選手権に出場した。監督は青木豪の父である美憲が務める。

スポーツライター

1979年神奈川県出身。2004年にフリーランスのライターとなりサッカーを中心にスポーツ全般の取材と執筆を重ね、著書には『BBB ビーサン!! 15万円ぽっちワールドフットボール観戦旅』『日々是蹴球』(講談社)がある。 カーリングは2010年バンクーバー五輪に挑む「チーム青森」をきっかけに、歴代の日本代表チームを追い、取材歴も10年を超えた。

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