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カーリングミックスダブルス日本選手権に平昌オリンピアン出場の可能性。夢のペア実現なるか!?

竹田聡一郎スポーツライター
昨年3月、世界選手権に出場した小笠原歩と阿部晋也(著者撮影)

 ちょうど1ヶ月後、2月14日から平昌五輪の男女カーリングのラウンドロビンがいよいよ始まり、男子代表のSC軽井沢クラブはノルウェー代表と、女子のロコ・ソラーレ北見(以下LS北見)はアメリカ代表と、それぞれ初戦を戦う。

 日本カーリング史上初の五輪でのメダルの期待が高まるが、今回、日本代表のメダル獲得以外にもカーリング競技には新たな話題がある。新種目のミックスダブルスだ。

 詳細なルールはJCA(日本カーリング協会)のHPに詳しいが、男女のペアがチームとなる8エンドゲームで、ガードストーンを置いた状態から各エンドがスタートする。エンドあたりのストーンは1ペアで5個。一方の選手は1投目と5投目を、もう一方の選手は2-4投目を担当する。

 また、両軍合わせてそのエンドの3投目、後攻のセカンドまではテイク禁止というルールがあるため、ハウス内に石が溜まりやすく複数得点やビッグエンド、スティールも多い。

 WCF(世界カーリング連盟)は周知と普及のために08年から世界大会も新設し、高いゲーム性などの理由で今回の五輪から正式種目に採用された。平昌では従来の4人に先駆けて8日から13日まで競技が行われる。

 JCAも07年からミックスダブルスの日本選手権をスタートさせ、平昌五輪出場に向けて近年は特に競技力アップのために策を巡らせている。

 昨年は初めて、日本選手権に強化委員会の推薦指定枠を設け、4人制のトップ選手の小笠原歩(北海道銀行フォルティウス)らをエントリーさせた。

 阿部晋也(4REAL)とペアを組んだ小笠原は見事に優勝という結果を出し、平昌五輪につながる世界選手権(2017年4月/カナダ・レスブリッジ)に出場したが、残念ながらクオリファイ(予選突破)はならず。新種目での五輪出場は逃したが、小笠原は「ゲーム性の高い魅力的な競技だということを再認識しました。日本も継続して挑戦し続けるべき。チャンスはあると思う」と、JCAの柳等(やなぎひとし)強化委員長も「今後も世界と戦えるチームを作るため、推薦枠設置という方法も含めて最善のシステムを構築していきたい」と、選手も協会も一定の手応えを得たようだ。

 そして、強化委員会は今季も日本選手権に推薦枠を設置することを既に決定している。注目されるのは出場する選手と、ペアリングだ。

 第11回全農日本ミックスダブルスカーリング選手権大会は3月14日から、青森のみちぎんドリームスタジアム青森市スポーツ会館で開催される。協会関係者によると強化指定推薦ペアは「国内トップの技術を持った出場意思を持つ選手」だが、具体的には日本選手権(1月28日-2月4日/名寄市サンピラー交流館カーリングホール)の上位チームということになる。

 ただ、4人制の日本選手権の優勝チームは、女子は3月17日からカナダ・ノースベイで、男子は3月31日からアメリカ・ラスベガスで、それぞれ4人制の世界選手権に出場するために、ミックスダブルスは回避、辞退せざるを得ない。

 そこで浮上しているのが平昌五輪の戦いを終えたSC軽井沢クラブとLS北見による、オリンピアンのペアリングだ。

 今季、JCAは平昌五輪への専念とスケジューリング、セカンドチーム強化などの理由から、両五輪チームの日本選手権の出場を見送る決定を既にしている。日本選手権は世界選手権のトライアルを兼ねているため、両五輪チームの世界選手権出場は今季は事実上、叶わない。つまり平昌五輪が終われば彼らのスケジュールは白紙だ。

 もうひとつのハードルの選手自身の意思に関しては、どの選手も「五輪が終わらないと何も言えない」と明言は避けたが、ゲーム性が高く、ハウスマネジメント能力を養うメニューとして、ミックスダブルスのゲームを両チームはトレーニングとして取り入れていて、ミックスダブルスに一切、興味がないということはなさそうだ。

 協会関係者によると強化推薦選手とペアの正式決定と発表は「どうしても日本選手権と平昌五輪の結果を受けてからになってしまう」というが、コアなファンの間では「両角友佑と藤沢五月が次々とドローを決めるゲームが観たい」本橋麻里と清水徹郎のオールラウンダー同士が組んだら世界と戦えるのではないか」「山口剛史と鈴木夕湖の男女のエース・スイーパーが同時にブラシを動かすのは面白そうだ」とポジティブな話題となっている。

 平昌五輪でカーリングが注目を集め、メダル獲得のフィーバーを引っさげてメダリストがミックスダブルスに挑戦。そんな理想のプロセスは実現するだろうか。まずは4人制の日本選手権と五輪を観戦しながらJCAによる正式発表を待ちたい。

スポーツライター

1979年神奈川県出身。2004年にフリーランスのライターとなりサッカーを中心にスポーツ全般の取材と執筆を重ね、著書には『BBB ビーサン!! 15万円ぽっちワールドフットボール観戦旅』『日々是蹴球』(講談社)がある。 カーリングは2010年バンクーバー五輪に挑む「チーム青森」をきっかけに、歴代の日本代表チームを追い、取材歴も10年を超えた。

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