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【衝撃】違法オンラインカジノへの参加者、100万人超

木曽崇国際カジノ研究所・所長
(写真:アフロ)

さて「Amusement &Gaming Resaerch」が、日本からの違法なオンランカジノの参加に関して以下の様な数値を発表しております。以下転載。

オンラインカジノ 日本から100万人超が参加か?

https://amusement-gaming-research-japan.blogspot.com/2020/10/100.html?m=1

あくまでも「遊技者における参加者」ということになるが、ライブカジノの参加者を推計してみる。

大規模な生活者調査に基づく『パチンコ・パチスロ プレイヤー調査2019』(シーズ、エンビズ総研、APJの共同調査)によると、頻度が「週2回以上」の遊技参加人口は推計237万人、「月に4~5回程度」は261万人、「月に1回程度」は240万人。これに今回調査の、遊技頻度ごとのライブカジノ参加者率を掛けると、237×0.229+261×0.188+240×0.011=106万人となる。

あくまでパチンコ/パチスロ参加者内、しかも違法なオンラインカジノの中でも「ライブカジノ」という限定された業態(テーブルゲームのライブ配信を見ながらゲームに参加するもの)に限定した推計であるが、少なくとも全国に106万人以上の違法なオンラインカジノに参加しているとする結果は衝撃的である。

まず前提として申し上げると、日本国内から海外で運営されるオンランカジノにアクセスし、賭けを行うことは明確に違法である。これは2013年11月に私と友人の渡邊雅之弁護士が企画し、衆議院議員・階猛議員より2013年に発された質問主意書への回答において、政府が回答したことで明示されたものであり、その後、幾度となく国会内で質疑が行われその度ごとに同様の回答が出ている法的事実であります。その詳細に関しては、私のYouTubeチャンネル側で解説を行っていますのでそちらをご覧頂きたい。

【詳細解説】インターネットカジノは違法です。

https://www.youtube.com/watch?v=MvHhDkDu-dQ&t=

にも関わらず、我が国においてオンラインカジノの違法な参加が一切減らないのには理由が2つある。一つ目は、これを所管する官庁が責任の「タライ回し」をしており、一切その対策を行おうとしないこと。この様子は、2018年4月10日に行われた参議院財政金融委員会でのやりとりに見て取れます。

藤末健三(自民党参議):

https://kokkai.ndl.go.jp/#/detail?minId=119614370X01120180410&spkNum=190&single

IR法ができて、日本で物理的なカジノができますよと。恐らく多くの方々がルールを理解し始めると思うんですよ。そして、ますますオンラインの方に流れていくと。そのときに全く規制がないという状況、本当に。誰が規制するのかといったら、ちなみにIR本部がやればいいんじゃないかと思われる方おられるかもしれませんけど、実は法的にIR本部は物理的なカジノしかできないようになっているんですよ。じゃ、誰がオンラインの方のをやるんですかといったら、警察庁はやりません、法務省はやりませんって、じゃ、誰がやるのという話になっているという状況でございますので、これを申し上げまして質問を終わらせてもらいますが、次回はきちんとペーパーも出して御質問申し上げますので、是非お答えください。両役所、お願いします。

自民党の藤末健三議員は、当該委員会においてオンラインカジノへの違法な参加に関して、刑法を所管している法務省および、違法賭博への法執行を所管している警察庁に質疑を行うわけですが、両者とも違法オンラインカジノ対策は自らの担当ではないというスタンス。また日本のカジノ統制を担当するカジノ管理委員会は法律上「施設運営を行うカジノ」の所管するのみとされていますから、結局、この国には違法オンラインカジノへの対策を行う主体が「ない」のであります。

この様に国側が違法オンラインカジノ対策を一切行わない事によって起こっているのは、違法なハズのオンラインカジノそのものが、あたかも「違法ではない」ものとして日本国内で認知が広がり続けていること。海外のオンラインカジノへの送客から収入を得るアフィリエイト業者を中心に「日本にはオンラインカジノを規制する法律がない」などという間違った言説(本当は刑法賭博罪が適用されます)がインターネット上で延々と振り撒かれ、先にご紹介した2013年11月の政府による公式見解をあっという間に埋めて行く。その結果、起こっているのが海外オンラインカジノ利用が「違法ではない」という一般消費者による認識。

本年9月29日に、私のYouTubeチャンネル側の企画として行った全国20歳以上男女100人に対する「ギャンブルの違法性認識に関するアンケート調査」に基づくと、日本国内から行うオンラインカジノに関して、それを「違法だ」として正しく認知している層は全体41%、それと同等の比率の回答者が「グレーゾーンである」と回答しており、さらにそれを「適法である」と誤認している回答者まで含めると、全体の約6割が「日本国内から行うオンラインカジノが違法である」事に対して正確な知識を持っていないことが判っています。これは、例えば「国内で行う麻雀賭博」に対する違法性認識と比べると、驚く程低い正答率となります。(麻雀賭博に関しては全体の78%が「違法」として正しく認識)

画像

(出所:筆者調べ)

この様に、我が国における違法インターネットカジノ対策の不在に付け込む形で海外業者のアフィリエイターが攻勢をしかけ、誤った違法性認識が国民に広がっている結果が、冒頭でご紹介した「パチンコファン内でのライブカジノ参加数が100万人超」、全体パチンコファン内の10.7%が直近1年の間にライブカジノに参加をし、また12%「一度も遊んだことはないが関心がある」という犯罪予備軍となってしまっている現状であります。

法務省、警察庁のタライ回しの結果、未だこれに対処する所管官庁がない。結果として対策が全く行われない現状を、我が国はいつまで放置しておくつもりなのでしょうか。早急な対処が求められます。この他、私のYouTubeチャンネル側で「ギャンブルの違法性認識に関するアンケート調査」のより詳細な結果を解説しておりますので、ご興味のある方は以下リンク先よりご参照ください。

「大人の遊び」研究所/木曽崇

https://www.youtube.com/channel/UC0UueKrYPGueHItKNUthRWw?sub_confirmation=1

国際カジノ研究所・所長

日本で数少ないカジノの専門研究者。ネバダ大学ラスベガス校ホテル経営学部卒(カジノ経営学専攻)。米国大手カジノ事業者グループでの内部監査職を経て、帰国。2004年、エンタテインメントビジネス総合研究所へ入社し、翌2005年には早稲田大学アミューズメント総合研究所へ一部出向。2011年に国際カジノ研究所を設立し、所長へ就任。9月26日に新刊「日本版カジノのすべて」を発売。

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