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【U19 FIBAワールドカップ】3Pを15本決めた日本だが、後半に地力を発揮したセルビアに敗戦

青木崇Basketball Writer
セルビア戦の前半では小川らベンチ陣がステップアップ (C)FIBA.com

 身長とフィジカルで厳しい戦いを続けてきたこともあり、セルビア戦での日本はジェイコブス晶以外のスターターにキレがなく、ティップオフから2分45秒間で8対0とリードを奪われる。タイムアウト後、ジェイコブスがドライブと3本の3Pを決めるなどエンジン全開となり、日本は12対12の同点に追いつくも、ターンオーバーから失点するシーンが増えたことで、2Q序盤で16対28とリードを広げられてしまう。

 そんな流れを変えるきっかけを作ったのは、ベンチから出てきた選手たち。ロロ・ルドルフのクイックネスを生かしたアタックからオフェンスを展開すると、「あまりプレータイムをもらえていなかったですけど、今日はたくさんもらえて自分の役割を果たせたと思います」と語った小川瑛次郎が3本、渡辺伶音も3Pを決めるなどステップアップ。前半だけで10本の3Pショットを成功させた日本は、2Q残り35秒で44対43とリードを奪う。リードしてハーフタイムを迎えたい日本だったが、残り3秒のところでディフェンシブ・リバウンドを奪えずにセカンドチャンスを与えてしまい、マルコ・セレナックの得点で再逆転されてしまったのは非常に痛かった。

「いい前半だったけど、時間の経過とともにエナジーがなくなっていった。後半のセルビアはすごくフィジカルで、いいプレーをしていたし、3Pショットもたくさん決めていた。セルビアは日本よりレベルの高いチームだが、我々は戦っていた。ただし、エナジーを100%出し続けた状態で戦わなければならない。選手たちは国際大会であることを理解する必要がある。90%ではダメ、100%でなければならない」

 アレハンドロ・マルティネスヘッドコーチがこう語ったように、セルビアは後半になるとサイズで優位に立てるインサイドを徹底的にアタック。ヘルプとローテーションで粘り強く対応しようとした日本だったが、セルビアの選手たちは冷静にオープンのチームメイトを見つけ、そのチャンスを着実に得点へと結びつけていた。

セルビアのアグレッシブな攻めに後半で力尽きたが、43点を記録したベンチ陣の奮闘は光った (C)FIBA.com
セルビアのアグレッシブな攻めに後半で力尽きたが、43点を記録したベンチ陣の奮闘は光った (C)FIBA.com

「少し士気が下がってしまって、あまり積極性のないオフェンスやディフェンスになってしまった」と渡辺が振り返ったように、3Qの10分間で12対31と圧倒された日本は、73対99のスコアでセルビアに敗れた。今大会最高となる15本の3Pショットを成功させたが、セルビアも36本中13本成功。ペイント内で22点差と完全に主導権を握られたという2つの要素が、後半で一気に差が開く要因になった。

 エジプト戦から好調を持続しているジェイコブスは、4本の3Pを決めるなどチーム最多の20点を奪い、前半でチームに勢いを与えた小川が11点、渡辺が9点をマーク。「チャンスをもらってシュートをしっかり打って決めることができてよかったんですけど、まだディフェンスの面でコミュニケーションが足りず、自分が抜かれてしまうことがあったので、そこは次の試合で直していきたいです」と語った八重樫ショーン龍は、4Qに3本の3Pを成功させて9点、坂本康成も6分50秒間で5点と、これまで出場機会に恵まれていなかった選手たちの頑張りによってベンチ陣は43点を記録した。

 7〜8位決定戦の相手は、U19ワールドカップ前のスペイン遠征で対戦した時に77対92で敗れているカナダ。2017年のチームと並ぶU19ワールドカップ3勝目を手にするためにも、日本は最後の最後までアグレッシブに戦い続けるしかない。

Basketball Writer

群馬県前橋市出身。月刊バスケットボール、HOOPの編集者を務めた後、98年10月からライターとしてアメリカ・ミシガン州を拠点に12年間、NBA、WNBA、NCAA、FIBAワールドカップといった国際大会など様々なバスケットボール・イベントを取材。2011年から地元に戻り、高校生やトップリーグといった国内、NIKE ALL ASIA CAMPといったアジアでの取材機会を増やすなど、幅広く活動している。

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