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【FIBA U19ワールドカップ】タフなディフェンスでハンガリーを撃破し、新たな歴史を作った日本

青木崇Basketball Writer
U19ワールドカップで初のベスト8進出を果たした日本 (C)FIBA.com

 FIBA U19ワールドカップに出場する日本が目標としたのは、八村塁がエースだった2017年の10位を上回るベスト8進出。グループ戦で少なくとも1勝し、トーナメント1回戦でハンガリーかアルゼンチンと対戦するというのが、最高のシナリオだった。

 前日にブラジルが苦戦しながらもエジプトに勝ったことで、日本はベスト8進出をかけた一戦の相手がハンガリーになった。日本よりもサイズがあるとはいえ、205cm以上の選手は一人のみということで、身体を張ってフィジカルに戦い続ければ、十分に勝てる可能性があった。

 この試合の日本は、今大会で最高のスタートを切った。川島悠翔の3Pショットをきっかけに、岡田大河とジェイコブス晶が立て続けにレイアップを決めるなどオフェンスが機能し、小澤飛悠の3Pショットで15対2とリードした。

 1Q終盤に11−0のランでハンガリーの追撃を受けたものの、日本は2Q開始から武藤俊太朗の3Pをきっかけに7-0のランでリードを再び2ケタに乗せる。グループ戦の3試合で高さとフィジカルの強い相手との戦いに慣れてきたこともあり、ペイント内では簡単にフィニッシュさせず、質の高いローテーションでターンオーバーを誘発させるシーンが何度か見られた。アレハンドロ・マルティネスヘッドコーチは、「フリースロー10本に3Pと2Pが2本ずつと、前半で20点に抑えられたディフェンスはよかった」と試合を振り返る。

 3Q開始直後にこの試合最大となる17点のリードを奪ったものの、地元のハンガリーが後半になってディフェンスの強度を上げたこともあり、日本のオフェンスは徐々にリズムを失っていく。アグレッシブなドライブを決められたり、ファウルが増えてフリースローを与えるなど、残り3分9秒で37対33まで迫られる。しかし、この悪い流れを打破したのは司令塔の岡田だった。

「自分のピック&ロールに対して、すごくハンガリーの対応が雑になっていた」と感じていた岡田は、2分59秒にスクリーンを生かしてペイントに切れ込むと、3Pプレーとなるフローターでフィニッシュ。日本はセルビア戦の4Q同様にオフェンスのリズムを失い、3Qで7点しか奪えなかったが、粘り強くフィジカルに戦い続けたことで、リードを失うことはなかった。

3Qで悪い流れを断ち切るビッグプレーを決めた岡田 (C)FIBA.com
3Qで悪い流れを断ち切るビッグプレーを決めた岡田 (C)FIBA.com

 4Q序盤にジェイコブスのレイアップと3Pショットで突き放した日本は、ハンガリーが点差を詰めそうな状況でディフェンスがステップアップ。4分37秒に武藤がスティールからバスケットカウントとなるレイアップを決めたシーンは、その象徴と言えるものだった。

 ファイナルスコアは63対53。ジェイコブスが15点、川島が12点と続いた日本だが、この試合のFG成功率は33.3%と低く、後半に決めた3Pがわずか1本だった。しかし、ディフェンスは40分間集中力を失うことなく、ハンガリーのFG成功率を25.5%に抑え、ペイント内の失点も20に限定。「難しい時間を自分たちが我慢しなきゃいけない時間帯っていうのはすごい長くて、なかなか3クォーターの入りだったり、得点が取れないとかがあったんですけど、チーム一丸となって自分たちのチャンスというのを持ちながら、勝負どころで最終的に決め切ったので、逃げ切れました」と岡田が語ったように、20本のターンオーバーを誘発させ、そこからのオフェンスで21点を奪ったことが、勝敗を分ける決め手となった。マルティネスヘッドコーチは試合後、チーム全体で手にした勝利だと強調する。

「今までで最も複雑なゲームだったが、日本の男子代表にとって歴史を作ることになるベスト8進出という意味で、大きな意味があった。うまくいかない時間帯に直面したが、選手たちはゲームプランを遂行してくれたことをうれしく思う。選手、コーチ陣、スタッフたちのハードワークがあったからこそ、日本のバスケットボールに新たな歴史を作ることができた。みんながエナジーを出してプレーしていたし、ベンチにずっといた選手たちもしっかりサポートしてくれた」

高い身体能力を生かして見事なリバウンドを奪うなど、スタッツ以上に貢献していたルドルフ (C)FIBA.com
高い身体能力を生かして見事なリバウンドを奪うなど、スタッツ以上に貢献していたルドルフ (C)FIBA.com

準々決勝の相手は優勝候補のアメリカ。日本にとっては何も失うものがない最高のチャレンジであり、選手たちも今後のキャリアにプラスとなる貴重な経験ができる。アメリカのダイラン・ハーパーと対戦したことがあるというロロ・ルドルフは、「とてもワクワクしている。選手の何人かは知っているし、彼らのプレーとかも知っている。だから、僕らがどこまでやれるか本当に楽しみだし、僕らを前に前にと押し出して、自分たちの限界や相手に対して自分たちがどこまでスキルを発揮できるかを試せることにワクワクしている」と話す。NCAAディビジョン1のハワイ大に進学するジェイコブスも、チャレンジを楽しみにしている。

「世界で一番と見られているチームとの対戦で、自分たちの活躍を見せることができると思います。僕はこれからディビジョン1へ行くので、ハイメジャーの相手にどういう活躍ができるかを見せたいですし、すごくいいチャンスだと思います」

Basketball Writer

群馬県前橋市出身。月刊バスケットボール、HOOPの編集者を務めた後、98年10月からライターとしてアメリカ・ミシガン州を拠点に12年間、NBA、WNBA、NCAA、FIBAワールドカップといった国際大会など様々なバスケットボール・イベントを取材。2011年から地元に戻り、高校生やトップリーグといった国内、NIKE ALL ASIA CAMPといったアジアでの取材機会を増やすなど、幅広く活動している。

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