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FIBAワールドカップ予選:初戦黒星の日本は中国のスウィッチ・ディフェンスにまさかの大苦戦

青木崇Basketball Writer
5アシストを記録するも得点機会のクリエイトに苦心した富樫 (C)FIBA.com

「本当に出だしがすべてだったかなと思いますし、そこのリズムを作れなかった。やはりスタートの5人、最初がすべてだと思います」

 キャプテンの富樫勇樹がこう語ったのも当然だろう。トム・ホーバスが男子の日本代表ヘッドコーチとなって最初の試合となったFIBAワールドカップのアジア予選。日本は試合開始から7分10秒間で2対19と中国に主導権を握られてしまい、最大で30点差まで広げられるという内容の敗戦を喫した。

 中国がジョー・チー(#15)とフー・ジンチュウ(#21)の高さとフィジカルでインサイドを支配して勝利したことは、2人合わせて39点、18リバウンドというスタッツでも明らか。24点を記録したグォ・アイルンらガード陣による積極果敢なペイントアタックも、ペイント内の得点で50対22と日本を圧倒した理由の一つと言える。

 しかし、この試合で筆者が驚かされたのは、日本のハーフコート・オフェンスに対し、中国がスウィッチ・ディフェンスを多用してきた点。試合後ホーバスコーチにそのことについて質問すると、答えは「我々は、選手たちがいろいろと判断をしなければならないファイブアウトのオフェンスに取り組んでいるところ。少し影響を受けたところもありましたが、それに関して驚きはありませんでした」というものだった。

 中国のビッグマンはスウィッチによってスピードのミスマッチが起きたとしても、簡単に抜かれない機動力と腕の長さを使いながら、何度も日本のオフェンスをスローダウンさせることに成功。10分54秒間のプレーで3アシストを記録したポイントガードの斎藤拓実は、中国のディフェンス対応を次のように振り返る。

「スウィッチしてきたときは、インサイドのミスマッチを突くというよりも、ポイントガードがスピードのミスマッチを突くというのがトムさんのバスケット。(中国には)脚の動くインサイドの選手がいたので、外で打てなかったりとか、ペイントアタックができなかったりというのは感じました。

 ポイントガードのドライブに対して、周りの選手がコーナーにステイしたままだったり、ウイングの選手も止まった状態でオープンショットを待っているというのがちょっと多かった。ディフェンスを見てのカッティングは、日々の練習でやってきました。ウイングとインサイドの選手はカッティングをしたほうが、トムさんのやりたいバスケットに近づけるのかなと思います」

 中国は日本戦に向けた練習時間が十分に確保できたわけではなく、今季NBLのサウスイースト・メルボルン・フェニックスと契約したジョー・チーは、オーストラリアから来日してからのチーム合流。それでも、6月のFIBAアジアカップ予選や7月の五輪最終予選を戦ったメンバーが多いこともあり、ヘッドコーチ交代でスタイルを大きく変更した日本に比べると、中国は攻防両面における遂行力で一日の長があった。「日本は新しいコーチになりましたが、彼のスタイルによって我々は難しい状況に直面することもありました」と、ドゥ・フォンコーチはディフェンスの質を高めていく必要性を強調する。

 11月28日の18時にティップオフとなる2戦目、日本はボールと選手が活発に連動したオフェンスを展開し、オープンで3Pショットを打てる機会を増やしたいところ。ディフェンスとリバウンドでタフに戦い続けることに加え、80点以上、3P成功率40%以上、アシスト20本以上という数字をオフェンスで残せるかが、難敵中国から勝利を掴むためのカギと見ている。

Basketball Writer

群馬県前橋市出身。月刊バスケットボール、HOOPの編集者を務めた後、98年10月からライターとしてアメリカ・ミシガン州を拠点に12年間、NBA、WNBA、NCAA、FIBAワールドカップといった国際大会など様々なバスケットボール・イベントを取材。2011年から地元に戻り、高校生やトップリーグといった国内、NIKE ALL ASIA CAMPといったアジアでの取材機会を増やすなど、幅広く活動している。

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