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マシュー・アキノはフロントラインの選手層に厚さをもたらすことが期待される日本代表の新戦力

青木崇Basketball Writer
中国戦を前に代表合宿に初めて参加したアキノ 写真提供:日本バスケットボール協会

 11月27日と28日に仙台で行われるFIBAワールドカップ予選の中国戦を前に、日本バスケットボール協会は15日に代表候補選手24名を発表。その中には、10月15日に信州ブレイブウォリアーズと契約したばかりのマシュー・アキノの名前があった。

「候補に選ばれたことが光栄に思えますし、コーチやチームメイトたちからは毎日多くのことを学んでいます。この機会に感謝していますし、自分ができることをやってチームに貢献したいと思っています」と22日の記者会見で語ったアキノは、フィリピン出身で祖母が日本人という身長205cmのビッグマン。信州と契約する前は、MPBLというセミプロのリーグでプレーしていた。父のマーロウも206cmの元プロバスケットボール選手で、フィリピン代表として1998年のアジア大会に出場した経歴の持ち主。2019年のMPBLではアキノと一緒にプレーしている。

 合流して間もない信州では、十分な出場機会を得ていない。ただし、フロントラインの選手層が薄い日本代表の現状からすると、アキノの205cmというサイズは大きな魅力。未知数の部分は多いかもしれないが、今後の日本代表にとって重要な戦力となる可能性を秘めている。アキノの出身校であるナショナル大学と定期的に対戦しているアテネオ・デ・マニラ大学やイースト大学でコーチ経験があり、現在PBA(フィリピンのプロリーグ)のアラスカ・エーセズでアシスタントコーチを務めるジョー・シルバは、アキノについて次のように評価する。

「彼はエナジーと若さだけでなく、日本が必要とする高さももたらしてくれます。彼はまだ多くの面で成長しなければなりませんが、マットのような若くて背の高いタレントがいることは、将来的に日本にとってプラスになるでしょう。高さは教えられないと言われます。 シュート、スキル、IQ、そしてもちろん強さの面でも努力しなければなりませんが、可能性は十分にあります。

 大学時代のマットは、その高さだけでディフェンスの存在感を示していたし、彼のような身長の選手があまりいませんでした。ショットブロッカーとしての能力も高く、ブロックせずに(相手の)シュートを変えることができ、リバウンドもかなり良かった。オフェンスでは15フィート(約4.57メートル)からシュートを打つことができましたが、彼の強みは(オフェンシブ・リバウンドからの)プットバックとドロップパスをもらってからの得点でした」

 中国との2連戦は国際試合の経験が豊富な竹内公輔、ワールドカップと東京五輪に出場したシェーファーアヴィ幸樹、帰化選手のルーク・エヴァンスがフロントラインの選手としてプレーする可能性が高いと見るのが妥当だろう。しかし、205cm以上の選手が7人という中国との2連戦ということに加え、ホーバスコーチが目指すスタイルにフィットする非凡なシュート力と機動力を兼備していることからすれば、アキノが出場選手として登録されたとしても不思議ではない。

「自分がこのレベルでプレーできることを証明したいと思っています。国を代表してプレーすることは夢でしたけど、日本代表でプレーするとは思わなかったので、ちょっと驚いているところです。フィリピンでワールドカップがあることは知らなかったのですが、今は自分ができることにフォーカスして、少しずつ前進していきたいです。ディフェンスとリバウンド、アウトサイドからのショットには自信があります」(マシュー・アキノ)

Basketball Writer

群馬県前橋市出身。月刊バスケットボール、HOOPの編集者を務めた後、98年10月からライターとしてアメリカ・ミシガン州を拠点に12年間、NBA、WNBA、NCAA、FIBAワールドカップといった国際大会など様々なバスケットボール・イベントを取材。2011年から地元に戻り、高校生やトップリーグといった国内、NIKE ALL ASIA CAMPといったアジアでの取材機会を増やすなど、幅広く活動している。

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