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【Bリーグファイナル第2戦】大黒柱ロシターの奮闘から本来の姿を取り戻した宇都宮が千葉を圧倒

青木崇Basketball Writer
宇都宮の大黒柱として存在感を示したロシター 写真:B.LEAGUE

「追い込まれた状態だから、自分たちがやらなければならないとわかっていた。最初からハードにプレーし、それが最後まで継続できた」

 千葉ジェッツに大敗したゲーム1とは対照的に、ゲーム2の宇都宮ブレックスは“もう負けられない”という危機感がいい方向へと進んだ。厳しいディフェンス対応、エナジーのレベルが影響するリバウンドやルーズボール争い、ショットの決定力といった部分で千葉を大きく上回っていた。そのきっかけを作ったのは、大黒柱として宇都宮を牽引してきたライアン・ロシターである。

 3対5で迎えた1Q8分54秒、3度目のチャンスとなるオフェンシブ・リバウンドを得点へと結びつけるティップインを決めると、直後のディフェンスで富樫勇樹のパスをスティールし、この試合2本目となるオフェンシブ・リバウンドを奪って得点。大黒柱によるハッスルプレーの連発で7対5とリードを奪うと、宇都宮は最後の最後までリードを失うことがなかった。

「エナジーということからすると、昨日は同点に追いつくことができたけど、試合の入り方が本当に悪かった。千葉のエナジーにマッチできず、這い上がることができなかったことを昨夜も今朝も話をした。彼らのエナジーに負けることなく、ハードにプレーしたかったんだ」

 こう語ったロシターの攻防両面におけるアグレッシブなプレーが、チームメイトたちにも大きな自信をもたらしたのは間違いない。ジョシュ・スコットが鵤誠司のアシストからダンクを叩き込むと、L.J.ピークがドライブから3点プレーとなるレイアップを入れるなど、15連続得点で18対5と一気にリードを広げる。

 千葉はコー・フリッピンのドライブからのレイアップ2本で1Q終盤に5点差まで詰めるシーンもあったものの、宇都宮にとって脅威になるような追撃を見せられないまま、時間だけが経過。特に2Q7分42秒、竹内公輔がフロアにダイブしてオフェンシブ・リバウンドを確保し、セカンド・チャンスを創出した後に渡邉裕規が3Pショットを決めたシーンは、“BREX MENTALITY”を象徴するプレーだった。

 2分26秒に宇都宮が前半2回目のタイムアウトをコールした後、ロシターはゴール正面から3Pショットを入れると、次のオフェンスで柔らかいタッチのフローターでフィニッシュ。前半終了間際には、左ウイングからのドライブでゴール下でノーマークになったスコットのレイアップにつながる見事なアシストを決めたことで、宇都宮はハーフタイムで20点のリードを奪うことに成功する。

 後半になっても、集中とエナジーのレベルが落ちることはなかった。千葉がいい流れで得点を奪ったとしても、すぐに答えを出し続けた宇都宮は、結局83対59のスコアで快勝。セカンド・チャンスからの得点が21対7と大きく上回ったことでも、ゲーム1とまったく対照的な試合になったことは明白だ。宇都宮の安齋竜三コーチは、試合を次のように振り返る。

「昨日のゲームで自分たちの強みというか、今シーズンやってきたことを逆に千葉さんにやられてしまった。“うちの強みは何だ”というところを選手全員がもう一回、しっかり自分たちで見つめ直して、そこをプライドを持ってやってくれた結果だと思います」

 宇都宮の持ち味である“BREX MENTALITY”を発揮できる要因となったロシターは、チーム最多の17点、11リバウンド、6アシストをマーク。2017年に初代B1王者となった時のように、ゲーム2では大黒柱としての存在感を示すことができた。しかし、試合終了直後のインタビューで「もう過去のことだから、次の準備していく」とまったく表情を変えることなく話したように、試合終了直後から雌雄を決するゲーム3へと気持ちが切り替わっていた。

 ゲーム1も2も20点以上の差がつくという予想外の結末に終わったが、ゲーム3は土壇場まで拮抗した戦いになるだろう。そんな激戦を制して宇都宮が2度目の頂点に立つには、“ロシターが得点源としてチームを牽引し、肝心な局面でビッグショットを決めるか”が勝敗を分ける要素になると予想する。その理由は、ビッグゲームになればなるほどチームの核となるスター選手のパフォーマンスが大きな意味を持つからだ。

Basketball Writer

群馬県前橋市出身。月刊バスケットボール、HOOPの編集者を務めた後、98年10月からライターとしてアメリカ・ミシガン州を拠点に12年間、NBA、WNBA、NCAA、FIBAワールドカップといった国際大会など様々なバスケットボール・イベントを取材。2011年から地元に戻り、高校生やトップリーグといった国内、NIKE ALL ASIA CAMPといったアジアでの取材機会を増やすなど、幅広く活動している。

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