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【NIKE AACレポート:中田嵩基】自分をレベルアップできる場として積極的に挑んだU18代表のPG

青木崇Basketball Writer
キャンプでは自己アピールとゲームメイクを両立することの難しさを体感した中田

 中学3年生で2015年のU16アジア選手権、昨年夏には17歳でU19ワールドカップに出場するなど、中田嵩基はアンダーカテゴリーの国際経験が非常に豊富な選手。U19ワールドカップから帰国した後のインターハイでは、2年生ながら強烈なリーダーシップを発揮し、福岡大附大濠の優勝に貢献した。しかし、アジア・オセアニアの有望選手が集結するナイキ・オールアジア・キャンプには、なかなか参加するチャンスに恵まれなかった。福岡大附大濠を率いる片峯聡太コーチから話がきた時、中田は「自分がレベルアップできる場所だと感じたので、とてもうれしかったです」と振り返る。

 チームとして結果を出さなければならない国際試合と違い、ナイキ・オールアジア・キャンプは自分の存在をアピールする場。ポイントガードということもあり、ゲームではボールを触る機会が多くなるといえ、一度パスをしてしまえば二度と戻ってこないことを覚悟しなければならない。そんな環境の中でもキャンプ序盤は中田なりに手応えを感じ、「ボールが回ってこないと聞いていたので、ポイントガードとしてもパスをさばかなければいけない中で、自分をアピールしなければいけないと思っていました。最初の入りは結構よくて、自分の得意なシュートやアシストもできていてよかったんです」と話す。

 持ち味のリーダーシップを発揮するということでは、試合中に言葉の壁を感じながらも、片言の英語などで声をかけることやハイファイブを積極的に行っていた。また、自分から先頭を切ってドリルに取り組み、ストレッチや体幹トレーニングでは、コーチからの指名でデモンストレーションを任されたこともある。「言葉を喋れないことがどれだけ大変なのか、改めて知ることができました。同じチームの人だと日本語でも通じることがあるんですけど、通じないからこそジェスチャーとか態度で示していくことが大切なんだと感じました」という言葉からも、ゲームでもう少し所属チームを勝利に導くプレーができていたら、中田はBest Attitude(姿勢が最もよかった選手)賞に選ばれたかもしれない。

 それでも、これまでの国際試合で経験したことを最大限生かし、ピック&ロールからのシュート、スピードを生かしたドライブでディフェンスを抜くことについては、ナイキ・オールアジア・キャンプで自信を深めることができた。課題としてコーチから言われたこととしては、「教えてくださったコーチたちから言われたのは、一歩目の大きさがないなということ。抜く時の姿勢とか足の出し方というのがまだまだだと思って教えてくださったので、それは自分にとってプレーの幅が広がっていくと思うので、そこを重点的にやっていきたいなと思います」と説明する。

 8月にタイで行われるU18アジア選手権は、ナイキ・オールアジア・キャンプで学んだことを成果として出す絶好の機会。「去年(八村)塁さんがしてくださったことを自分がやっていかなければいけないです」というコメントからも、世界レベルで戦った経験のある中田がチームを牽引しなければならないことは十分に理解している。フィリピン、オーストラリア、ニュージーランドからキャンプに参加した選手たちと実際に対戦する可能性があるため、ちょっとしたスカウティングになると認識して臨んでいたのは、U18日本代表にとって大きなプラスになるだろう。もちろん、中田がナイキ・オールアジア・キャンプを満喫したことはまちがいない。

「前から来たかったキャンプなので、いろいろな国の選手たちと話したり、コミュニケーションを取ったりして、いろいろな文化を知ることができました。バスケットボールに取り組んでいくというのはすごく楽しかったので、やはり英語が大切なんだと改めて感じました」

Basketball Writer

群馬県前橋市出身。月刊バスケットボール、HOOPの編集者を務めた後、98年10月からライターとしてアメリカ・ミシガン州を拠点に12年間、NBA、WNBA、NCAA、FIBAワールドカップといった国際大会など様々なバスケットボール・イベントを取材。2011年から地元に戻り、高校生やトップリーグといった国内、NIKE ALL ASIA CAMPといったアジアでの取材機会を増やすなど、幅広く活動している。

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