Yahoo!ニュース

バスケットボールU19代表:強豪カナダを目覚めさせる戦いができたことは、次のイタリア戦に向けてプラス

青木崇Basketball Writer
1Qでの2ケタリードは西田の3Pから始まった (C)FIBA.com

「我々が見てきた中でも、この日本はすごくいいチームだった。一体となってプレイしていたし、才能のある選手もいるから、日本のバスケットボール界にとっては励みになる。我々からすれば、どこが相手でも簡単なゲームになるとは思っていない。彼らはしっかり走り、シュートを決めていた」

ロイ・ラナコーチがこう振り返ったように、カナダは日本に対して油断していたわけではない。チャレンジャーであり、何も失うことのない日本は、西田優大の3Pシュートからリズムをつかみ、八村塁のティップインで5対0のスタート。リバウンドからのパスをもらった重冨周希が速攻に持ち込むと、八村が速攻からのレイアップ、増田啓介も3Pを決めるなど、4分53秒で19対8とリードを2ケタに乗せる。

「入り方は最高で、自分たちのペースでやれた」と重冨が語るように、試合開始からの5分間は、日本が世界レベルで戦えることを示していた。しかし、メダル候補のカナダが、このまま黙っているわけはない。ラナコーチはタイムアウトを取ると、ディフェンスをトラップからのゾーンへと変更。コートにいる5人のリアクションの速さ、長い腕、跳躍力に圧倒されるシーンに直面した日本は、徐々にオフェンスのリズムを失っていく。その象徴と言える存在が、187cmのガードながら速攻でフィニッシュしようとした八村をブロックするなど、身体能力とスキルの高さを兼備していることを示したリンデル・ウィギントン。21点、9リバウンド、4アシスト、4ブロック、2スティールというスタッツからも、攻防両面で日本の脅威となった。

12-2のチャージで1点差まで詰め寄られて1Qを終えた日本は、2Qになると父が元カナダ代表で、将来のNBA入りが期待されるローワン・バレット・ジュニアに豪快なダンクを叩き込まれるなど、中盤で逆転されてしまう。3Qに入ってもカナダはディフェンスの手を緩めず、残り1分16秒にこの試合最大となる28点のリードを奪われた。それでも、イタリアとのトーナメント1回戦がより重要であることを理由に、トーステン・ロイブルコーチはスターターの出場時間を限定させ、控え選手たちが自信つかむチャンスを与える。

カナダ戦でようやく持ち味のドライブを発揮できた榎本 (C)FIBA.com
カナダ戦でようやく持ち味のドライブを発揮できた榎本 (C)FIBA.com

このシュートに当たりが来ていなった杉本天昇は、4Qで2本の3Pシュートを決めるなど8点をマーク。「大きくて強靭、素早い相手にプレイできたことでは気分が良かった。アグレッシブにプレイし、リズムをつかみたかった」と話した榎本新作も、ドライブからのフィニッシュ、ファウルをもらってフリースローを決める機会があった。スペイン戦、マリ戦と出番がなかった津屋一球も、7分44秒間で3Pシュート1本を成功させ、アシストも2本記録したのは、今後の戦いに向けて大きなプラスと言っていい。

ファイナルスコアは100対75。25点差という結果は、完敗と言われても仕方ないし、ロイブルコーチも「ディフェンシブなチームを作ってきたけど、100点取られたのは残念」と語るのも当然だろう。八村は25分弱のプレイで21点、11リバウンドを記録したものの、2試合連続でファウルトラブルに陥るなど、ディフェンス面での課題も出た。その一方で、カナダのすごさを体感できる試合になったのは、「身体能力が本当にすごくて、予選でアメリカ相手になぜ接戦を演じたのかを見ることができたと思う」という指揮官の言葉でも明らか。積極的にシュートを打つも、11本中2本しか決められなかった西田は、「他のチームよりも体の強さを感じて、自分の力を出しても歯が立たない相手ばかり。1Qの出だしが良かった分、大差で負けてしまったのが悔しい」と振り返った。

それでも、U19ワールドカップにおける第1の目標、マリに勝ってグループ3位でトーナメントに進むことは実現させた。次の目標はイタリアを破ってのベスト8進出。サイズとスキルを持ったスペイン、リバウンドが非常に強いマリ、身体能力の高さを武器にしたプレッシャー・ディフェンスをするカナダとの対戦は、打倒イタリアを実現するために欠かせない貴重な経験だった。「明日は大事な試合なので、ホテルに戻ったらチームミーティングをしっかりやって、やるべきことをみんなで確認して、試合に向けて頑張っていきたい」と八村が語るように、時間をかけて強化してきたこのチームの真価が問われるゲームになるだろう。ロイブルコーチは、ビッグゲームに向けての意気込みを次のように語った。

「天昇はずっとシュートの調子がいまひとつで、自分も心配していたけど、後半リズムが出てきたことで、少し自信を取り戻してくれた。彼と榎本、アヴィがベンチから出てきて機能すればいいなと思う。明日のイタリア戦はヨーロッパでもトップレベルのチームだから、スターターだけだと勝てない。日本ではワールドカップに出ることがセンセーションだから、明日ミラクルを起こそう」

Basketball Writer

群馬県前橋市出身。月刊バスケットボール、HOOPの編集者を務めた後、98年10月からライターとしてアメリカ・ミシガン州を拠点に12年間、NBA、WNBA、NCAA、FIBAワールドカップといった国際大会など様々なバスケットボール・イベントを取材。2011年から地元に戻り、高校生やトップリーグといった国内、NIKE ALL ASIA CAMPといったアジアでの取材機会を増やすなど、幅広く活動している。

青木崇の最近の記事