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世界の舞台に立ったバスケットボールU19日本代表。強豪スペインとの初戦は終盤で力尽きる

青木崇Basketball Writer
ゲーム最高の20点を記録するも後半4点に抑えられた八村 (C)FIBA.com

U19ワールドカップを戦う日本代表は、3年前のU17ワールドカップに参加したチームと大きく違う。その理由は、国内で数多くの合宿を行い、エジプト入りする前の時差調整でドイツに遠征し、現地でエキシビションゲーム2回を行うなど、しっかりと準備してきたからだ。ヨーロッパの強豪スペインとの初戦、西田優大と八村塁の3Pシュートをきっかけに、増田啓介がドライブ、重冨周希も速攻でフィニッシュするなど、日本はいい感じで試合をスタートさせる。

ベンチ陣が出てきた2Q序盤でスペインに10-1のチャージで8点のリードを奪われても、八村は得点源としてチームを牽引し、前半だけで16点をマーク。ハーフタイムを33対35の2点ビハインドで折り返せたのは、サイズで不利な局面であっても、日本はタブルチームと早いローテーション・ディフェンスを粘り強くやっていたことが大きい。それは、18本ずつというリバウンド数が示していた。

3Q残り6分48秒、西田が3本目の3Pを決めると日本は38対37と逆転。スペインに再びリードされても、鍵富大雅がスピンからのレイアップやティップインを決めるなど、ロールプレイヤーの奮闘もあった。しかし、スペインがインサイドでよりフィジカルになった結果、エースの八村はボディブローを打たれ続けたような感じで徐々に体力を消耗し、後半の得点はわずか4点に終わる。それでも、日本は14点の西田や重冨がドライブでフィニッシュするなど、残り3分21秒で63対66と勝機は十分にあった。

(C)FIBA.com
(C)FIBA.com

「全体的によくやったんですけど、最後詰めの甘いところがあって、4Qからのフリースローは僕を含めてずっと落としていたので、そういうところも最後までしっかりやる。僕は最初ばっかり意識していたので、次は最後の詰めをどうやるかというところも、しっかり学んでいかなければならないと思います」と八村が振り返ったように、日本はここぞという局面でリバウンドが奪えなかった。それは、セカンド・チャンスからの得点でスペインが11点上回ったことでも明白。八村が4Q5分42秒、1分11秒に2本ともミスしたように、フリースローが18本中8本の成功では、国際試合で勝てない。トーステン・ロイブルコーチは、スペイン戦をこう振り返る。

「フリースローのミスと、スペインのディフェンスが理由でないこちらのつまらないミスによるターンオーバーが多すぎた。ちょっとリバウンドが軽くなりすぎたということしか、今は言えない。頭を下げるような結果じゃない。我々はFIBAでNo.2のチームと戦い、試合の大半で競ることができたのは誇りに思っていい」

スペインのチームファウルが4Q残り6分53秒で4つになっていたにもかかわらず、日本はゴールへアタックするシーンが少なかった。オフェンスが停滞した時の打開ということでは、「いい感じでバスケットにアタックできていたと思う」と語った榎本新作のドライブを生かしたいところ。しかし、ロイブルコーチが5点差だった残り2分29秒にベンチに下げてしまったのは、状況を考えると少し疑問符がつけたくなる采配だった。

それでも、フォワードとセンター陣のサイズで大きく上回り、この年代でトップリーグのACBデビューを果たした選手もいるスペイン相手に、日本はタフに戦った。先発PGの重冨は、試合途中でスペインがディフェンスのプレッシャーを強めても、緩急をうまく使ってゲームをコントロール。「ドライブの数が自分としては少なかったですけど、他の選手との合わせはしっかりできたと思います」と語ったように、この試合で自信をつかんだのはまちがいない。

「スペインよりは落ちるかわからないですけど、そんなこと関係なしで、勝ちを狙って最後まで気を引き締めていきたい」と八村が語るように、次のマリ戦はU19ワールドカップにおける日本の命運をかけた試合と言っていい。日本が変わったことを示すためにも、マリには負けられない。

Basketball Writer

群馬県前橋市出身。月刊バスケットボール、HOOPの編集者を務めた後、98年10月からライターとしてアメリカ・ミシガン州を拠点に12年間、NBA、WNBA、NCAA、FIBAワールドカップといった国際大会など様々なバスケットボール・イベントを取材。2011年から地元に戻り、高校生やトップリーグといった国内、NIKE ALL ASIA CAMPといったアジアでの取材機会を増やすなど、幅広く活動している。

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