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<GAMBA CHOICE 2>黒川圭介が待望のJ1リーグ初先発。「ここから飛躍を」。

高村美砂フリーランス・スポーツライター
アビスパ福岡戦を皮切りに3試合続けて先発出場を続けている。 写真提供/ガンバ大阪

 4月7日のアビスパ福岡戦で、待望のJ1リーグ初先発を飾った。

 「今後のサッカー人生においても、ターニングポイントの試合になる」

 プロとしてのキャリアをスタートさせてから1年強。昨年は思い描いたシーズンにはならなかったからこそ、ようやく巡ってきたチャンスに懸ける思いは強かった。

「去年は、ガンバでも他のチームでも、同い年の選手がすごく活躍していたのに自分はなかなか試合に出られなくて、悔しい気持ちと自分への歯がゆさをずっと抱いて過ごした1年だったので、なんとしてもアピールしなければいけないと思っていました。また、ガンバとしては(活動休止という)苦しい時期を過ごしましたが、いろんな方たちのおかげで今シーズン初めてホームゲームを戦えることへの感謝の気持ちがあったので、それをぶつけられたらいいなと思っていました。プレー自体は最低限のことはやれたかなと思いますが引き分けだったし、アシストなど結果に結びつくようなプレーができればもっと良かった。ただ…まだ第一歩を踏み出したに過ぎないけど、こうして出場できたことは、これからの自分にプラスになっていくと思っています」

 遡ること約2年前。特別指定選手に認定された関西大学4年生の時に、4月のルヴァンカップ、ジュビロ磐田戦で『ガンバデビュー』を果たした。

「黒川はキャンプから一緒にプレーをしていますが、随所でいろいろな良さをみせてくれていた中で、どれくらいのパフォーマンスを出せるかなと期待を込めて送り出しました。期待以上にやれていた部分もあったと思います」

 試合後、宮本恒靖監督をうならせた左サイドバックとしての果敢な攻撃参加は、プロキャリアでのブレイクを予感させるものだった。 

「J1で、スタメンで出続ける」

 ルーキーイヤーを前に語った目標も、「東京五輪代表メンバーに割って入りたい」という意欲も、決して強気な発言だったとは思わない。大卒選手だと考えても、むしろ当然の決意だった。

 ところが、現実は厳しく、ルーキーイヤーとなった昨年は、トップチームの練習に加わることができても公式戦ではメンバー入りすら叶わない毎日が続いた。加入前からスタメンでピッチに立つには、同じ左サイドバックで百戦錬磨の藤春廣輝という大きな壁を越えなければいけないと覚悟していたが、ハードな『連戦』の最中でさえチャンスは回ってこない。藤春不在の際に同ポジションで起用されるのも福田湧矢で、いつしか、彼の主戦場はJ3リーグに。ルヴァンカップでは2試合に先発したものの、J1リーグへの出場は、わずか4分にとどまった。

 その状況を抜け出そうと、持ち味を磨くことに注力したJ3リーグでの19試合は、結果的に彼が自分と向き合う時間になったと言っていい。正直、J3リーグに出始めたばかりの頃は、10代の若い選手とともにピッチに立っても目立たないことも多かったが、後半戦に入り、明らかに『違い』を感じるプレーが増えたのは、まさにトップチームに絡めない悔しさを反骨心に変えて戦い続けた証だろう。それは今シーズンにもつながる力になった。

「去年、U-23で『前にどんどん出て行く』とか、守備のこととか、いろんなチャレンジをしてきたことが今シーズンの自分にプラスに働いているのを感じるし、試合でもそういった特徴を出すことを意識して取り組めている。ただ、あとはやっぱり結果。攻撃のところで違いを出すプレーや最後の迫力、得点につながるアシストとか。明確にチームに貢献できる数字を残せるようになりたいし、何よりチームの勝利に繋げられるようにしていきたい」

 念願だった『初勝利』は前節、先発3試合目となった4月14日のサガン鳥栖戦で実現した。偶然にも前日は自身の24回目の誕生日。勝利は何よりのプレゼントになった…と言いたいところだが、おそらく黒川はそう思っていないはずだ。

「ようやく試合に絡めるようになってきたので、誕生日をきっかけにどんどん飛躍できるようにしたい」

 その言葉を実現するには、まだまだ、もっともっと。昨年、ピッチに立つこと、結果を残すことの難しさを痛いほどに思い知った、彼ならば。

フリーランス・スポーツライター

雑誌社勤務を経て、98年よりフリーライターに。現在は、関西サッカー界を中心に活動する。ガンバ大阪やヴィッセル神戸の取材がメイン。著書『ガンバ大阪30年のものがたり』。

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