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<ガンバ大阪>今年最初の公式戦は黒星発進。後半の戦いは収穫に。

高村美砂フリーランス・スポーツライター

ホームで開催されたルヴァンカップ・第一節、柏レイソル戦。立ち上がりの入りは悪く開始早々に柏にチャンスを作られるなどペースをつかめない。今年のキーの1つに挙げていた前線からの守備もほぼハマらず、逆に相手の術中にはまる中で24分には柏のFWオルンガに先制を許す。その状況を受けて、25分を過ぎたあたりから中盤の配置を変え、MF矢島慎也をアンカーに据えると少しずつチームが機能し、後半に入ってからは前半とは対照的に理想のサッカーで相手を押し込む展開が増える。特にMF遠藤保仁がピッチに立ってからはビルドアップがスムーズに。前を向けるシーンが増え、再三にわたってゴールチャンスを作り出したが最後まで、ゴールネットを揺らすことができないまま、0-1で試合を終えた。試合後のガンバ大阪監督、選手のコメントをお届けする。

●ガンバ大阪/宮本恒靖監督

ー前半、最初の公式戦ということもあってか、スムーズにいかないところもあったと思います。監督はどのようにご覧になられましたか。また後半修正したところを教えてください。

前半自分たちでボールを奪いにいくという姿勢が足りなかったことが立ち上がりの勢いが出なかったところだと思います。何がそうさせたのかというのは、選手に聞いてみないとわからないですが、今年取り組んできたものをスタートから出すようにということをミーティングで伝えて入りましたが、それが出なかった。あとは柏の方が少し前からはめてくるところがあったと思います。それに対して、自分たちが怖がってボールを受けにいかなかったことも要因かなと思います。後半修正したところは、もう一度自分たちがやってきたことを、前からボールを奪いにいく回数を増やしたり、ボールの動かし方の部分の修正をしました。

ー相手が奪いにきたところで、入りの姿勢も問題だったかもしれないですが、後半、遠藤選手が入って矢島選手との関係性を含めて、去年の終盤の良さが出たなと思いました。開幕戦に向けてアンカーの人選のところは、チームの課題だというふうに感じていますか。

アンカーの役割で言うと、全てを兼ね備えていないといけないと思っています。テクニックにしても、戦術眼にしてもボールを奪う強さにしても、そういう選手がはっきりと今、いるかといえば、それぞれにいいところがあって…という感じなので、それはある意味、対戦するチームなのか選手のコンディションなのか、と言う部分を見極めてやっていきたいと思っています。  

●MF遠藤保仁

(後半、遠藤選手が入って前を向いてプレーできるシーンが増えた。前半の流れをみてどういう変化を与えようと考えていましたか)うまくビルドアップができていなかったので、もう少し工夫が必要だと思っていましたが、相手のはめかたがよかったのもあるけど、それにしてもなかなかいい形で相手のエリアに入っていけていなかったので、そこは修正したいと思っていました。(相手のエリアに入っていくための工夫としては何をすべきだった?)要は相手のシステムを変化させる動きが全くなかったので、綺麗に守られていましたし、各ポジションあるとは思いますけど、ボールに対してのポジショニングが一番重要なわけで、もう少し頭を使ってやらなくちゃいけなかった。(前半ボールを持ってから探している選手が多かったですが?)距離感も悪かったですし、相手が守りやすいポジションにみんながポジショニングをとってしまっていたので、システムっていうのはあるんですけどあくまでもテーブル上での話なので、相手ありきなので、ある程度ポジション崩したりっていうことが必要になる。状況に応じて頭使ってやっていければもう少しスムーズにボール回しもポジショニングもできるかなって思います。(判定は覆らないですが、得点が取り消されたシーンはどう見ましたか?)オフサイドポジションにいたのはわかっていたので、ボールがきたから避けましたけど、レフェリーは相手のGKの目線に入っていたと言われたので。目線に入っていたとしても直接GKとゴールの延長線上に立っていたわけではないし、そういうのは話し合いましたがしょうがないと思います。今後もこういうことは起きると思うので、うちだけじゃなくてJリーグ全体としても間違いなく起こりうる例になると思うので、レフェリーとコミュニケーションをとった、という感じです。(チームとしてリーグ開幕に向けて収穫としてあげられるのは?)後半、あれだけチャンスを作りながら決めきれなかったのは課題の1つですが、前半からボールを回してどこからでも攻撃できる、という相手に脅威を与えないといけないので、そういう形を作っていくことは間違いなく必要だと今日感じたと思いますし、ただ先に失点してしまうと試合は難しくなるので悪い中でも失点をゼロでおさえながらっていう、去年の終盤戦みたいな形をたくさん作っていければいいかなって思います。

●FW宇佐美貴史

あとは決めるところだけって感じはしました。決定機の数はすごく多かったし、あとは自分が決めるだけだったと思います。(前半、スムーズにいかなかったところは?)相手がしっかりとポジションを各選手あてこんできて、なかなかパスコースがない中でGKまで下がるシーンもすごく多かったし、そこの立ち位置を少し変えて、慎也(矢島)がアンカーになってから、ボールがうまく動くようになったし、少し前半の中から改善したことが後半になっていきたというか。前半もボールはすごく動いていたので、後半あれだけまわせたというのは前半ボールを動かしていたことが相手のダメージにもなっていたはずなので。基本僕らが常に主導権を握ってサッカーはしたいなと思います。(前半、宇佐美選手が後ろに下がることが多かったのは?)なかなか後ろで詰まっている状態だったので、受けて一度前に出て、っていうところからまずリズムを作ろうと。なるべく前で待っているだけでボールが入ってこない時は、落ちるプレーというのはやっていかないとなって思っていました。(セットプレーでの得点を課題の1つにあげていた。そこに少し怖さが出てきたのはプラス材料ですか?)そうですね。前半も、セットプレーは弦太(三浦)のシーンもあったり、ヨングォン(キム)のシーンがあったり、何本かいいシーンがあったので、そこも含めて決めきるところは足りなかったと思います。(個人的なシュートのインパクトとか見ていると体は切れているなと思いますが)もう少しかな。実践というか、しっかりとした公式戦が始まってまだ1試合目ですし、公式戦のリズムとか空気とか、そういう中での90分が体に染み込んでいく状態を早く作りたい。負けはしましたが悲観するような内容ではないので上を向いて1週間しっかり修正して、個人としても修正して、今週末にぶつけたいなと思います。(遠藤選手が入ってチームとして前を向けるようになった理由はどこにあると?)シンプルに一切無駄なくプレーしてくれるので前にボールも入りやすいし、相手もつかみどころがなくなっていくなと。後半、ヤットさん(遠藤保仁)が入った時は相手もすごく疲弊している状態だったので、その中でヤットさんがしっかり配球役として入ってくれると前はすごくやりやすいですし、後半の頭から終わりにかけて、とか、前半の終わりくらいからかな、そのくらいの内容を最初から出していれば先制点を与えることもなかったと思うし、パンチを食らってから目を覚ますようでは遅いと思うのでそこはチームとしてしっかり修正したい。(相手のGKのクオリティも高かった。FWにとっては難しいGKですか?)GKにすごいシュートを止められたというより、入るシュートを僕自身が打てていなかったと思っています。それ以外のシーンでも決定的なシーンで外しているシーンも…別にGKが脅威ということではなく僕自身がしっかりゴールに入るシュートを打てていなかったということだと思っています。それで相手のGKが乗っていくような流れを作ってしまったのかもしれないけど、特にそういう脅威は感じなかったです。

●MF倉田秋

前半はなかなか距離感がよくなかったですね。けど後半、自分たちの今年やりたい、目指している試合というのがある程度はできたと思っているので、下を向くことなく、次は一番強いマリノスが相手なので、そこで今日の後半だせたものを前半から出せるようにもう一度みんなで準備していきたい。(距離感以外のところで前半、やりたいことができなかった理由として気になったところは?)相手も前半は元気だし、全部が全部、自分たちの流れにできるとは思っていないですけど、試合の中でうまくいっていないときに変化っていうのを選手の中でつけていく必要があるかなって思います。(リーグ開幕に向けて収穫は?)後半は本当に圧倒できたのであとはゴールを取るだけっていうだけだったので、次はそこでしっかりゴールを取れるようにしたいです。

フリーランス・スポーツライター

雑誌社勤務を経て、98年よりフリーライターに。現在は、関西サッカー界を中心に活動する。ガンバ大阪やヴィッセル神戸の取材がメイン。著書『ガンバ大阪30年のものがたり』。

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