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<ガンバ大阪U-23>平均年齢19.55歳の若い戦力が躍動し、逆転勝利。

高村美砂フリーランス・スポーツライター

U-23チームで鍛えられた選手がトップチームで活躍を見せていることもあり、ここ最近のガンバU-23にはユース選手が多数起用されていることから、平均年齢が20歳以下という若さに。今日も19.55歳の若い戦力で上位争いを続ける藤枝MYFC戦に臨んだ。立ち上がりは相手とのシステムによって生まれるギャップに対応しきれず早々に失点を喫したが、その後は落ち着いて試合を展開。ハーフタイムにはしっかりと相手のエース・森島康仁への対応を見直す中でリズムを取り戻し、77分にFW高木彰人が3試合連続となるゴールを決めると、5分と表示されたアディショナルタイムにも得点への執念を示す中で、終了間際に今季初先発のDF奥田勇斗が逆転ゴールを奪う。その直後にはFW高木が再びゴールを奪って相手の息の根を止め、3−1で勝利を飾った。試合後のガンバU-23監督、選手のコメントをお届けする。

●森下仁志U-23監督

今日も少し天候が悪い中、沢山の人に来て頂いて本当に感謝しています。ゲームについては、ユースの選手が今季一番多かったのかな? 最初の失点はこちらの説明不足で、逆サイドの、相手のシステムに対してミスマッチが起きるので、クロスに対してポジションの取り方が少し曖昧になってしまって、失点しましたが、あそこを修正して…でも、ゲーム全体はよくコントロールできていたし、前半はボールは持っていましたけど、少し焦って角度の悪い方、悪い方にボールを奪われて、森島くんを使われて、っていう形だったので、ハーフタイムで少し修正したら能力の高い選手たちなので、そのアングルの部分を理解して…でも一番はあのメンバーでこれだけゲームをコントロールして、結果、3点取れたというのはすごく大きなことだと思いますし、選手にも言ったんですが、これまで過去何年かユースの選手が出て、J3リーグを戦っている時とは違うよと。上の4人が道を開いてくれているので、1〜2ヶ月前まで一緒にやっていたメンバーが昨日もハイパフォーマンスでやっていたので、みんなも夢じゃないという話はしているんですけど、本当に夢じゃないんじゃないかな、っていうパフォーマンスを出してくれました。またこれで自信も…練習をやっているとこうなるともっていけるのでまた、より一層練習をしたいです。

ー今季初出場となったダビド・コンチャ選手、奥野耕平選手は前後半でポジションを変えてプレーしました。彼らの評価を聞かせてください。

耕平(奥野)は今日、サイドバックがいなかったので、急遽左サイドバックをやってもらいましたが、湧矢(福田)も最初の頃は左サイドバックで出ていたんですが、その時のメンタリティが、彼は「僕は試合に出れるならどこでもやります」っていう立ち位置ですごく素直にやってくれて、結果こうなっているよ、っていう話を耕平にもして、彼もすごく前向きにやってくれたと。まあでも、ボランチに入ってからの方が彼の良さは出たと思います。今のトップでやっているシステムでは、耕平はもともと走力もあるし、サッカー的な判断をあげていくことができれば、すごく活きるんじゃないかと思っています。ただ、こっちに足を引きずって、アピールしているようではまだまだなのかなと(苦笑)。また、コンチャに関しては、急遽、トップからリクエストがあって出ることになったのですが、僕としては本当は前で、トップで使いたかったんですが、なかなかサイドに、ワイドの高いところで起点ができなかったので、そこで彼にボールを持ってもらいたいなと。もっとコンディションが上がってきたら、あそこからの突破などもあると思うし、彼ももっともっと良くなるんじゃないかと思います。

ー奥田勇斗選手のゴールシーンですが、ゴールの少し前、高木彰人選手、川崎修平選手に何かを伝えていました。その川崎選手から高木選手がスルーで、ファーサイドから奥田選手が決めた形になりましたが、何か前線の動きについて策を講じたのでしょうか。

どうしてもボールが持てるので、自分のポジションを崩しすぎて、結果ボールが入った時に、誰がどこにいるかを探すのが遅くなっていたように見えたので、もう一度ちゃんとポジションをとれと。0.0何秒のことですけど、それによって仕掛けが早くなるので。だから修平(川崎)にももう一度、高いポジションをちゃんととって、彰人(高木)にはその脇を狙えと。彼らは言えばすぐ理解してくれるので、そういうトレーニングもしていきたいと思います。

ー奥田選手のゴールの評価を。

勇斗(奥田)は緊張したと思うけど、僕は1月も3年生はみんなU-23で練習していたんですが、彼のサッカーセンスというか、判断力はすごくいいものをもっているなと。なので、サイドバックで置いておくのはちょっともったいないなと感じ、U-23ではボランチでもトレーニングさせているんですが、彼はすごく賢い選手で、前を向いたらランとか判断力も高いので、サイドバックだけじゃなくてボランチや真ん中もできるんじゃないかなと思っています。あそこでなかなかスプリントをかけられるのは、サッカーセンスがないと…あのシュートにしてもサッカーセンスがないとできないと思うので。彼も自信になったんじゃないかと思います。

ーユースの選手を使ってもやれる手応えがあるとおっしゃっていた通り、かなり今日の試合というのはユースの選手が単なる穴埋めじゃなくて、平均年齢10歳上の相手にやれるという手応えを掴んだという意味でも大きな勝利だったのかなと思います。

そうですね。藤枝は今日勝てばもしかしたらトップの可能性もあったし、正直どういうゲームになるのかなっていう感じはあったんですが、でも、試合が進むごとに慣れてきたのか…最近は彼らも一緒に週に3日練習ができてるので。彼らにも亮太郎(食野)たちがいた時と同じような練習をしているので、練習の中で違いが出てきたらトップチームでもやれるよと言っているので。すごく意識高く、こうやって結果が出ると、より自信もついてやれるんじゃないかと思います。

ーいい刺激がチームに満ちている中で1−1からさらにギアをあげて相手を突き放せた。メンタル的なことも含めて今のチームの勢いを象徴しているのでは?

やっぱり、練習しないとダメですね。最後走り切るのもそうだし、ボールを奪いにいくメンタリティもそうだし、やっぱり、いま彼ら試合の方がおそらく楽だと思いますが、そのくらいの意識で、本当に技術は高い選手ばかりなのであとは相手より走って、戦って、相手の嫌なこと、怖いことができるようになれば、もっともっと…トップチームにうちのアカデミー出身選手がたくさん出ていけるんじゃないかと思います。

●DF奥田勇斗

(出場は2試合目。どんな刺激をチームに与えたいと思っていましたか?)攻撃まで持っていくのに時間がかかって、なかなか攻める時がなかったので少ないチャンスの中で自分にボールが回ってきたら決めようという意識でやりました。(前半の失点シーンはどう振り返りますか?監督は、相手のシステムに対してできるギャップをしっかり伝えていなかったと会見でおっしゃっていました)コーチがいうには、守備の仕方を言ってなかったとおっしゃってて、でも自分たちも臨機応変に対応できればよかったんですがそれができずに失点してしまって。ただ後半修正してからはそこまで危ないシーンも作られていなかったので、点を取りたいなと思っていました。(追いついてからの展開はどう見ますか?)追いついた時は気持ちも含めて一度、上がった状態なので、まずは気持ちを落ち着かせてからゆっくり相手の様子を見ながら攻めていこうという話をしていました。(ゴールシーンですが、川崎選手からボールがきて、高木選手がスルーして、自分の前にボールがきた。声をかけたのですか?)修平(川崎)が持ったときにはボールを呼んでいたんですけど、彰人くん(高木)にはスルーとは言っていなくて、自分のところにきたらいいなと思ったら、本当に彰人くんがスルーしてくれたので「きた!」と思って、最後は冷静にシュートを打ちました。(逆に緊張するだろうなっていうくらいフリーだったけど)そうですね、結構びっくりしました(笑)。結構冷静に判断できたので、ユースでも点を取っていないので…今季初ゴールなので。トラップが決まったし、GKも出てきているのが見えていたので、少し浮かせたら入るかなっていう感じで冷静に打とうと思っていました。

●MF奥野耕平

(ケガから復帰して初出場でしたね)ようやくスタートが切れました。(前半は本来とは違うサイドバックでした)そうですね。慣れないポジションでしたが、出場できる楽しさもあって、試合に出られるなら…って感じだったので、柔軟にはできたかなと思います。(後半、森島選手へのケアもセンターバックとボランチとでしっかりやれていましたね)センターバックと挟み込むというのはチーム戦術としてあったので、それがうまくいっていた時もあって、そんなに自由にはやらせなかったかなと思います。(先制される展開から逆転できた)失点して、崩れなかったのは…U-23の若い選手は結構崩れる試合も多かっただけに、そこをしっかり耐えきって最後までやれたのは成長かなと思います。

(出遅れた状況になって、ユースの選手も使われてる中でこの試合に対する思いも強かったですか?)リハビリ中ずっとダゾーンやこのスタジアムで見ていたりしていたので、悔しさはずっとあったので、まだコンディションは万全とは言えないですけど、今日は久しぶりに出て楽しんでできたかなと思います。

●FW高木彰人

ユースの選手が頑張ってくれていたので、僕も結果を出さないといけないんですけど、ユースの選手は強度とか、球際だったりレベルがあがっているわけで、そこをしっかり僕たちプロ組がカバーできるくらい、強くやろうというのはずっと言われていたので、今日の試合というのは失点してからもしっかり崩れずに、陸(松田)を中心にできたんじゃないかと思います。(1得点目について)練習からゴールに向かってターンしろって言われていたので、本当にスペースは小さくてもできるって自信を持てと言われていて、ずっと練習していたので、それが今日は試合で出てよかったです。ターンして抜いてからは足を振るまで早かったのはよかったのかなと。もらった瞬間シュートしか考えていなかったので決まってよかったです。(コンスタントに取れていることで意識的にも思い切ってシュートを打てている?)結果が今出ているのは自信になりますけど、トップに絡めないというのは悔しさだし、まだまだやらなといけないっていうことなので、これを続けていけるようにやるだけかなと思っています。(一緒にやっていた仲間が順番にトップに上がったり、他のチームに活躍の場を求めたりしている)そうですね。普通に考えたら自分がほぼ、フィールドプレーヤーの中では一番上で、この年齢でここでやっていたら、っていうことも少なからず思っていますけど、でも与えられたところでやるということはブレずに、悔しい思いをネガティブにとらえずに、ポジティブに捉えて、しっかり結果とプレーで出していけるように、やるしかないと思っています。(逆転できたのは自信になる?)このメンバーで逆転できたのは…自信にもなるし、藤枝相手に…そんなにビッグチャンスも相手に与えていないし、ユースの選手も今日は本当に頑張っていたし、全員で掴み取った勝利だと思います。(試合終盤の高木選手の前線からの守備を見ていても、諦めずに勝とうよっていうメッセージがプレーから感じ取れました)FWって守備の時は声も出しづらいし、後ろから動かされることが多いんですが、そういった時にファーストディフェンスの速さや強さをしっかり示せれば、プレーで見せられたらいいなと思っていたので、伝わっていたならよかったです。と言っても、もっとやらないといけないですけど。

●DF松田陸

相手のフォーメーションとのギャップでクロスの時に対応しきれていなかったので、そこは仕方ないと思って割り切ってやりました。いつもならクロスの時にサイドハーフが閉めろって言われていたので、そこでいつもとは違うポジションを相手がとってきたので、でもそのあとは対応できたのでよかったです。(若いディフェンスライン。キャプテンマークも巻いた試合だった中で自分の意識というか統率しなきゃって思いもプレーに見られた)野田(裕喜)くんが山形に育成型移籍をしてしまって…いなくなっちゃて…これまで引っ張ってもらっていたので、自分がやらなくちゃっていう思いはあったので、頑張りました。(ラインの統率だけじゃなくて縦にずばっと狙っていくシーンも見られた)相手はカウンター気味であそこに入ってくるので、あそこで止められれば時間も作られると思ったので、何回かいきました。(逆転勝ちできたことについて)誰が出ても勝てるってことがわかったので、練習をやり続けて勝ち続けられればそれはトップにも繋がるだろうし、それはいまトップで出ている選手が証明してくれているので、それは見ていて刺激になっているので頑張りたいです。

フリーランス・スポーツライター

雑誌社勤務を経て、98年よりフリーライターに。現在は、関西サッカー界を中心に活動する。ガンバ大阪やヴィッセル神戸の取材がメイン。著書『ガンバ大阪30年のものがたり』。

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