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<ガンバ大阪>清水エスパルスに勝利し、プレーオフステージ選出を決める。

高村美砂フリーランス・スポーツライター

ルヴァンカップ・5節の清水エスパルス戦は、前半終了間際にセットプレーからDF三浦弦太のゴールが決まり1−0で折り返す。後半、直接FKを決められ一度は追いつかれたものの、攻勢に試合を進める中で65分にFWファン・ウィジョが、67分にFW中村敬斗が立て続けにゴールを奪い3−1で勝利。プレーオフステージ進出を決めた。試合後のガンバ監督、選手のコメントをお届けする。

●宮本恒靖監督

ー相手の問題もありますが、前半からいい形でボールを握れました。監督から見てどういう点が良かったのか、ということと、ルヴァンカップ2試合続けて勝利となりましたが、これをどうリーグ戦につなげていきたいと思いますか?

良かったのは、少し握る時間が多くなったと。それはもちろん、相手のやり方もあると思いますが、その中でペナルティエリア付近でチャレンジの部分が出てきたり、チャレンジのスイッチのクサビのボールや、ポジションが良かったところで、前半の途中くらいから良くなったと思います。理想的な形でセットップレーから点が取れたのも、狙いにしていたことの1つだったので良かった。後半に入って、同点に追いつかれて下を向くかなとも思ったのですが、途中から入った選手が力をチームにもたらしてくれたり、ホームで勝ち取るっていう選手の強い気持ちの表れもあり、守備面で選手の集中が切れなかったのも良かった。リーグ戦に流れをというところは、それは若い選手の活躍だったり、ギラギラしたものがチームにいい影響を与えてくれると思うので、そういうものを生かしながらリーグ戦を戦っていきたいと思います。前回のJ1リーグのFC東京の試合でも見られましたが、今日もしっかりボールを握る時間もありましたし、ただ、最後の精度をあげていくという課題は今日も出たのかなと思います。そこはしっかりトレーニングをしていくしかないと思います。

ー右サイドバックに高尾瑠選手を起用しました。どんな特徴を発揮してもらいたいと思っていらっしゃったのか。

少しデビューが遅くなったと思います。もちろん、期待をしているところは春のキャンプからありましたし、その中でプロの試合で使うには物足りないところもあり、U-23の試合に出たり、そこでトレーニングをすることで、本人のマインドも変わってきて、今日は試合に出せる状態にあるなと思って起用しました。そこで求めていたのは攻撃参加が得意なので、相手のペナルティエリア近くでのスピードだったり、鋭さだったり、攻撃的にゴールに向かうプレーを選択できるところは特徴だと思います。前半は何度か見せてくれたと思います。ただラストパスは精度を欠いたり、相手のプレッシャーも厳しい中で、得点には繋がらなかったのは残念でしたが持っているポテンシャルは垣間見れたんじゃないかと思います。

ー藤本選手を交代したことも含めて、右サイドをどう機能させようと思っていたのか。

右サイドというか、少し相手の前でボールを動かす時間が多かったので、もう少し早くバイタルに入れたり、ワンタッチのフリック、ないしは背後へのボールを入れることで、そこで起点を作ることが…左もあまり今日はうまくいっていなかったですが、右サイドでも…淳吾は左利きなので、それを使いたいというところはありました。淳吾の交代については、相手も点を取らなければいけないということで、パワーを持ってきたところでフレッシュな湧矢(福田)を置いて、守備のケアもしながら追加点を狙いに行くと。J3の中でもパフォーマンスはいいものをみせていたので、今日の試合でもそういったものが出ればと思って起用しました。

●MF藤本淳吾

(1点目のコーナーキックについて)コーナーキックを蹴るのは2本目だったし、前回もあんな感じで取れたので、セットプレーで取れればいいなと思っていたので良かったです。(相手にも少し握られた時間もあった中で、自分たちの握った時間帯ではゴールにも迫れた。そこで0−0で終わるのと、リードを奪うのとでは全然後半の展開が違うと考えても、大事な先制点でしたね)本当にその通りで惜しいチャンスもあったし、そういう中で0−0でズルズルいってしまうと、結局相手のあのFKが0−0で決まってしまっていたら、リードを奪われるっていうことになっていたし、展開が変わっていたと思うので、でもああやって先制点を取れたのは良かったです。(前半からペナルティエリアに入っていけるようなチャンスも作れた)チームとして裏に抜ける、走るっていうことをトライしているというか、ツネさん(宮本恒靖監督)も言っているし、小野瀬康介も試合中、ああやってよく裏にとか、中からえぐってとか、やっていて、それは自分に足りていないところだと思っていたので、今日はそこを意識してプレーしていました。(古巣戦でしたが)もう4つ目だから…そんな風に思われてないかもしれないし、でも元気にやっているなって思ってくれたのなら嬉しいです。

●DF青山直晃

先制して失点して、結果、勝てて良かったなという感じですね。(1つ出ていた中で自分に課したことは?)僕の中でセンターバックの左は初めてだったんです。プロになって一度もなくて。右しかやったことがなかったので。初めて左をやって難しいなって思いました。視界も違うし、いろんな問題が起きたのでいい経験にはなったし、でもドキドキしましたね。(そこまで危ないシーンはそうなかった)まあ、ヘディングは全部、弦太(三浦)がいってくれたので、そんなに付かれることもなく、僕がヘディングで競る場面もそんなになかったので、自分のいいところは出なかったですけど、結果、勝ったのが一番大きいのかなと思います。(久しぶりの古巣との対決でした)だいぶ昔すぎて、もう忘れられてるんじゃないかなと思って…清水の人たちからしたら「あれ?いたの?」くらいの感じじゃないかなって思っていたんですけど、でも元気でやっている姿を見せられて良かったです。(次のプレーオフステージに進出を決めたし、若手が躍動し、ベテランもどっしり構えた試合になった。リーグ戦につながる収穫も多かったのでは?)そうですね。カップ戦といっても、勝つのと負けるのとでは全然違うと思いますし、このチームの層の厚さは本当にすごいレベルが高いので、いま誰が出ても遜色がないと思うし、前にも若い選手がいっぱいいるので、本当にこうやって結果が出るというのは大きいなと。これをリーグ戦につなげられればいいなとも思うので、チャンスがくるように頑張ってアピールを続けたいと思います。

●GK田尻健

弦太(三浦)ともいっていましたが、率直にゼロで終わりたかったなっていうのはありました。(前半のうちに点が入ったことの重みについて)後ろであれだけ守っていて前半を0−0で終わってしまうと、後半になると…前半相手に握られた時間もあったので0−0でいっていたら後半相手の勢いが優っていたかもなって思うところもありますし、そういう意味では本当にあそこで1点取れたのは後半の入りにも影響したし、すごく意味のある1点だったと思います。(追いつかれた後もすぐに突き放せた)そうですね。失点したあとに相手が勢いづいたところで2失点目をしなかったのは僕にとってもチームにとっても収穫だし、そういう中で2点目、3点目を取れたのは、この試合の勝負の分かれ目というか、すごく大きかったと思います。(トップでの出場は久しぶり。J3とは違いましたか?)J3で意識しているビルドアップの部分はもっと精度をあげないといけないけど、通用した部分もあったので、それは自信を持ってこれから練習でどんどんやっていきたいと思いましたし、それ以外もクロスだったり、シュートストップだったりも精度を上げないといけないけど止められている部分はあったので、自信を持ってやっていけたらと思いました。ただ、やっぱりちょっとしたミスでシュートまで来られるっていうのも思ったし、J3では通っているパスでもJ1では狙われて通らなかったり、自分からの組み立てももっと考えていかないといけないなって思いました。(相手に許したFKの弾道について)相手が隠しているところの壁の間から飛んできたので全然見えなかったです。結構ドウグラスのシュートもニアに巻いてくるかなっていうのも一瞬よぎってしまって、でもあそこはキーパーサイドだったのでしっかりケアしておかなきゃいけなかったっていうのでこの試合の一番の反省点でした。

●MF田中達也

いけるかなっていうところは前半からあったので、シュートの精度とか、そこで結果を残せるかどうかで大きく変わってくると思うので。でも今は感覚的にいけるなっていうのはあるので、最後のところにこだわるということをより普段の練習からやっていきたいと思います。(いけるな、っていうのはどういうマインドの変化があってのことですか?)マインドの変化というより、単純にいろんなことを考えられるようになってきて、決め打ちのプレーというよりは、相手をみながらプレーできているのかなと思うので。今日は強引にいくばかりじゃなくて、っていうこともできたので、あとは本当に最後の精度かなと思います。周りを見る余裕も多少は出来てきていると思うので、だからこそ最後のシュートだったり、クロスの精度だったりをあげていければと思います。

●DF高尾瑠

持ち味は出せたんですけど最後のところの質は課題として残りました。(J3との違いは感じましたか?)J1はパワーとか、質とか、タイトさは違うなとは思いました。(三浦選手や藤本選手とはどんなコミュニケーションをとっていましたか)弦太君が結構フォローしてくれて、つまったらボールをつけてくれていいよとか、淳吾さんは裏に抜けたら相手がついてくるから裏に抜けろよって言われました。(ある程度満足のいくデビュー戦でしたか)はい。もっと足りないところを突き詰めていったらもっとよさが出るなと思いました。課題は最後の質と守備のところでもうちょっと完全に取りきるとか寄せの部分だと思います。

フリーランス・スポーツライター

雑誌社勤務を経て、98年よりフリーライターに。現在は、関西サッカー界を中心に活動する。ガンバ大阪やヴィッセル神戸の取材がメイン。著書『ガンバ大阪30年のものがたり』。

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