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<ガンバ大阪>満員のヴィッセル神戸戦は2度のリードを奪いながら3−4で惜敗。

高村美砂フリーランス・スポーツライター

チケットは早々に完売し満員のスタジアムで行われたヴィッセル神戸戦。集中力の感じられる立ち上がりを見せたガンバは理想的な展開から2点のリードを奪う。ただし、終了間際にはセットプレーの流れから失点。やや形勢が傾きながら2-1で前半を折り返す。後半、54分に失点し早々に振り出しに戻されたが、72分には遠藤保仁の絶妙なテクニックが倉田秋のゴールを演出し、再度リードを奪ったものの、終盤に2点を返され3−4。試合の内容としては相手を上回っただけに悔やまれる敗戦となった。試合後のガンバ大阪監督、選手のコメントをお届けする。

●宮本恒靖監督

ー前半、2点を獲るところまではかなり狙い通りの展開だったと思いますが、監督はどういう狙いを選手に伝えて試合に入ったかというところと、それが狂い始めたポイントとして感じたことがあれば教えてください。

狙いというのは、相手のポゼッションをしっかりとひっかけるというか、ああいう形でボールを奪うことを狙いとしていました。その後、もう少しあそこまで早く速攻が決まるとは想像していなかったですけど、思いのほか上手くいったところがあったなと思っています。やっぱり2-0で終わった前半なのか、2-1にされてからの後半なのか、というところで少し差はあったかなと思いますし、2-1以降、2-2にされてから…2点目も簡単にやられすぎているところもあると思いますし、3点目もそうですけど、少し淡泊に失点を重ねているな、と。4点目もそうですし、と思って見ています。

ー淡泊に失点を重ねている理由をどう考えますか?

ホームで勝てていないというところで、選手が勝ちに行くためにゴールを狙うというところの裏返しにされたところで3点目があったと思いますし、3-3になってからも、こちらもたくさんゴールに迫った中で、相手もああいう時間帯が出てくる、と。そこで少しゴール前の守備のゆるさがあったところで4点目が決まったかなと思います。選手は立ち上がりの守備のところから規律を持って、しっかりと狙いとすることをやっていたなと思います。ただ、2-2以降、少しオープンな展開になったかなという印象はあります。

ー高選手ですが、いい場面も結構あったとはいえ前半の失点と2点目も含めて、すこしもったいない失点もありました。イエローカードも1枚もらっていた中でも90分、引っ張ったのは、ああいう状況でもさらに頑張ってほしいという狙いだったのでしょうか。

その通りです。あの中でやれよというところ。運動量が落ちてきているとか、カードを1枚もらっているという中ででもやりきるんだ、というところはありました。

●MF高宇洋

(イエローカードは厳しかったですね)なんとも言えないですね、あれは。ただ結果的に、2失点目の時にスライディングをして外に出そうかなということも考えたんですけど、あのイエローをもらっていたし、ツネさん(宮本恒靖監督)からもハーフタイムに気をつけろって言われていたので滑るのをやめたら、結構相手が強くて(クロスを)入れさせてしまった。(今日みたいな相手だとああいうイエローがブレーキになると感じましたか?)正直、前半はガツガツいっていて、後半も奪えるところはあったんですけど、自分の中ではすこしブレーキがかかっていたのかなと。カードが出ると、やっぱり苦しくなるので、慎重にっていうことは考えていたところもあったので。ボールを奪うという部分は一番意識していたところで、前半は特にそこからボールも前につけていましたし、イニエスタ選手のところもしっかり潰しきれて、ほとんどやらせなかったのは良かったと思うんですけど、後半は、自分の中でも整理して入ったつもりですけど、慎重になりすぎたのかなとは正直思いました。(ポドルスキ選手が左右ポジションを変えてきたのは想定内でしたか?)相手のサイドを見て変えてくるというのは聞いていましたし、そこはしっかり対応しようということも言っていました。(相手に強引に来られた時のフィジカルの差は感じましたか)最初の1失点目のファウルの時は正直自分の感覚では取れたという感じだったので、いつも練習からああやって体を入れれば奪えるという部分があったのですが、ポドルスキ選手は手と肩だけでパワーを使ってきたので…ポジティブに捉えるとそういうことを経験できたのは良かったです。(負けるゲームではなかったけど、最後オープンの展開になって質の差が出た。戦い方のバランスはどうみますか?)チーム全体として、ヒガシくん(東口順昭)とかも3点取って、4失点して負けるのはあり得ないことだということもいっていたので、そういう意味では守備でも軽い部分もあったし、クロスでやられたのもほぼそこだけだったので、守り切る部分でまだまだチームとして足りないのかなと感じました。

●FW渡邉千真

(展開としてはどう見ましたか)勝っている時の戦いかたのところで意思統一ができていないし、勝っている時こそ慌ててしまってサッカーをしているなっていうのは見ていて感じました。ちょっともったいなかったですね。(準備していた中で自分が試合に入っていくイメージをどう描いていたのでしょうか)交代は監督が決めることなので、自分はああいったところで、フレッシュな選手が守備のところでプレスにいくとか、一度チームとしてブロック作るとか、相手に攻めさせてカウンター狙いとか、もう少し意思統一を持って進められたらよかった。かなり最後はオープンな展開になってしまっていて、勝っている時に、一度引いて相手に出て来させて、とかっていう戦いもありなのかなとも思いましたし。でも3点取っていて、4失点はきついから、最後の守備のところは、もうすこし考えなければいけなかったな、と思いました。(相手の守備もゆるいことで、前に行けてしまう分、ああいう展開になったところもあったのでしょうか)そうですね。だから敢えて守るというよりは、普通に攻めるという形をとったところはあったと思います。(渡邉選手が投入される際はとにかく点を取ってこいという指示でしたか?)そうでした。ただもう少し時間がほしかったなというのはあります。また弦太(三浦弦太)も前にいたとはいえ、チームとして放り込むのかもはっきりしていなかったし、ああいう状況も自分たちがどうするのかということはチームとして統一しなくちゃいけなかった。

●MF遠藤保仁

(狙い通りの展開だったのかなと思いますが)いい形でリードできましたし、相手にもほとんどチャンスは作らせていなかったと思うので、最後のセットプレー以外は非常にいい内容だったと思います。(3−2にしたときに遠藤選手はどういうことを考えていましたか?守ることを考えたのか、押し切ったほうがいいと思ったのか)チャンスがあれば、リスクを冒していかなくちゃいけないと思いますし、ゲーム自体もバランスは崩さないように、っていうのは一番に考えていました。チャンスがあるのにいかない、という選択はなかったので。前にいけるときはああいう展開でもアグレッシブに行くべきだと思っていたし、それをやりすぎてバランスを崩すようであれば中盤などがゲームを落ち着かせるのも役割だったのかなとは思いました。

フリーランス・スポーツライター

雑誌社勤務を経て、98年よりフリーライターに。現在は、関西サッカー界を中心に活動する。ガンバ大阪やヴィッセル神戸の取材がメイン。著書『ガンバ大阪30年のものがたり』。

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