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<ガンバU-23>決定機を数多く作り出した好ゲームは、引き分けに終わる。

高村美砂フリーランス・スポーツライター

最近はトップチームでプレーしている若い選手が久しぶりにU-23に戻って戦ったギラヴァンツ北九州戦。立ち上がり4分に元ガンバ大阪のFW平井将生に先制を許し出鼻をくじかれたが、以降はしっかり持ち直し、37分にMF芝本連の初ゴールが決まって同点に。さらに前半終了間際にはMF食野亮太郎の左足が炸裂し逆転に成功する。後半も前半の勢いのままに攻勢に試合を運び、数多くの決定機を作り出すが、74分に直接FKを頭であわされ同点に追いつかれてしまう。その後も気持ちを落とさず最後までゴールに向かい続けたが1点が遠く、2−2で引き分けた。試合後のガンバU-23監督、選手のコメントをお届けする。

●宮本恒靖U-23監督

勝ち切らなきゃいけない試合だったと思います。試合内容を見ても、パフォーマンスも非常によかったし、立ち上がりの失点は少しいただけなかったですが、そこから盛り返した部分もよかったし、個人のパフォーマンスもよかった、チャンスも数多く作れていた、と。その中でもったいない失点が2つありましたが、勝ち切るべきゲームだったと思います。普段、あまり試合に出ていないメンバーが試合に出るということで、「自分たちはこういう選手だというパフォーマンスをみせよう」ということと「試合に対して飢えている部分をしっかり出すように」と言うことは伝えました。それは…例えば妹尾なんかも、パフォーマンスとして出ていましたし、野田に関しても後半はよくなったと思います。勝ちきれなかったところはありますが、個人の部分でたくさんいいいところも見えた試合だったと思います。

ーここのところトップで練習をしている選手がたくさん試合に出た試合でした。彼らがトップでの変化を試合の中でどう感じたのか。あと試合感の部分ではどういうふうに感じられましたか。

妹尾は最初、シャドー気味でスタートして2トップにかえて、前線でボールを受ける部分でボールロストというところは減ったというか、また少し役割が違いますが、判断の良さというか改善も見られたのであとはフィニッシュのところだと思います。野田も同じく、試合は今年は少なくてJ3では今日で5試合目でしたが、試合が進むにつれて存在感も増してきましたしビルドアップのところでもいい作りをみせてくれたと思います。高は…トップにいっていた期間は短いですが、無理がきくといいますか、体をあてながら失ったところでももう一回奪い返す、という強さのところはまた増したように思いますし、あとは味方に対する指示もよくなってきたと思います。平尾も、守備の部分でのポジショニングは良くなったと思います。西野については最近こっちで試合をしていますが、失点の部分に関しては彼自身も感じているところもあるはずで改善しなければいけないですが、それ以降はしっかりディフェンスラインを落ち着かせてくれたと思います。

ーこれだけ決定機作った試合はなかなかなかったと思います。これだけの顔ぶれが揃えば、という手応えはありましたでしょうか。

今日の平均年齢が20.18歳だったと思いますが…本来、数多くJ3の試合に出るべき選手が顔を揃えたという印象があります。言い方は難しいですが…試合を計算しながら作っていけるというところは、ベンチから見ていて間違いなくあったと思います。確かにシュート数も多くて、ポストに嫌われたりもしましたが、決定機というところでも、全員がいい距離感で運べていました。また、後半、全員がゴールに入っていくというところについても…今日の試合にはU-23でスタートした選手も何人かいて、彼らにもそこは足りないと強調してきたところでしたが、今日は自然とみんなの意識の中にあったのかなと思います。

●MF妹尾直哉

自分が今日は決められていたら勝てる試合だったのでそこは反省すべき点だと思います。(久しぶりに戻ってきてプレーの変化を自分で感じられるところもあった?)日々練習からうまくなっていっているっていうのは感じていますし、ボールタッチとかもすごく止まるようになってきたのはすごく自分の中では大きな変化だと感じましツァ。あとはああいう大事な場面で決められる力をつけていかないと上で活躍することはできないので今日はそこが明確に課題として出た試合だったと思います。(球際とかボールを納めるところでも変化が見られた)今日は久しぶりにFWをやって納めるところはおさめられたし、ミスもそんなに多くはなかったのであとはシュートのところっていう感じです。(チームとしてもかなりチャンスも作った。トップでやっていた選手も多かったなかでここまでやってきたプライドを示そうという思いも強かった?)コンビネーションのところはやってきたメンバーだったので、多少、一緒にやっていなくても分かり合える部分もあったし、だから今日はパッと集まってもできたんだと思うし、ただ勝ち切らないといけないと思うので、そういう試合をしていかないといけないと思います。

●MF芝本連

(ゴールについて)入ればいいなと思って蹴ったら入ったのでよかったです。感触はよかったです。(左足で合わせた)トラップしている時間はないなと思ったので、左でも打っておこうと思いました。初ゴールをやっととれたのでよかったです。(今日は何人か上からも選手がきていましたが、やりやすさもあった?)そうですね。やったことのある選手ばかりだったので、いてほしいところにいてくれたり、やりやすかったです。

●DF西野貴治

1失点目が悔やまれます。立ち上がりの時間帯で、意識して入りには気をつけていたんですが…あれは本当に個人のところで、迷惑をかけてしまったのは反省しなきゃいけない。(平井選手のスピードはイメージするものがあったと思いますが)そうですね。イメージするものはあったしわかっていたんですが、自分の対応ミスなので、完全に。反省しています。(そこから後半は立て直した)そうですね。今日はみんながモチベーションが高かったし、1失点した後も逆転できていい流れで試合を運べましたが…相手のチャンスもセットプレーくらいしかなかっただけに、あそこはもったいなかったなと思います。勝ちたかったです。そういう雰囲気で戦えていたので。チャンスの数も多く作れただけに、勝ちたかったし、勝たなきゃいけない試合でした。

●DF野田裕喜

自分自身久しぶりのJ3リーグで、最初の入りはあまり良くなかったんですが、途中からは安定したプレーができたのかなと思います。(得点のところも含めて、縦パスをかなり狙っていた)昨日、ミーティングで相手の映像をみて、あそこのシャドーのところがあくというのは聞いていたし、試合の中でも亮太郎には縦パスを入れるから、っていうことも伝えていたので、得点につながったのはよかったです。今日はボールをまわせるという感覚はあったので、あとはチャンスがもっとあったのでそこで決めきれていればもっとよかったなと思います。(試合に出ていないメンバーが試合をする中で意識したことは?)つねさんにはミーティングでも「試合に飢えているだろ?」っていうことは言われていて、その気持ちの部分でも何か…トップもU-23も勝てていない状況が続いていますが、こうしてファンの方に見に来てもらっている以上、何か残せるものをと思い、プレーなり、気持ちで示せればと意識していました。

フリーランス・スポーツライター

雑誌社勤務を経て、98年よりフリーライターに。現在は、関西サッカー界を中心に活動する。ガンバ大阪やヴィッセル神戸の取材がメイン。著書『ガンバ大阪30年のものがたり』。

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