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また負けた自民・・・千代田区長選都民ファースト勝利のデータから考える都議本選と政局

高橋亮平日本政治教育センター代表理事・メルカリ経営戦略室政策企画参事
(写真:つのだよしお/アフロ)

昨日1月31日投開票となった千代田区長選挙で、都民ファーストの会が推薦(国民民主支持)する無所属新人で元都議会議員の樋口高顕氏(38)が、自民、公明推薦で元区議の早尾恭一氏(59)、日本維新の会推薦で印刷会社執行役員の五十嵐朝青氏(45)など無所属新人の3人を破り初当選した。

都民ファーストが勝利したことで、都議選と今後の政局が分からなくなってきた。

今回の千代田区長選挙の結果のポイントを整理しておこう。

- まず1つは、なんと言っても都民ファーストの候補が勝ったこと。

- 次に、自民公明推薦の候補が負けたこと。

- そして、これだけ政権批判が高まっている追い風のタイミングでも立憲などが候補を出せなかったこと。

- 最後に、維新の候補が善戦したこと。

という整理になる。

昨年7月の都議補選直後に『自民4戦全勝だった都議補選、来年の都議本戦に向け本当に勝ったのはあの政党』と、自民が補選4戦全勝だったにも関わらず、各選挙区の情勢をデータから見て、「補選の結果で、1議席を争う選挙では、現状でも自公が勝つことが見えてきたが、127議席ある都議会の議席のうち1議席の選挙区は7選挙区しかない。今回の4選挙区でも紹介したように、その結果は必ずしも自公圧勝という形ではないように見える。」と指摘した。

この2020年の都議補欠選挙、4選挙区のうち都民ファーストが候補を出せたのは、現職がいなくなった北区だけ。

その北区の選挙も、都知事選挙と同日だったにも関わらず、前回都民ファーストの候補が56,374票獲得し圧勝した選挙区にも関わらず、23,186票しか取れず、自民は勿論、立憲、維新の後塵を拝し4位となっていた。

図表: 北区の選挙結果の推移

出典: 筆者作成

この時点で、業界で認識されたのは、都民ファーストでは勝てない。

小池知事は、自民と連携するというシナリオだった。

それが今回の選挙で、1人区の区長選挙で都民ファーストが勝ったことで、状況は一変したと言える。

図表: 千代田区の選挙結果の推移

出典: 筆者作成

千代田区の2013年以降の区長選、都議選、衆院選の結果を並べてみた。

区長選はなんと過去3回連続で自公推薦候補が負け、都議選も1勝1敗、衆院選も1勝1敗と、千代田区においては、必ずしも自民党が強くないことも見えてくる。

こうやってデータだけを見ると、夏に行われる都議選も千代田区選挙区の1議席は、擁立する候補者にもよるが、都民ファーストになる可能性が高まってきたようにも見える。

一方で、今回の千代田区長選挙の裏では、小池都知事と因縁関係と言われていた都議会のドンともいわれた内田茂 前都議とが「手打ちした」との報道も流れた。

内田氏が間接的に樋口氏を支援する代わりに夏の都議選で、都民ファーストの候補を出さないことで、内田氏の娘婿の内田直之 区議が当選できるよう小池氏と裏取引したという噂もある。

今回の千代田区議補欠選挙の結果を見ると、都民ファーストが候補を出さず、自民党候補が12,807票を獲得して圧勝している。

噂が事実だとしたら、逆にこの選挙区は自民で決まりということになる。

お粗末だったのは、立憲を中心とした野党共闘の枠組みだろうか。

1人区の首長選挙では、野党候補が勝つのが難しいので、候補者擁立を見送るケースはあるが、新型コロナウイルス対策などで、政権支持率が急激に下がり、一方で、今年秋までに衆議院の任期は満了、総選挙はいつあってもおかしくない状況とも言える。

こうした状況下で、しかも実質的な保守分裂選挙の中での棄権は、今後の衆院選、都議選に水をさしたように見える。

一方で、こうした状況の中にも関わらず、候補擁立できた維新には一定の可能性も見えたように思う。

先述の記事『自民4戦全勝だった都議補選、来年の都議本戦に向け本当に勝ったのはあの政党』、またその前に書いた『データで見る都知事選と、永田町で噂される9月解散総選挙・小池総理の可能性』でも、都議補選で実質的に勝ったのは維新ではないか、都知事選の善戦も今後の都議選・衆院選にも大きな可能性を残したと紹介したが、今回の千代田区長選挙でも一定の成果が示せたと言えるのではないだろうか。

上記ブログでも東京で支持基盤をつくりつつある維新は、総選挙でも東京比例で2議席取れる可能性を指摘した。

都知事選で善戦した小野泰輔 前熊本県副知事は、次の総選挙で東京1区で維新から公認されている。

今回、その東京1区でも維新が一定の票を獲得することが見えた。

小選挙区では難しくても、比例復活の1つが1区になる可能性も見えてきた。

しかし、今回の千代田区長選挙の結果で最も大きかったのは、やはり都民ファーストの勝利だろう。

昨年の都議補選後には、このままでは都議選に勝てないと、離党者がで始めていた。

今回の千代田区長選挙でも都議補選の時同様に惨敗ということになっていれば、前回の都議選前に民進党議員が雪崩を起こすように離党していった状況と同様に、都民ファーストは解体ということになりかねない状況だった。

そうなれば、小池知事も、自民党との連携や、自身も自民党に戻るという選択肢に限定されてしまう可能性もあった。

しかし、今回の勝利で、小池氏は、前回ほどとまでは行かずとも、都議選に都民ファーストでそこそこ勝つ可能性まででてきた。

そうなれば、自民党に戻る以外にも、いくつもシナリオの可能性が出てくるし、自民党に戻るにしても高く売れることになるだろう。

今回の千代田区長選挙では、小池知事が連日のように応援に入った。

自身の都知事選の際には、新型コロナウイルス対策で、ほとんど選挙を行わなかったにも関わらずだ。

もちろん、知事選の際には、コロナ対策を行うことでメディアを使ってイメージを上げる方が選挙に有利だという側面もあっただろう。

しかし、今回の選挙でもさまざまな批判もある中、手を尽くして、小池知事は、またしても大事な選挙を勝ちきった。

この勝利は流石としか言いようがない。

また政局が面白くなってくることを期待したい。

日本政治教育センター代表理事・メルカリ経営戦略室政策企画参事

元 中央大学特任准教授。一般社団法人生徒会活動支援協会理事長、神奈川県DX推進アドバイザー、事業創造大学院大学国際公共政策研究所研究員。26歳で市川市議、全国若手市議会議員の会会長、34歳で松戸市部長職、東京財団研究員、千葉市アドバイザー、内閣府事業の有識者委員、NPO法人万年野党事務局長、株式会社政策工房研究員、明治大学世代間政策研究所客員研究員等を歴任。AERA「日本を立て直す100人」に選ばれた他、テレビ朝日「朝まで生テレビ!」等多数メディアに出演。著書に『世代間格差ってなんだ』(PHP新書)、『20歳からの社会科』(日経プレミアシリーズ)、『18歳が政治を変える!』(現代人文社)ほか。

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