データで見る都知事選と、永田町で噂される9月解散総選挙・小池総理の可能性

(写真:つのだよしお/アフロ)

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366万票を獲得して小池知事が圧勝で再戦

7月5日、任期満了による東京都知事選挙の投開票が行われ、現職の小池百合子氏が2回目の当選を果たした。

今回の選挙でも小池氏は、政党の支援を受けませんでしたが、自民党は、独自候補の擁立を断念し、二階幹事長が支援する考えを示していたほか、公明党も実質的に支援しました。

新型コロナウイルス対応のため、知事としての公務を優先するとし、街頭演説も一切行わず、インターネットを通した運動に徹したにもかかわらず、366万票を獲得し、圧勝した。

選挙前に各党などが実施した世論調査では、出馬可能性のある候補者達に圧倒的な差をつけ50%以上の支持があったとされているが、選挙期間を通じて、無党派層などへ支持をさらに広げた形になった。

前回の得票を70万票以上も上回ったことに驚きを持つ人もいるようだが、前回の選挙は、自民党推薦の増田氏が出ている中で、自民党の一部、公明党、今回は維新の現職として独自候補を擁立した音喜多氏などの支援を受けての選挙だったため、今回の選挙と単純な比較はできないが、小池氏の得票など自公関係の票に、維新の票を合わせて保守系票として捉えて、野党共闘候補や山本氏の票を革新系票として比較すると、保守系票は、今回が4,273,901票(69.7%)、前回は4,706,081票(71.9%)、革新系票は、1,501,428票(24.5%)、1,346,103票(20.6%)と見ると、主要候補者やその枠組みが変わっても、それ程大きな変動はないようにも見える。

今回、自民党が独自候補擁立を断念した時点で、小池氏が前回の得票を大幅に超えることは、大方の予想はできていた結果と言える。

NHKの出口調査では、自民党支持層の80%弱を小池氏が占めたと報道されているが、むしろ自民党が独自候補を出さずに実質的な支援をしていたのだとしたら、小池氏の浮動票の支持は前回より下回っているか、もしくは自民党支持層の中で一部選挙に行っていない層がいる可能性がある数字のようにも見える。

不発に終わった野党共闘と、衆議院東京比例で2議席が見えてきた維新とれいわ

今回の選挙は、もはや最初から小池氏の圧勝が見えていた選挙であり、むしろ注目は、いわゆる革新系が2つに割れ、そこにコロナ対策で支持を高めつつある維新が東京でどれだけ支持されるかという2位から4位争いにあった。

今後の政局を左右するという意味では、最も注目されるべきは、立憲、共産、社民による野党共闘候補である宇都宮けんじ氏が、2位になれず、これまで野党が唯一の選択肢だと考えていた野党共闘の枠組みが存在価値をなくしていくことがあるのかということだった。

結果によっては、立憲は代表交代の必要性等も言われはじめていた中で、今回は、最低限の2位は何とか守ったという形になった。

これにより、噂される衆院解散など、今後の国政選挙においても、野党共闘の枠組みの可能性は選択肢としては残ったように思う。

もう一つの注目は、維新がどれだけ躍進するか、無名の新人である熊本県副知事を務めた小野氏を擁立しての挑戦だった。

大阪では、知事選、市長選、国政選挙まで圧倒的な強さを見せる維新だが、これまでは、関東ではほとんど議席を取れないような状況が続いてきた。

今回図表にも記載したが、維新は2016年の参院選の東京選挙区に元長野県知事の田中康夫氏を擁立し45万票以上獲得したものの落選、2019年の参院選東京選挙区で音喜多氏を擁立し50万票以上を獲得してはじめて東京都内の選挙区で議席を獲得したのだが、今回の小野氏の得票は、そこからさらに10万票近く上積みした60万票以上の獲得となった。

結果的に都知事選挙としては4位に終わったが、維新としては、圧倒的な知名度を誇る3候補を敵に回して、無名の新人候補でのこの善戦は、今後の国政選挙、来年に控える都議会議員選挙において、大きな可能性を残したのではないかと思う。

4都議補選で全勝した自民。9月解散の可能性

今回の都知事選を終えて、野党共闘が不振に終わったことで、自民党内では、野党が立ち直る前の早い段階での解散などが言われてきている。

都知事選自体もそうだが、自民党にとっては、同時に行われた4つの都議補選で全勝したことも追い風となっている。

1議席を争う選挙で自公が連携すれば勝てることが見えたことで、衆院選における小選挙区での勝算が見えてきたのだろう。

公明党は新形コロナの影響などもあり選挙準備が整っておらず、年内解散には否定的なようだが、いずれにしても衆議院の任期である来年10月までには総選挙を行わなければならない。

自民党総裁任期はその直前の来年9月までであり、その任期で自民党総裁選挙を行い、このタイミングに新総裁で解散総選挙をやる可能性は1つある。

しかし、自民党にとって今後の政治スケジュールを見ると、厳しい状況になることも考えられる。

11月には米大統領選が行われる。

安倍政権はこれまでトランプ政権との近さを外交でアピールしてきたが、仮にこの米大統領線でトランプが負けることになれば、少なからず影響を受ける可能性がある。

もう一つ可能性があるのは、東京五輪の中止である。

早ければ今年10月頃に開催の判断をすると言われているが、現状の世界におけるコロナの状況を鑑みれば開催は難しく、聞こえてくる声からは、既に中止が既定路線のようにさえ感じる。

こうしたことを考えると、現状のコロナ対策などで求心力の低下している安倍政権ではあるが、この2つを受けてさらにダメージを受けることを考えると、9月の冒頭解散は大いに可能性がある。

自民党側からの視点で今回の都知事選を見ると、最も大きかったのは、野党共闘の候補者が13.8%しか取れなかったことだろう。国民民主党が自主投票となり、連合東京も実質的に小池支持となったことなどもあるため、既存の野党共闘の枠組みであってももう少し増えることは予想できるが、そこを加味しても現状では野党共闘に脅威を感じる状況ではないことが明らかになった形だ。

加えて言えば、未知数だったれいわの山本氏の存在についても、当初、野党共闘よりも票を取るのではなどとも言われていたが、終わってみれば不発に終わった。

衆議院選挙と知事選挙とでは単純な比較はできないが、仮にこのままの状況で衆議院選挙に突入した場合、2017年の衆院選の東京ブロックで立憲4議席、共産2議席だった議席は、合わせて3議席に満たない可能性があるという数字になる。

一方で、今回の都知事選のデータで抑えておかなければならないのは、山本氏も小野氏も60万票を超えたということだ。

前回の衆院選に当てはめれば、維新もれいわも単独で挑戦しても比例東京ブロックで2議席獲得できる可能性が出てきたということになる。

こうした状況で、野党が考えるのは、これまでの野党共闘からさらに踏み込んだ連携ということになるだろう。

今回の知事選で連携した立憲、共産、社民に国民や連合はもちろん、れいわ、さらに維新まで連携しないと、対抗勢力になりえないという発想だ。

いみじくも今回の都知事選挙では、自主投票となった国民の前原誠司議員などが維新推薦の小野氏の応援に入っている。

前原氏と言えば、2017年の衆院選直前に最後の民進党代表として、小池知事と組んで希望の党を立ち上げた中心人物だ。

その前原氏、先月、維新の馬場伸幸 幹事長との共同代表として、国民の岸本周平 選挙対策委員長などと勉強会を立ち上げている。来週行われる勉強会のゲストは吉村洋文 大阪府知事とも言われる。

国民が野党共闘から舵を切って維新と連携する可能性も出てきたようにも見える。

ポスト安倍候補に「小池総理」の可能性

ただ今回紹介したのは、あくまで東京都知事選挙の結果でしかない。

前提となる今回の都知事選は、自民党は独自候補擁立をめざしたものの事前調査で小池知事が強過ぎ勝てる候補が擁立できそうにないため断念したとも言われる。

また小池知事は、無党派層の獲得のために、自民公明からの推薦を蹴って無所属での出馬となっている。

このことから考えれば、小池知事の得票数は、単純に自公の票にならない可能性も高い。

そんな中で、9月解散とともにまことしやかに噂されるのが「ポスト安倍に小池氏」との話だ。

こう話をしているのは、自民党の二階俊博 幹事長とも言われる。

小池氏が解散総選挙で衆議院に鞍替えすれば、今回の都知事選ほどではないにしろ、自民党から出れば与党には追い風になる可能性はある。

先述のように、10月には東京五輪の中止が決まることもありうる。

そのダメージは、国以上に東京都や小池知事が負う可能性もあることを考えると、新型コロナウイルスの状況にもよる部分はあるが、むしろ逆手にとって「コロナ対応は国の対応を変えなければ」などと国政に転じる理由にする可能性はある。

東京五輪がなくなった都政から次のステージへの転身、少なくとも都知事任期の4年間の間には行われそうな気がする。

その際は、再度都知事選挙が行われることになる。

そう考えると今回の都知事選の中でどれだけ協力的だったかは別として、小池知事の批判が自民党都連の中から出てこなかったことも頷ける。

二階氏は、菅官房長官に次期総裁選への出馬を促したとも言われている。

ポスト安倍として名前が上がっているのは、岸田文雄 政調会長、石破茂 元幹事長、河野太郎 防衛大臣、菅義偉 官房長官の4人だが、未だにどうなってくるかは分からない。

その5番目の候補に小池氏の名前が上る可能性はある。