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米海軍、海自護衛艦「いずも」のF35B着艦誘導装置をレイセオンと契約

高橋浩祐米外交・安全保障専門オンライン誌「ディプロマット」東京特派員
海上自衛隊最大の艦艇であるいずも型護衛艦1番艦「いずも」(写真:海上自衛隊)

米海軍の航空システムコマンド(NAVAIR)は、海上自衛隊の護衛艦「いずも」にF35B戦闘機を着艦誘導するための装置を配備する契約を米レイセオン・インテリジェンス&スペース(RI&S)に授与した。契約額は860万ドル(約11億3000万円)。

NAVAIRの2月7日付のプレスリリースによると、米海軍は2022年12月、海上自衛隊の代表者と協力して、FMS(対外有償軍事援助)を通じてレイセオンに契約を発注した。NAVAIRは米海軍に航空機と航空機搭載兵器に関わる物的支援を提供する機関だ。

「いずも」に搭載される着艦誘導装置は、米海軍とレイセオンが共同開発した「ジェイパルス(JPALS:Joint Precision Approach and Landing System)」。JPALSはGPS衛星信号と慣性航法システム(INS)を組み合わせて使用することで、F35Bやオスプレイといった軍用機を自動的に安全かつ正確に着艦誘導する全天候型のシステムだ。

防衛省は、いずも型護衛艦1番艦「いずも」と2番艦「かが」に短距離離陸と垂直着陸が可能なステルス戦闘機F35Bを搭載できるよう、軽空母化改修を進めている。2022年度予算で、いずも型護衛艦改修費用61億円のうち、「いずも」の着艦誘導装置を先行取得するための費用36億円を計上していた。また、2023年度予算でも、「いずも」と「かが」の改修費として52億円を計上し、「かが」の着艦誘導装置を取得する。

NAVAIRによると、JPALSは2024年に「いずも」に配備される予定だ。

JPALSは現在、すべての米海軍の空母と強襲揚陸艦に加えて、英海軍の空母「クイーン・エリザベス」とイタリア海軍の軽空母「カヴール」に配備されている。海自の「いずも」と「かが」はこれに加わることとなる。

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米外交・安全保障専門オンライン誌「ディプロマット」東京特派員

英軍事週刊誌「ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー」前東京特派員。コリアタウンがある川崎市川崎区桜本の出身。令和元年度内閣府主催「世界青年の船」日本ナショナルリーダー。米ボルチモア市民栄誉賞受賞。ハフポスト日本版元編集長。元日経CNBCコメンテーター。1993年慶応大学経済学部卒、2004年米コロンビア大学大学院ジャーナリズムスクールとSIPA(国際公共政策大学院)を修了。朝日新聞やアジアタイムズ、ブルームバーグで記者を務める。NK NewsやNikkei Asia、Naval News、東洋経済、週刊文春、論座、英紙ガーディアン、シンガポール紙ストレーツ・タイムズ等に記事掲載。

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