北朝鮮が5月7日に潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)と推定されるミサイル1発を発射した。このミサイルは「北朝鮮版イスカンデル」と呼ばれる地上発射型の短距離弾道ミサイル(米軍コード名:KN23)の改良型とみられ、昨年10月19日以来の2度目の発射実験となる。

韓国軍の合同参謀本部は、北朝鮮が7日午後2時7分ごろ、同国東部の咸鏡南道(ハムギョンナムド)新浦(シンポ)付近からSLBMを発射したと推定されると発表した。高度は約60キロ、飛行距離は約600キロだった。日本の防衛省も、今回のミサイルが同日午後2時6分ごろ、朝鮮半島東岸付近から発射され、最高高度約50キロで、約600キロ飛翔したと発表した。

北朝鮮が7日に発射したSLBMとみられるミサイルの飛翔イメージ図(防衛省発表)
北朝鮮が7日に発射したSLBMとみられるミサイルの飛翔イメージ図(防衛省発表)

このミサイルの軌道は、北朝鮮が昨年10月19日に潜水艦から発射し、実験に成功したと発表した新型の小型SLBMとほぼ一致している。韓国軍合同参謀本部によると、この前回のSLBMは咸鏡南道・新浦沖の海上から日本海に向けて発射され、高度は約60キロ、飛行距離は約590キロだった。新浦には北朝鮮の潜水艦基地がある。

北朝鮮は昨年10月19日に新型の小型SLBMの発射実験を行い、成功したと発表している(労働新聞)
北朝鮮は昨年10月19日に新型の小型SLBMの発射実験を行い、成功したと発表している(労働新聞)

この小型SLBMは4月25日の軍事パレードでも登場したばかりだ。軍事パレードで公開されるのは初めてだった。外形がロシアのイスカンデル-Mシステムから発射される短距離弾道ミサイル9M723とよく似ている。韓国軍は、このミニSLBMが「北朝鮮版イスカンデル」と呼ばれる地上発射型の短距離弾道ミサイルKN23をSLBMに改良したものとの見方を示している。

4月25日の北朝鮮の軍事パレードに登場した小型SLBM。5月7日に潜水艦から発射された短距離のSLBMとみられる(労働新聞)
4月25日の北朝鮮の軍事パレードに登場した小型SLBM。5月7日に潜水艦から発射された短距離のSLBMとみられる(労働新聞)

北朝鮮は、この小型SLBMを昨年10月の国防発展展覧会「自衛―2021」でも、「北極星5」と「北極星1」とともに展示した。

2021年10月の国防発展展覧会「自衛―2021」で、「北極星5」(左)と「北極星1」(中央)とともに展示された小型の新型SLBM(右)(労働新聞)
2021年10月の国防発展展覧会「自衛―2021」で、「北極星5」(左)と「北極星1」(中央)とともに展示された小型の新型SLBM(右)(労働新聞)

昨年10月19日の小型SLBMの発射では、北朝鮮は「8.24英雄艦」と呼称する潜水艦を使用した。北朝鮮は2016年8月24日に初めてSLBMの「北極星1」の発射に成功した時にも、この潜水艦を使用した。同潜水艦は「コレ級潜水艦」(排水量約1500トン)とみられる。2021年版防衛白書によると、北朝鮮はSLBMをこのコレ級潜水艦から発射しており、現在、同潜水艦を1隻保有している。

北朝鮮はSLBMの開発に注力しており、2021年1月発表の「国防発展5ヵ年計画」の中で、原子力潜水艦と水中発射核戦略武器の保有を掲げている。

4月25日の軍事パレードでは、既存のSLBMの「北極星4」と「北極星5」と比べ、より大きくなった新型のSLBMとみられるミサイルも初めて公開された。

25日の北朝鮮の軍事パレードに登場した大型化した新型SLBMとみられるミサイル(労働新聞)
25日の北朝鮮の軍事パレードに登場した大型化した新型SLBMとみられるミサイル(労働新聞)

●立て続けのミサイル発射の背景

今回のSLBMとみられるミサイルの発射は4日の弾道ミサイル発射に続くもの。北朝鮮のミサイル発射は、今年に入ってから14回目に及ぶ。北朝鮮がこのところ、ミサイルを立て続けに発射している背景としては、中長期的な軍事力強化の計画に加え、米韓同盟の強化で北朝鮮への対決姿勢を強める韓国の尹錫悦(ユン・ソギョル)次期政権を強くけん制する狙いがある。

韓国では3日後の10日に尹氏の大統領就任式が予定されている。また、バイデン米大統領が20~22日に韓国を訪問し、21日に尹氏と初の首脳会談を開催する予定だ。北朝鮮による7回目の核実験などさらなる軍事的な挑発が懸念されている。

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