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汗を吸ったマスクはどうする?新しい生活様式でのマスクの扱い方は【#コロナとどう暮らす

高垣育薬剤師ライター、国際中医専門員
マスクの扱い方(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート)

 緊急事態宣言が解除され、「新しい生活様式」による暮らしが始まってから約1カ月が経過しました。「感染防止の3つの基本」のひとつとして、日常生活でも「マスク着用の習慣」はすっかり定着しましたが、食事の際や汗をかいたときなど、外したマスクの取り扱いに困ってしまう場面も増えましたよね。

 Yahoo!ニュースの記事にもこうした場面でのマスクの扱い方に戸惑う声が多く寄せられました。

 そこで、これらのみなさまの声を参考に、新型コロナウイルス感染拡大を防ぎ、自分や大切な人の健康を守るために欠かせないマスクと、これからの日々を上手に過ごすにはどうしたら良いのか解決法を探りました。

マスクに関する5つの「どうなの?」解決策

 自分や相手を感染リスクから遠ざけるためには、お互いがマスクを着用し、自分の口から飛沫が飛んだり、吸い込んだりするのを防ぐよう努めることが大切です。しかし、感染拡大を防ぐためにマスクの着用が欠かせないとはいえ、マスクとともに過ごしていると「これってどうなの?」という困った場面に直面することも多いかもしれません。

 そこで以下のような、誰もが一度は遭遇しそうな「マスクの扱いについて困惑する5つのシーン」に対し、その解決方法を探ってみました。

食事のとき、外したマスクはどうすれば良いの?

 マスクが外せない生活を送る中で、まず困るのが食事のときではないでしょうか。いったん外したマスクはテーブルに置く? ポケットに入れる? いったいどうすれば良いのでしょう。

 厚生労働省は使用後のマスクについて「汚染している可能性があるので、なるべく触らず、紐の部分を持って外し、ポケットに直接入れず、ビニール袋などに入れましょう」と実践例を挙げています。

 つまり、むきだしのままポケットにしまったり、テーブルにそのまま置いたりするのは避けましょう、ということのようです。

 ポケットは自分しか触れないのだから、一見ウイルスの汚染とは無関係に思えます。しかし実際は、消毒をしていない手やスマートフォンを無意識にポケットに出し入れしているかもしれず、そこにむきだしのマスクを入れたら、マスクが汚染してしまうかもしれません。

 また、自分より先にテーブルを使った人が感染者だったり、自分が感染者だったりした場合、マスクをそのままテーブルに置いてしまうと汚染のおそれがあります。

 感染拡大を防ぐためには、食事などでしばらくの間マスクを外すというような場合、清潔なビニール袋などを用意し、そこに一時的に保管するようにしましょう。

夏でもマスクを常時着けていないとダメ?

 これまでマスクは、主に冬から花粉症の季節にかけて活躍していたアイテムでしたが、新しい生活様式においては、暑くなってからも欠かせないアイテムになりました。

 ただし、気温の高い日が続く季節には、新型コロナウイルス感染予防と熱中症予防を両立させるマスクの使い方が求められています。

 そのための実践方法が「新型コロナウイルス感染症の流行を踏まえた熱中症予防に関する提言」に示されています。

 ポイントは3つです。

1、マスクを着用していると身体に負担がかかります。適宜マスクをはずして休憩しましょう。

2、ただし、感染症対策を実践することも大切なので、マスクを外す際はフィジカルディスタンシング(厚生労働省は、ほかの人との十分な距離を「少なくとも2m以上」と示しています)に配慮するようにしましょう。

3、マスクをしていると加湿されるため、のどの渇きを感じにくくなるかもしれません。口渇感によらず、水分をこまめにとるようにしましょう。

 こうしたポイントを踏まえつつ、熱中症予防と感染対策を上手に両立させていきたいですね。

汗でびしょびしょになったマスクはどうする?

 暑くなってくると、通勤、通学などの途中でマスクの中が汗でびっしょりとなる場合がありますよね。濡れたマスクは、着用し続けていて大丈夫なのでしょうか……。

 湿気を帯びたマスクの取り扱いについては、消防庁消防・救急課消防庁救急企画室の「新型コロナウイルス感染症対策に関する緊急対応策(第2弾)の決定等について」に、サージカルマスクの場合「同じマスクを長時間使用すると湿気を含みフィルター性を損なうので、1回使い捨てにする」という記載があります。

 どうやら、せっかく感染予防のためにマスクを着けていても、濡れたらフィルター機能が損なわれるかもしれないということのようです。

 つまり、汗でびしょびしょに濡れた状態になったら、そのマスクの使用は中止し、清潔なマスクに交換するのが良いと考えられます。

 ですから、マスクが汚れたり濡れたりしたらすぐに交換できるように、清潔なマスク(新品や、洗濯をしてよく乾燥させたもの)を予備として何枚か持ち歩くようにするのが良いかもしれませんね。

マスクを洗いながら再利用していたら、ゴムが伸びてフィルターもよれてきたけど、まだ使っていて良い? 交換のタイミングは?

 布マスクはどのくらいまで使えるかという質問について、厚生労働省は「形が崩れてきましたら、使用を中止してください」と回答しています。

 手作りの布製のマスクについても、形が崩れてきて顔にフィットせず隙間がたくさんできるようになってきたら、新しいものに交換する時期の目安と言えるでしょう。

 使い捨てタイプのマスクは、1回使ったら捨てて新しいものと交換する、というのが基本的な使い方です。しかし、入手自体が困難という状況においては、再利用せざるを得ない場合もあるかと思います。

 サージカルマスクという医療用の使い捨てマスクの再利用については、厚生労働省の資料に「目に見えて汚れた場合や損傷した場合は、廃棄すること」とあります。

 また日本環境感染学会の「医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド第3版」には、再利用時に明らかな損傷や汚染がある場合に加え、「ゴムの劣化などが生じた場合は廃棄する必要があります」という記載があります。

 したがって、使い捨てマスクのゴムが伸び切って顔にフィットさせるのが難しくなったり、損傷や汚れでフィルターが適切に機能しないおそれがある状態になったりしたら、それが新しいものと交換するタイミングと言えそうです。

不織布マスクが手に入りにくくなったから、なんとなく代わりに布マスクを使っているけど効果は? 本当に役に立ってるの?

 

 布製のマスクがすっかり身近になりましたが、「不織布マスクの代わりに使い始めたものの、布マスクには本当に効果があるの?」と疑問に思っている方がいるかもしれません。

 厚生労働省は布製マスクに対し、下記のような3つの感染予防の効果が期待されると示しています。

  1. 咳やくしゃみなどが飛び散るのを防ぐ。
  2. 手指が口や鼻に触れるのをマスクによって物理的にガードできる。
  3. マスクを着けることで鼻やのどが潤って、風邪などをひきにくくなる。

 さらに、同省のホームページには次のような興味深い研究データが紹介されています。無意識に顔を触る回数を調べたというこの研究によると、1時間当たりで口に触れる回数は4回、鼻に触れる回数は3回だそうです。

 つまり、布や不織布など素材に関わらずマスクを着け物理的に口や鼻をガードしていれば、(1時間のうちに何度も無意識に触れてしまう)口や鼻の粘膜からの接触感染の機会を減らすために役立つ、と言えるようです。

今こそ確認したいマスクの基本

 新しい生活様式で暮らしていくにあたり、さまざまな場面でマスクの扱いに戸惑うことも増えてきたと思います。でも、マスクの基本は変わりません。

 まずは顔にぴったりフィットするサイズのものを使いましょう。ウイルスを含む飛沫などはすべてがフィルターを通るわけではなく、鼻周りや頬のあたりにできた隙間を通るからです。

 顔にフィットするマスクを選ぶのは簡単です。日本衛生材料工業連合会では親指と人差し指を使ってできるマスクの選び方を解説しています。

  1. 親指と人さし指でL字のかたちを作ります。
  2. L字型にした親指の先を耳の付け根の一番高いところにあてます。
  3. 次にL字型にした人さし指を鼻の付け根から1cm下にあてます。
  4. このときの親指から人さし指の長さがあなたに合ったマスクのサイズの目安です。
  • 9~11cm:こどもサイズが勧められます
  • 10.5~12.5cm:小さめサイズが勧められます
  • 12~14.5cm:ふつうサイズが勧められます
  • 14cm以上:大きめサイズが勧められます

 そしてマスクの基本として、もうひとつ忘れてはならないのが、「マスクを扱う前後には必ず手洗いや手指消毒を実施する」ということです。

 特に、いったん外したマスクを再び装着するときは要注意です。

 

 たとえば食事のシーンを思い浮かべてみてください。食事前にしっかり手を洗っても、食事中にレジ袋から何かを取り出したり、スマートフォンを操作したりすることがありますよね。すると、その手はもう汚染している可能性があります。ですから、食事を終えてマスクを着ける前にも、手洗いや消毒が必要となります。

 さらに、いったん外したマスクを顔にフィットさせようと外側に触れた場合にも、改めて手洗いと手指消毒が必要です。マスクの外側がウイルスに汚染されている可能性があるからです。

 マスクと過ごす時間が長くなると、つい気も緩みがちになってしまうと思います。扱い方が自己流になったり、必要な手順を省いてしまったりということもあるかもしれません。でも、この先も基本を忘れずマスクと上手に付き合っていくことで、みんなで感染拡大予防に努めていきたいですね。

【参照】

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また、Yahoo!ニュースでは「私たちはコロナとどう暮らす」をテーマに、皆さんの声をヒントに記事を作成した特集ページを公開しています。

【この記事は、Yahoo!ニュース個人編集部とオーサーが内容に関して共同で企画し、オーサーが執筆したものです】

薬剤師ライター、国際中医専門員

2001年薬剤師免許を取得。2017年国際中医専門員の認定を受ける。調剤薬局、医療専門広告代理店等の勤務を経て2012年にフリーランスライターとして独立。薬剤師とライターのパラレルキャリアを続けている。愛犬のゴールデンレトリバーの介護体験をもとに書いた実用書「犬の介護に役立つ本」(山と渓谷社)の出版を契機に「人」だけではなく「動物」の医療、介護、健康に関わる取材・ライティングも行っている。

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