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【ホークス契約更改】田中正義、5年目オフで初の昇給ゲット「自主トレは千賀さんと」

田尻耕太郎スポーツライター
契約更改後の会見に応じる田中投手(筆者撮影)

 ソフトバンクの田中正義投手が1日、PayPayドームの球団事務所で契約更改に臨み5年目オフで初の昇給となる200万円アップの年俸1300万円(以下も金額はすべて推定)でサインした。

 田中は2016年ドラフト当時の超目玉選手で、5球団がドラフト1位で競合した末にソフトバンク入りした。しかし、1年目の開幕前に右肩違和感を覚えて離脱。2年目に一軍デビューを果たしたが、10試合登板で防御率8.56と結果を残せず、その後も肩や肘の不調に苦しめられてきた。

 そんな中、入団時に1500万円とされていた年俸は毎オフ減給が続いた。今季は1200万円と報じられていたが、実際にはさらに100万円少なかったようだ。

内川の言葉で自信取り戻す

 しかし、迎えた5年目の今季。田中は2月の宮崎春季キャンプから表情が違っていた。「今年は1軍で活躍できるという自信があります」と堂々宣言もしていた。昨年、ソフトバンクを退団する間際の内川聖一(現ヤクルト)から「オマエは、オマエ以外のみんなが“オマエはできる”と思ってるのに、オマエだけがその可能性を閉ざしている」と声をかけられ、自信を持つようになった。迷いを振り払って腕を振った田中のボールは、かつての剛球を取り戻していた。

 開幕一軍こそ逃したが、6月下旬以降は一軍にずっと居続けた。18試合に投げて0勝0敗、防御率2.16。プロ初勝利はお預けだったが、過去4年とは別人の、むしろ本来に近い姿を見せてくれた。

「チームとして悔しい1年で、僕自身もチームのためには何もしていないと思う。だけど、個人的には大きな1年だった。やってきたことが形になるかもしれない。希望が見えた1年になりました」

秋キャンプは「MVP」に

秋季キャンプ時のブルペン投球の様子(筆者撮影)
秋季キャンプ時のブルペン投球の様子(筆者撮影)

 先頃まで行われた宮崎秋季キャンプでは、終了後に藤本博史監督から「MVP」の1人に選出された。「先発として期待している」とも明言されている。

「意気に感じて、本気でローテに入っていく気持ちでオフを過ごしたい」

 そんな本気モードを表すべく、1月の自主トレはチームのエース千賀滉大投手に帯同を志願した。

「ボールの精度を高めるためとかフォームのためとか色々あるけど、なにより一番はどんな取り組みや思いの中でチームを背負っているのか。それを勉強したい」

 先発投手としてやるからにはエースを目指すとはっきり言った。

 プロ未勝利の未完の大器がいよいよ大化けするのか。取材の受け答えする姿一つをとっても、以前とは全く違っている。本格ブレイクを期待してもよさそうだ。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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