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ホークス開幕ローテが見えてきた。決定3人に笠谷、武田も有力で残り「1枠」か

田尻耕太郎スポーツライター
自身初の開幕ローテ入りが見えてきた笠谷(筆者撮影)

 プロ野球開幕の「3・26」まで2週間あまり。オープン戦はこれから後半戦となり、選手起用も徐々に「本番」を見据えたものに移り変わっていく。

 シーズンに向けた陣容も見えてきた。ソフトバンクの開幕ローテ6枠を争うサバイバルレースも、決着の時が近づきつつある。

 3月26日~28日の開幕カード(ロッテ戦)の3人は早い時期に判明していた。まず開幕投手は自身初の大役となる石川柊太。キャンプ中だった2月18日の夜、工藤公康監督が宿舎の自室に呼んで直接伝えたという。その後まもなく、27日の2戦目が高橋礼、28日の3戦目が和田毅であることも明らかになった。

 確定しているのはここまで。開幕2カード目となる3月30日~4月1日のオリックス3連戦については、まだ名前が書き込まれておらずに空白となっている。

「悪いなりに」試合を作れる

 しかし、その3枠についても固まってきたようだ。

 順調ならば、オリックス戦の「アタマ」を任されるのは7年目左腕の笠谷俊介か。オープン戦直近登板は3月9日の巨人戦。2番手の登板だったが、五回からの3イニングを1安打、1四球にまとめて無失点に抑えた。オープン戦は2日の中日戦に続く好投で、計7回1安打無失点の好結果だ。キャンプ中の紅白戦や対外試合を含めても計5戦で14イニング2失点と十分なアピールを続けている。このまま「中6日」の登板を続ければ、火曜日なので3連戦初戦ということになる。

 そして武田翔太も開幕ローテ入りをほぼ手中に収めたのではないか。10日の巨人戦に先発して序盤3イニングは毎回走者を出す投球も粘りきり、5回2安打2四球で無失点ときっちりゲームメイクを果たした。工藤監督は「三回までは逆球もあったけど、四回からはきっちり投げきれていた。ああいう投球をしてくれれば先発として十分行けると思う」と好評価をした。

 工藤監督は「結論はもう少し先で」と話すが、笠谷と武田はかなり有力といっていいだろう。彼らに共通していたのは、直近の登板は決して本調子でなかったという点だ。両投手ともに登板後に反省の弁を並べていたが、その中で一定以上の内容と結果を残したことに大きな価値がある。

 投手は年間通して先発をした場合でも「好調だ」と感じるのは、年に数試合程度だとよく聞く。本調子でない中で如何に抑えるか。マウンド上でどう修正するか。その能力が長けている投手がローテーションの一角として重宝される。ただ速いボールやキレのある変化球を投げ込むだけが投手の評価ではない。

安定感では大竹、ポテンシャルの杉山、経験の二保

 残る開幕ローテ枠はあと1つ。現在は杉山一樹、大竹耕太郎、二保旭の3人が最後のイスを争っている。

 最速157キロのモンスター級ポテンシャルを持つ杉山だが、9日の巨人戦は制球に苦しんだ。4回3失点という結果以上に内容が見栄えしなかった。調子の波の大きく、前述した笠谷と武田とはあまりに対照的だ。

 最も安定しているのは大竹だ。6日の阪神戦に3番手で登板し、3回を投げて球数39球、打者9人で抑えるパーフェクト投球を披露した。キャンプ中の対外試合・ロッテ戦でも3回をわずか30球で投げきり無失点と好投している。ただ、まだ長いイニングと球数を投げていないのが気がかり。今後どのような登板で調整するのか注目だ。

 二保は3日中日戦で3回3安打2四球1失点、7日阪神戦で3回4安打3四球2失点とややアピールが不発に終わっている。ただ、昨季は開幕ローテ入りを果たした実績もあり、工藤監督も一定の評価をする右腕だけに逆転ローテ入りに望みをかけている。

 3投手とも、ペナントレース開幕までにあと2試合ほどの登板機会があると見込まれるが、結論の時はそう遠くないだろう。ペナント開幕を前に本番さながらの熱いバトルが、まずチーム内で繰り広げられる。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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