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グラ様、デスパ様!首位攻防3連戦で4発16打点。独走ホークス支えるキューバコンビ

田尻耕太郎スポーツライター
楽天3戦目の試合前にはチーム贈呈式に出席し表情も明るかったデスパイネ(筆者撮影)

主力不在を感じさせない迫力満点の打線

 これぞ主砲。まさに助っ人。

 首位ソフトバンクが2位楽天との直接対決3連戦に全勝してゲーム差を一気に5に拡げた。交流戦優勝を決めた6月23日から始まった白星街道は、これで今季最長の7連勝に伸びた。パ・リーグ首位の独り旅がいよいよ本格的に始まった。

 柳田悠岐も、今宮健太も、中村晃もいない。なのにそれを全く感じさせない迫力満点の攻撃を日々繰り広げてみせた。

 絶好調ソフトバンクの攻撃陣を牽引しているのはキューバ助っ人のコンビだ。

 2日の首位攻防カード初戦、ヒーローはグラシアルだった。初回にかなり高めのボール球を強引に叩いて、流し打ちながら右翼席中段まで運ぶ17号先制3ランを放つと、さらに六回に犠飛で打点を稼いだ。ただ、チームは最大4点リードをひっくり返されて逆境に。そのピンチを救ったのもグラシアルだった。1点を追う八回1死満塁でライト前へ逆転の2点タイムリー。1試合6打点は自身最多だった。

「自分はどんな試合でも集中して打席に入っている。チームの助けになる働きがしたかった」と8対6の乱打戦を制して喜んだ。

グラの驚弾「カーニャを切っているのか」

 ちなみに高めの悪球打ちを日本では“大根斬り”などと評するが、キューバでは「カーニャ(葦)を切っているのか」とヤジを飛ばされることがあると教えてくれた。「自分でも驚いた。練習でもあんな打ち方はしないからね」と苦笑いを浮かべた。

 3日の第2戦はソフトバンク和田、楽天岸の両先発による緊迫の投手戦。七回裏を迎えても0対0だったが、均衡を破ったのは4番デスパイネのバットだった。1死満塁の絶好機。5球目のストレートを強振した打球はバックスクリーンへ飛び込む満塁本塁打となった。これでホークスが4対1で連勝した。

 デスパイネは6月6日以来20試合ぶりの一発だった。交流戦期間中は3割目前だった打率も2割6分台まで落ち込んでいたが、「自分自身では好調だと思っていた。いい当たりが正面を突くこともあった」と涼しい顔だ。

好調維持、不調脱出のメンタル法

 外国人選手は数字と向き合うよりも「今、いかにベストを尽くすか」に重点を置く傾向が強い。変な欲を出さない。また、状態が悪くても落ち込まない。「それも野球の一つ」と自分に言い聞かせる。それがメンタルを安定させる術だと彼らは知っている。また、長いトンネルだったとしても突如打棒を爆発させる助っ人が多いのもそのような思考が関係しているのだろう。

 4日の第3戦は再びグラシアルのバットが火を噴いた。初回に18号2ランを右へ、六回には引っ張って貴重な追加点となる19号3ランを左翼ホームランテラスにぶち込んだ。試合は6対3でホークスが勝った。

 グラシアルは初戦の6打点に続いて、この日は5打点を稼ぎ出した。3試合で3本塁打11打点の大暴れだ。また、デスパイネは初戦の犠飛で1打点を挙げており、2戦目のグランドスラムと合わせて1発5打点。首位決戦3試合でキューバ人助っ人コンビは計4発、チーム18得点のうち16打点を二人で記録した。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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