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意外?コロナ禍で全国の犯罪は18%減!しかしあなたの「お金」を狙う犯罪は最多を記録!

山崎俊輔フィナンシャル・ウィズダム代表/お金と幸せについて考えるFP
(写真:アフロ)

不安高まるコロナ禍で犯罪は増えたか?減ったか?

コロナ禍でストレスが高まっています。

人との交流は控えなくてはならず、飲食飲酒を伴うコミュニケーションは控えるよう求められています。ストレス発散の機会がない、という人も多いと思います。

経済的苦境に立たされている人もいます。街中の飲食店やドラッグストアなどが閉店の看板をかけ、あっというまに内装が取り外されているのを見るのは悲しいものです。

こんな苦しいご時世では、世の中の犯罪も増えているのではないかと心配になります。

ところが、一昨年と比べて、去年の犯罪は18%も減少しているというのです。私たちの印象としては「むしろ犯罪が増えるのでは?」という感じですがなぜでしょうか。

むしろ犯罪の減少傾向が加速、行動の制限は犯罪も抑制した?

警視庁の犯罪統計が公開されていて、それを見る限り、ここ数十年は減少傾向にあります。日本経済新聞の記事によれば2002年を最多としてずっと減少傾向が続いているようです。

しかし、その前提をおいても、昨年比での減少幅はなんと18%ものマイナスであったというのですから驚きです。20年の刑法犯の認知件数は61万4231件であったとのこと。

大きく減少したのは窃盗犯で、21.6%減少だそうです。ひったくりや自転車泥棒などの街頭犯罪が大きく減ったことが影響しているようです。まさにコロナ禍での外出減が犯罪減少にも影響した格好です。

また、テレワークや外出自粛の影響により、家にいる時間が増えたことも影響します。空き巣、住宅侵入などの犯罪がこれまた20%以上減少したのだそうです。

コロナ禍は「犯罪増加の1年」ではなく、むしろ「犯罪減少の1年」となったわけです。なんとなく、不思議な印象です。

警視庁 犯罪統計 令和2年1~12月犯罪統計【確定値】

5/9 日本経済新聞 空き巣減少、薬物・サイバー犯は増加 コロナで犯罪変化

増えるサイバー犯罪 危ないのは「ネットとお金」か

しかし、巣ごもりの反動として「家でも被害を受ける犯罪」が増えている傾向も報告されています。サイバー犯罪のカテゴリーだけは増加傾向が続いているのです。過去最多の9875件が記録されています。

還付金詐欺やオレオレ詐欺といった電話や手紙を使う特殊詐欺に始まり、フィッシング詐欺などの特殊詐欺も増加しているようです。

フィッシング対策協議会のWEBページには毎週数件ごとにフィッシングメールの新種が紹介されています。みなさんも、メールやSMSを通じて行われている詐欺のアプローチを受けていると思います。

主要なECサイトをかたる詐欺メールが届いたかと思えば、銀行やクレジットカード会社を装う詐欺メールもあります。

そして一度、銀行やクレジットカードの暗証番号を入力してしまったりすると、将来知らないところで被害に遭う可能性があります。私は昨年のドコモ口座不正出金もその一端ではないかと考えています。

フィッシング対策協議会

あなたも、そしてあなたの親にも注意喚起を

今はまだ、詐欺メールの日本語が不自由であることが多く、冷静になるとだまされずにすむことが多いと思います。笑っている人も多いのですが、私はこれも時間の問題だとみています。翻訳ソフトの精度が向上すれば犯罪者は苦もなく自然な日本語を手に入れることになるからです。

そのときはもう、文面だけで本物と見分けがつかなくなります。すでに画像では本物をコピペして(デジタルなので苦労もない)、本家の金融機関のロゴなどが詐欺メールにはついていますし、リンク先の詐欺ページも本家と寸分違わぬデザインとなっています。

また私たちのECサイト等の利用が進んでいることもこうしたリスクを高めています。「コロナ禍でオンラインショッピングをするようになり、Amazonや楽天市場を初めて利用したよ」という高齢者が増えていますが、ちょっと危険です。

こうした人は「おやおや、Amazonからお知らせだ……クレジットカードの認証エラーとは困った。もう一度カード番号を入力しなくては」とばかりに素直にクリックしてしまうことがあるからです。

特殊詐欺のうちオレオレ詐欺や還付金詐欺は高齢者がターゲットとなっていました。おそらくECサイトや銀行の偽装フィッシングも、高齢者が狙われていると思います。

読者の皆さんは、自分自身が気を引き締めることがまず大切です。これは私の実際の事例ですが、たまたまAmazonで買い物した直後に、Amazon名義のフィッシングメールが届いたため、ついクリックしそうになったことがあります。ECサイトの利用頻度が増えたことで起きたトラブルでした。「自分はだまされるはずがない」と思っている人には隙があるのです。

そして、ご両親が健在であれば、こうした詐欺への注意喚起をしておきたいところです。私は老親に「電子メールはもう、基本的に信じなくていい」し「親切に返信をしてお知らせするとか、配信停止処理とかしなくていい」と強く言ってあります。それでもリスクがあると考えています。

(本当はオフィシャル側からの電子メールもゼロではないのですが、区別をつけさせることは難しいため基本的に見過ごすようアドバイスしている)

また、フィルタリング機能があるメールソフトを使わせることも重要です。スマホやタブレットであれば、とりあえずGmailにするだけでも安心度合いは高まります(ときどき、弾かなくていいものも迷惑メールに分類してしまいますが)。

――「犯罪減少社会」となったコロナ禍の一年ですが、あなたの財布はむしろ狙われています。注意をしたいものです。

フィナンシャル・ウィズダム代表/お金と幸せについて考えるFP

フィナンシャル・ウィズダム代表。お金と幸せについてまじめに考えるファイナンシャル・プランナー。「お金の知恵」を持つことが個人を守る力になると考え、投資教育家/年金教育家として執筆・講演を行っている。日経新聞電子版にて「人生を変えるマネーハック」を好評連載中のほかPRESIDENTオンライン、東洋経済オンラインなどWEB連載は14本。近著に「『もっと早く教えてくれよ』と叫ぶお金の増やし方」「共働き夫婦お金の教科書」がある。Youtube「シャープなこんにゃくチャンネル」 https://www.youtube.com/@FPyam

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