日経平均17000円割れくらいでビビった「新人投資家」のための下げ相場の切り抜け方

コロナショック下げ相場で焦った投資初心者、焦る必要はありません。(写真:ロイター/アフロ)

新型コロナウイルス相場で株価が毎日1000円下がる!

日本国内では感染者の増加が抑制気味ですが、新型コロナウイルスは毎日のようにトップニュースとなっています。むしろ新型コロナウイルスの感染は世界各国で拡大しつつあるようです。イタリア、イランなどいくつかの地域では爆発的に感染者数が増加していますし、アメリカでも感染者増が指摘されています。

これらを受け、世界中の株価が下落し始めています。ダウ工業株30種平均(NYダウ)は、12日、9.99%も一日で下げました。29568ドルまで上り詰めたのがつい先月のことですが、12日の終値が21200ドル、ほぼ30%の急落です。

日本の株価も同様で、日経平均株価(225種)は毎日のように1000円ずつ下げている状況で、今日(執筆日の3月13日午前)アメリカの急落の流れを受け17000円を一時割り込みました。こちらも1月につけた直近の最高値からちょうど30%くらい下がったことになります。13日の終値こそ17431円まで戻りましたが、あなたが本コラムをご覧になるタイミングではもっと下がっているかもしれません。

この10年はおおむね上がり相場が続いていたので「○○ショック」と言われるような急落に慣れていない個人投資家がパニックになっています。

しかし、世界中の株価指数がどんなに低い数字になったとしても、日本の上場企業がすべて倒産するわけでも、AppleやGoogleやマイクロソフトがのきなみ破綻するわけでもありません。これくらいでビビっているのなら、それは投資の理解や覚悟が足らなかったということです。

とはいえこの5年くらいで投資を始めた人は本格的下げ相場とその回復を体験していない「新人投資家」だったわけで、それは仕方がありません。私自身は初めて投資をしたすぐITバブルがはじけて30%マイナスを経験してビビりました。しかしリーマンショックでそれ以上の急落があっても経験があるからこそ乗り切ることができました。

そこで、今回初めて急落を経験した「新人投資家」のために、ここをむしろステップアップしてベテラン投資家の道に入るヒントを紹介してみたいと思います。

ただし、リーマンショックのとき、私は何もしていません。何もする必要がないと考えていたからです。今回も同様にするつもりです。

あなたの損には「悪い含み損」と「乗り越えられる含み損」がある

さて、あなたが含み損(購入した価格より下がっている時価評価額のマイナス)を抱えてパニックになっているとしたら、それは2つの含み損があることを整理してみましょう。たとえば「悪い含み損」とはこういうものです。

  1.  借金した投資により生じた損失
  2.  レバレッジをかけた投資による損失(FXなど)
  3.  投機欲にかられて無理を出して買った損失
  4.  投資金額が経験に比して高額すぎるため損失額が怖い状態
  5.  手元の現金保有があまりにも少ない状態の損失
  6.  そもそも経済の成長など信じていない人が投資で生じた損失

6パターンほど「悪い含み損」を提示しましたが、これ以上含み損が拡大したらそれをあなたは許容できない状態にあるという例です。だとすれば、残念ながらあなたの投資スタイルは相場の急落を想定していなかった、ということです。

こんな含み損を抱えている人は、今回はさっさと手放したほうがいいでしょう。どんなに損失を抱えていたとしても、です。

逆にいえば「乗り越えられる含み損」もあります。

「乗り越えられる含み損」ならあなたは売らないほうがいい

こんな投資をしている人はそれは「乗り越えられる含み損」ですから、あわてて売る必要はありません。

  1. その投資資金は今すぐ必要となるわけではない(経済回復を待つ時間がある)
  2. 経済はいつかは回復しまた成長すると信じられる(信じていない人はそもそも投資しなくてもいい)
  3. 積立の投資設定をしてある(むしろここからしばらくは安い値段で新規購入を行える)
  4. 投資資金と手元の預貯金額は同程度か預貯金のほうが多い(投資のマイナスの影響は財産の半分以下である)

投資経験が10年未満の人は、今回生じた大きな含み損とどう向き合うかが重要です。そして、含み損は「将来回復するなら、今売らなければ損ではない」ことを経験として学ぶ必要があります。

リーマンショックのあと4~5年ほど私の資産の多くはマイナスでした。日経平均10000円を大きく下回っていたから当然です。しかし積立投資で世界中に分散投資する投資信託を買い続けていました。そうすると経済が回復したとき、2つの効果が生まれました。

・どんなにマイナスだった投資資金も株価が戻るとプラマイゼロになりむしろ大きくプラスになった

・株価低迷時に購入し続けていた分がすべて回復時には大きくプラスになった

「何もしない(自動引き落としの積立は続けるが)」だけで損がなくなり、儲けが出た、ということになるのです。これは乗り越えられる含み損とつきあったからです。

日本経済新聞3月2日付け「「コロナ株安」が高める長期の積み立て効果」では編集委員の田村正之氏が同様のことを指摘していますので、興味がある方はご覧ください(有料記事)。

特にiDeCoで損切りはオススメしない~積立投資ならそのまま続ける むしろ止めてはいけない

投資を行うためのいろんな制度がありますが、もっとも損切りをオススメしないのはiDeCoや企業型確定拠出年金の財産です。

あなたが59歳6カ月で半年後に解約予定があるのでもない限り、そのまま持ち続ければいいでしょう。確定拠出年金の運用でマイナスを抱えている人の典型はこうです。

「株価が大きく下がったとき含み損が出たので慌てて売って、マイナスが生じる」

  ↓

「売ったときより値下がりしている間、怖くて投資を再開できない」

  ↓

「底値から戻り始めても、怖くて投資を再開できない」

  ↓

「売ったときより大きく値上がりした頃に、ようやくほっとして投資をする」

  ↓

(繰り返し)

これではどんなに経済成長があろうと儲かりません。こんなことをするくらいなら、

「値下がりしているが放っておく」(仕事に専念したり、プライベートでリラックスの時間を大切にする)

  ↓

「株価が戻れば何もせずに原点復帰」

「株価がそれ以上上がれば儲け」

のほうがラクですし、よほど合理的です。

そもそも、iDeCoや企業型確定拠出年金の場合、60歳まで引き出せない仕組みに法律上なっているので、あわてて売る必要はありません。少なくとも55歳より若い人は「何もしない」ことが大事ですし、むしろこの機会に「毎月の掛金は投資をする(増やす、もしくは現状より減らさない)」を考えてみてください。

回復に何年かかるか分からないが、世界はいつか危機を克服する その時笑おう

リーマンショックのとき、この世の終わりのように悲観的な雰囲気が漂っていましたが、アメリカの株価は約5年、日本の株価も7年少しで回復をしました。

今回の急落も回復までには時間がかかると思います。特に今回は10年も大きく下がらずにいた市場が「下がるきっかけ」を得てしまったこともあり、下げが厳しいものとなっています。

確かに人の行き来、物流、生産などが制限される状態ですから、経済活動は停滞することを避けられません。しかしそれは永遠ではありません。

いつかは病気は克服されます。一度落ちた消費はどこかで回復をします。背中を押せば今にも倒産しそうだった会社は倒れることになりますが、新しい芽もあらわれます。テレワーク関連ビジネスなど急成長する分野もあるでしょう。

そして5年後あるいは10年後、世界はもっと強靱で、もっと豊かさがあって、よりトラブルに強いステージにたどりつくことでしょう。

だとすれば、今回の急落は長い目で見て投資と向き合うことを考えるよいチャンスだと思います。

「悪い含み損」を抱えた人は、一度リセットをし、これを投資と向き合い直すきっかけとしたいものです。

そして「乗り越えられる含み損」を抱えた人は、ぜひ狼狽売りはせずにこの機を乗り越えてみてください。

この下げ相場が落ち着き、含み損はいつしか消え、利益が乗り始めたとき、あなたは「新人投資家」から「ベテラン投資家」の仲間入りを果たすことになるでしょう。

10年後あるいはそれより先に「XXショック」がやってきたとき、あなたより若い「新人投資家」に向けて「コロナショック(と呼ぶかはまだ定かではないが)のとき、30%以上下がったけれど、オレは焦って売らずに乗り越えたよ」と語れるようになってみてください。