金融機関が売りたがらない「つみたてNISA」で投資を始めよう

5年前、鳴り物入りでデビューし、全国で1000万口座以上を獲得しているのがNISA、少額投資非課税制度です。これは年120万円までの範囲で投資を行うと、その運用益について非課税ですむというものです。通常は利益に20%課税ですから、これを非課税ですむということは大きなメリットです。

2018年1月から新たな選択肢としてつみたてNISAが加わりました。こちらは年40万円までの範囲で定期的な積立投資をすることで運用益が非課税となるものです。投資期間は通常のNISAが5年目の年末までのところつみたてNISAは20年と長期化しています(NISAは累計で600万円まで、つみたてNISAは累計で800万円まで非課税投資できることになる)。

ところが、つみたてNISAは日経新聞報道(1月12日)によれば約25万口座しか獲得しない静かなスタートとなった模様です。

実は、つみたてNISAは3つの禁じ手を金融庁が金融機関に課しているため、彼らはあまり売る気が起きない商品になっています。なにせ

「高額販売ができない(最大で年40万円)」

「手数料の高い投資信託が販売できない(手数料の高い投資信託はそもそも販売できない)」

「売ったり買ったりを繰り返させて手数料を稼げない(20年の非課税投資も売ってしまうと終了するので薦めにくい)」

という「三重苦」が課せられています。

言い換えれば「金融機関が儲からなくて売りにくい商品」こそ「個人にとっては絶好の選択肢」ということになります。

筆者はいろんな媒体に取材を受けたり原稿を寄稿していますが個別金融機関の商品名を挙げない方針のところもあり、「つみたてNISAがいいことは分かった。で、何を買えばいいのよ」と言われることもあります。今回はズバリ6つのオススメ投資信託をあげてみます。

(投資信託とは、少額から多様な銘柄、多様な投資対象に分散投資ができる、便利な投資の選択肢。運用の詳細は金融機関に任せることができ、投資の手間や負担がほとんど生じない)

つみたてNISAでおすすめできる投資信託を選ぶ5つの方針

つみたてNISAで購入する商品を絞り込むために設定した、選定方針は以下のとおりです。

方針1・投資初心者が国内外に分散投資できることと、20年メンテナンスフリーで保有し続けられる選択肢とすることを考慮し「バランス型ファンド」を対象とする。これによりひとつの投資信託を買うだけで国内外の投資対象を広くカバーすることができる。

方針2・運用にかかる手数料はつみたてNISAの規制で十分ローコストであるが、高い手数料は高い運用成績を保証しないので、その中でもできる限り低コストのものを選択する。

方針3・投資方針については、市場の平均だけをしっかり確実に獲得すればよいものとし(余計なことを金融機関にはしてもらわなくてよい)、インデックス運用のものを選択する。これはより低コストの投資を実現する方針2の条件に合致する。

方針4・資産配分については投資対象を均等に割り付けるものは投資理論的にも効率的な方針にならないので、除外する(○資産均等、のような投資信託は1本だけで効率的な資産配分にならないため、他に投資信託を追加購入し資産配分を調整する必要があり方針1に矛盾する。また初心者向きにならない)。

方針5・同じバランス型ファンドのシリーズが3本程度ある場合、株式投資比率のもっとも高いものを採用する(一見すると株式投資比率が低いものを初心者向けとしているが、すでに手元に定期預金等を十分保有している人が債券投資比率を高くする必要はないため)。

投資信託については比較検索サイトが複数ありますし、証券口座を開設すると、各証券会社の取り扱い商品については希望する条件でフィルタリングしたりソートできます。5つの選定方針に合致したのは下記の商品です。

つみたてNISAおすすめ投資信託6選

(なお、順番は海外への投資比率が高い投資信託から並べた)

投資信託名:たわらノーロード バランス(積極型)

運用機関:アセットマネジメントOne

信託報酬を含むファンドの管理費用(税込):年0.2376%

運用方針の概略: 国内株式13%、先進国株式40%、新興国株式2%、国内債券3%、先進国債券14%、新興国債券3%、国内リート13%、先進国リート12%の分散投資を行う。(国内投資29:国外投資71)●

投資信託名:三井住友・DCつみたてNISA・世界分散ファンド

運用機関:三井住友アセットマネジメント

信託報酬を含むファンドの管理費用(税込):年0.2268%

運用方針の概略: 国内株式10%、先進国株式20%、新興国株式10%、国内債券15%、外国債券25%、国内リート5%、先進国リート15%の分散投資を行う。(国内投資30:国外投資70)●

投資信託名:DCニッセイワールドセレクトファンド(株式重視型)

運用機関:ニッセイアセットマネジメント

信託報酬を含むファンドの管理費用(税込):年0.2376%

運用方針の概略: 国内株式40%、外国株式30%、国内債券15%、外国債券10%、短期金融資産5%で分散投資を行う。(国内投資60:国外投資40)

投資信託名:つみたてバランスファンド

運用機関:りそなアセットマネジメント

信託報酬を含むファンドの管理費用(税込):年0.23436%

運用方針の概略: 国内株式30%、先進国株式20%、新興国株式5%、国内債券20%、先進国債券5%、新興国債券5%、国内リート10%、先進国リート5%の分散投資を行う。(国内投資60:国外投資40)●

投資信託名:ダイワ・ライフ・バランス70

運用機関:大和証券投資信託委託

信託報酬を含むファンドの管理費用(税込):年0.2376%

運用方針の概略: 国内株式45%、外国株式25%、国内債券20%、外国債券10%の分散投資を行う。(国内投資65:国外投資35)

投資信託名:三井住友・DC年金バランス70(株式重点型)

運用機関:三井住友アセットマネジメント

信託報酬を含むファンドの管理費用(税込):年0.2592%

運用方針の概略: 国内株式50%、外国株式20%、国内債券15%、外国債券10%、短期金融資産5%の分散投資を行う。(国内投資70:国外投資30)

中断も解約も簡単 まずは口座開設してしまおう

つみたてNISAについては、「どの金融機関で口座を開設するか」を決めなければなりませんが、「この6商品が商品リストに採用されている金融機関」であれば、大きな失敗にはならないと思います。

分散投資の割合については「運用方針の概略」の項目でまとめていますが、それぞれの投資信託ごとに最適と考える配分ですから少しずつ割合は異なります(最小で国内投資割合が29%、最大で70%)。どれを選ぶかは好みで決めてかまいません。「運用方針の概略」の最後に「国内への投資」と「国外への投資」の割合を示していますので、ひとつの参考にしてみてください。

また、執筆時点の純資産額(現在で集まっている投資金額)が1億円に達していない投資信託については説明の最後に「●」がついています。純資産額がある程度集まっていることを選定の基準に加える場合は候補から除外してもいいでしょう(なお、残高が少ない3本については投資信託の設定からまだ日が浅いことも理由のひとつです)。

これらの投資信託は、国内と世界の経済成長があれば、自分の財産もそれと同程度の成長を期待することができる商品ばかりです(しかも低コストでお任せの運用ができる)。短期的に値下がりすることもあるでしょうが、ぜひ積立投資を継続して長い目でみてプラスになる機会を待ってください。

つみたてNISAはiDeCo(個人型確定拠出年金)と比べると税制優遇は劣るものの(iDeCoは掛金ベースで所得控除対象となるので20%以上の運用益を得たも同然の税制優遇がついてくる)、運用益非課税のメリットは得られるためこれを利用しない手はありません。

口座開設する金融機関をどこにするか悩んだら、ネット証券で口座開設でいいでしょう(ネット証券の場合、6商品がすべて選択肢に含まれていることもあります)。

月3.3万円の積み立てはできなくても、月1万円程度からでもOKです。税制優遇があるというチャンスを活かして、資産運用デビューをしてみてはどうでしょうか。