【パリ】もうじき文化施設再開。デジタルアートセンターで新作「ダリ」体感。

「アトリエ・デ・リュミエール」の新作のワインシーン(写真はすべて筆者撮影)

5月19日からフランスではいよいよ美術館、映画館、歴史的建造物などの文化施設が再開されます。

それに先立ち、パリ11区にある「Ateleir des Lumières(アトリエ・デ・リュミエール)」の新作をご紹介します。

パリのプロジェクションマッピングセンター

2018年にできたこの施設は、デジタルアート、具体的にはオリジナル制作のプロジェクションマッピングを常時体感できる場所で、オープン当初にこの記事でご紹介しました。

ここはかつての鉄の鋳造工場跡を再生させたもの。施設内には大きな煙突が残されていて、昔はまさにこの場所で盛んに火が燃え、汗だくで働いていた人がいたことを想像させますが、現在はこの巨大な箱のような空間がデジタルアートの人気スポットとなっています。

パリ11区にある「アトリエ・デ・リュミエール」外観
パリ11区にある「アトリエ・デ・リュミエール」外観

2018年のオープニングの作品は「クリムト」をテーマにしたもので、以来1年にほぼ1作の割合で新作を発表しています。2作目はゴッホ、そして3作目は地中海をキーワードに、印象派などの著名な画家たちの絵を駆使した明るく色鮮やかなものでした。そして今回のテーマは「ダリ」。副題は「終わりなき謎」というものです。

「ダリ」と「ピンク・フロイド」の共演

プロジェクションマッピングはビジュアルだけでなく音楽とのマッチングも重要です。「クリムト」のときには交響曲を駆使して大団円を描くような構成だったのに対して、今回はピンク・フロイドのレパートリー。さまざまな音楽を試してみた上で、結局これが一番ピッタリと合うということで選ばれたそうですが、ダリのデカダンで摩訶不思議なアートとマッチしていて、お行儀よく構えずに、思わず体がスイングするようなムードを作り上げています。

この本編の上映時間は40分ほどですが、時間がそれほど経ったと感じさせないほど、ぐいぐいと引き込まれる構成です。そしてそのあとすぐに建築家の「ガウディ」をテーマにした作品が10分ほど流れます。これもまたスペインの鮮やかな色彩がフラメンコのリズムなどと一緒になってなかなかの迫力。

百聞は一見にしかず。こちらの動画からダイジェスト版をご覧ください。

再開にあたっての感染対策

ここ数日、フランスでは新型コロナウイルスの新規感染者は毎日だいたい2万人前後。徐々に減っているとはいえ、収束にはまだまだ遠い状態です。

いっぽう、5月15日時点で発表されているワクチン接種数(1回でも接種した数)はおよそ1975万人。これは人口の4分の1以上の数字です。アメリカ、イギリスなどに比べるとかなり遅れをとっているという批判を受けて、大統領がかなりハッパをかけた形で、ワクチン接種キャンペーンはどんどん拡大中。そういったいわば前進的な変化が文化施設の再開など段階的なデコンフィヌモン(制限解除)を後押ししています。

ところで、いっさい窓のない「アトリエ・デ・リュミエール」は、美術館などよりもさらに閉じた空間といえますが、再開にあたって感染対策はどうなっているのかが気になるところです。そのことをディレクターのジャック・ドゥ・タラゴンさんに質問すると、こんな答えがかえってきました。

「政府の措置に基づいて、8平米あたり1人、という計算で入場制限をします。通常であれば3平米あたり1人の割合ですから、半数以下です」

「アトリエ・デ・リュミエール」のディレクター、ジャック・ドゥ・タラゴンさん
「アトリエ・デ・リュミエール」のディレクター、ジャック・ドゥ・タラゴンさん

再開する美術館、博物館等に適用される制限をここでも適用する形で、感染状況が改善して、政府の措置が緩くなれば、それにしたがって徐々に通常のかたちに戻してゆきたい考えだそうです。とはいえ、窓のない空間でその人数制限だけで十分な措置といえるのかどうか。

「そもそもこの施設は常に換気をする設計になっています。Covidのためにそうしたのではなくて、オープン時からのことです。換気の音が上映に影響しないよう、それに腐心したくらいです」

と、ジャックさん。

なるほどそういうことであれば、こちらも安心して上映を楽しめるというわけです。

さて、この新作「ダリ ー終わりなき謎ー」の公開は、2022年1月2日までの予定。その頃までには日本からの渡仏がパンデミック前に近い状態になっているのかどうなのか…。

希望をつなぐことにしましょう。