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日本代表戦は、まだ現地観戦可能!? 完売済のチケットが“これから出てくる”可能性あり

杉山孝フリーランス・ライター/編集者/翻訳家
目の前で歴史誕生の瞬間を見られるかもしれない!?(写真:青木紘二/アフロスポーツ)

チケットは「販売中」

 まさに、歴史的な夜となった。13日の横浜国際総合競技場。スコットランドの猛反撃をしのぎ切り、ボールをタッチラインの外へと蹴り出した瞬間、スタジアムは大歓声に包まれた。ラグビーの日本代表がプール全勝を決め、史上初めてワールドカップ(W杯)で決勝トーナメントへと勝ち進んだのだ。

 日本代表の進撃は続く。プールAで1位となり、10月20日(日)に南アフリカ代表と準々決勝で対戦することとなった。4年前、大会史上最大の番狂わせと言われた対決が、再びW杯の舞台で再現される。今大会でもアイルランド、スコットランドという強国を真っ向勝負でねじ伏せてきた日本にとって、これまでの歩みの確かさを証明するのに、これ以上ない相手だ。

 そういった背景や事情を抜きにしても、見てみたいと思う人は多いだろう。大会優勝経験もある世界トップのチームと、日本代表が世界4強入りを懸けて真剣勝負をする。ラグビーの知識云々など関係ない。見ているだけで伝わるものがあることは、今大会これまでのあらゆる選手、チーム、シーンが証明してきた。

 そのW杯をスタジアムで目にするチャンスが、まだある。ほとんどの観戦者が昨年のうちに抽選の末にチケットを入手していたと思うが、実は大会の公式チケットサイトではまだ販売しており、今は先着順となる第4次一般販売が受け付けられているのだ。大会開幕後も、常にチケットが残っている試合もいくつかあった。

まだ「試合終了」ではない

 さらには、新たにチケットが出てくる可能性もある。試合を前にして手放した人のチケットを再販売する「リセール」が、公式サイトにて行われているのだ。そんなこと当然知っているという人も多いかもしれない。だが、1年以上前から一生懸命にチケット購入に申し込み、もしかしたら残念な思いを繰り返した人ほど、落胆の思いと「試合終了」の印象が強いかもしれない。そんな灯台下暗し、ということもある。実際、昨年のうちにチケットを入手してW杯を楽しみにしていた筆者の知人も、このシステムに気付いていなかった。

公式チケットサイトから14日18時に送られてきたメールのスクリーンショット
公式チケットサイトから14日18時に送られてきたメールのスクリーンショット

 今月最初の金曜日の昼は、「リセール祭り」といった様相を呈していた。試合が近づくうちに、予定が変更になってしまった人が多かったに違いない。11時台から12時台にかけて、チケットが売りに出ては消えていった。その中には、「運命の一戦」となった13日の日本とスコットランドの試合も含まれていた。カテゴリーAやカテゴリーDなど、複数の種類のチケットが表れては、誰かの手の中に収められていった。

 日本戦だけではない。横浜で行なわれる準決勝でも、カテゴリーAからCまでの3種類のチケットが売りに出されていた。代金が跳ね上がる決勝でも、カテゴリーA、B、Dのチケットが出現しては、瞬く間に売れていった。

 いたずらに混乱させてはいけないので購入手続きを試すことはしなかったが、必死の思いでチケットを探していた人によると、サイト上で買い物かごに入れることさえ、1秒単位の勝負だったらしい。その人は残念ながら日本対スコットランドのチケットを手に入れることはできなかったが、裏を返せば誰か購入できた人はいた、ということだ。

 筆者も昨年の段階で数試合のチケットを入手していたが、友人の都合により何枚かリセールに出すことになった。試合によってリセールに出した時間に違いがあり、さらに大会サイトによる「リセール出品承認」までにかかる時間はさまざまだった。だが、「出品承認」後、ものによっては数分後など、リセールに出したチケットがあっという間に販売成立していたことは共通している。

スコットランドファンが手放す?

 さて、準々決勝である。勝ち進むチームが決まった一方で、そのステージに進めないことが決まったチームもいる。スコットランドも、その一つだ。特に自国から観戦旅行に来た人など、それぞれの都合で泣く泣くチケットを手放すファンもいるだろう。

 9月22日のアイルランドとスコットランドの試合も現地観戦したところ、1階席の1列目から10列目など、100席近い単位で空席となっているエリアがあった。旅行代理店の観戦ツアー不成立などの理由なのかは不明だが、こうした「宙に浮くチケット」が、これから出ないとは限らない。

 オリンピックと違い、公式サイトへの入場(アクセス)で待たされることは、少なくとも現在までほとんどなかった。待ったとしても、10秒もないほどだ。

 リセールの存在がさらに広く知られることで、もしかしたら競争率は高まってしまうかもしれない。だが、昔からラグビーを愛する人ほど、新たなラグビーファンを温かく迎えるはずだ。信じられないほどたくさんの“仲間”が、いろいろな形でラグビーに触れて楽しんでいる。こんな幸せな光景など、かつては想像もできなかったのだから。

 マニアだろうが初心者だろうが、関係ない。席は1人に1つ、用意されている。激戦になること必至だが、もしかしたらラグビーと歩む新たな未来が開けるかもしれない。今大会の日本代表が、道を切り拓いたように。

トライ、あるのみ。

フリーランス・ライター/編集者/翻訳家

1975年生まれ。新聞社で少年サッカーから高校ラグビー、決勝含む日韓W杯、中村俊輔の国外挑戦までと、サッカーをメインにみっちりスポーツを取材。サッカー専門誌編集部を経て09年に独立。同時にGoal.com日本版編集長を約3年務め、同サイトの日本での人気確立・発展に尽力。現在はライター・編集者・翻訳家としてサッカーとスポーツ、その周辺を追い続ける。

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