6月19日 ネバダ州ラスベガス

バージンホテルズ・ラスベガス

WBAスーパー、IBF世界バンタム級タイトル戦

王者

井上尚弥(大橋/28歳/20戦全勝(17KO))

12回戦

IBF1位

マイケル・ダスマリナス(フィリピン/28歳/30勝(20KO)2敗1分

 *インタビューは17日、最終会見の前に通訳を通して収録された

パッキャオの本拠地、ワイルドカードジムで最終調整

――井上戦が目前に迫っていますが、コンディションはいかがですか?

MD : 調整は順調ですし、体調は万全です。あとは朝と夕方に少しずつ汗を出し、ウェイトを整えるだけ。まだ食べることも飲むこともできていますし、体重は問題ありません。ファイトウィークにはたいてい焼き上げたチキン、魚、牛肉に野菜を添えて食べます。井上戦に臨む準備はできています。

――前の試合からかなり間が空きましたが、その点に関する不安はありませんか?

MD : しばらく試合ができなかったのは事実ですが、その間もハードなトレーニングを積んできました。心身両面で良いコンディションを保ててきたと思います。スパーリングも豊富に行ってきましたし、ブランクは懸念材料ではありません。

――井上選手の印象と、この戦いの意味を話していただけますか?

MD : バンタム級では世界最高のボクサーとして認められていることから分かる通り、井上が素晴らしい選手であることは言うまでもありません。井上と戦えることはとてつもない名誉。あれほどの選手に挑戦したい選手は世界中にたくさんいると思いますが、その中で今回は私がその機会を得たのです。9歳の時にボクシングを始め、これまでに学んできたことのすべてを井上との戦いにぶつけるつもりです。

――アメリカでは初のリング登場ですが、過去に日本で多くの好選手のスパーリングパートナーを務めてきました。その経験は現在にまで役立っていると感じていますか?

MD : 山中慎介、岩佐亮佑、井上拓真、亀田興毅など、日本では本当に多くの優れた選手とのスパーリングで腕を磨きました。それぞれ異なった長所を持つ選手たちで、彼らと手を合わせる上でその時々のアジャストメントが必要でした。そういった練習ができたことの意味は間違いなく大きかったと思います。日本での経験がなかったら今の私はここにはいなかったでしょうし、間違いなく現在まで役立っています。

著者の部屋で行ったインタビュー時のダスマリナス。左は通訳を務めてくれたティング・“ルーカス・シュガー”・アリオサ・トレーナー 撮影・杉浦大介
著者の部屋で行ったインタビュー時のダスマリナス。左は通訳を務めてくれたティング・“ルーカス・シュガー”・アリオサ・トレーナー 撮影・杉浦大介

――現時点でファイトプランは明かしたくはないと思いますが、以前、井上相手には長身サウスポーであることが利点になると話していました。今でもそれは確信できていますか?

MD : 井上はこれまでに背が高い選手にも勝ってきました。ただ長身というだけでなく、それをアドバンテージにするような戦い方をしなければいけないというのもわかっています。それこそがこの試合の重要なポイントになるのでしょう。

――ロサンゼルス滞在中はフレディ・ローチ・トレーナーのワイルドカードジムで調整しました。そこでの経験をどう振り返りますか?

MD : ワイルドカードジムは偉大なマニー・パッキャオがトレーニングを積んできた場所です。そんなジムで2週間も練習を詰めてハッピーでした。自分が置かれた環境を幸福に思っています。

インタビューに同席し、通訳を務めてくれたティング・“ルーカス・シュガー”・アリオサによると、ローチはダスマリナスのトレーナーであるタシー・マカロスに敬意を払い、アドバイスなどは一切なかったのだとか。ただ、記念撮影などは行ったという。フェイバリットファイターとしてパッキャオ、ジェリー・ペニャロサの名を挙げていたダスマリナスは、米屈指の有名ジムであるワイルドカードジムで充実した時間を過ごしたようだ。

家族への想いが戦うモチベーション

――パッキャオとジェリー・ペニャロサがフェイバリットファイターとのことですが、2人のどんな部分に惹かれたのでしょう?

MD : その2人はそれぞれタイプは違いますが、どちらもユニークなファイトスタイルを持っています。ジェリーは戦略的に優れており、リングを動き回り、技術面でも素晴らしいものを持っていました。パッキャオは多くのパンチを出す選手であり、スピードも飛び抜けていました。そんな彼らのスタイルが私には魅力的に映ったのです。

――普段、ビデオを見て参考にする選手というと誰でしょう?

MD : 以前はパッキャオとペニャロサのビデオを繰り返し見ていましたが、徐々に他の選手にも目を向け、様々なボクサーの映像を見ています。最近はワシル・ロマチェンコのビデオも見ます。井上も世界最高級の選手ですから、もちろん彼の映像もたくさん見ましたよ(笑)

――井上戦で番狂わせを起こした場合、ノニト・ドネア、ジョンリエル・カシメロと合わせ、バンタム級の全王者がフィリピン人になります。そんな可能性についてどう感じますか?

MD : そうなったら素晴らしいことですが、彼らと統一戦で戦わなければならなかったとしても、私の方には何の問題ではありません。私はプロモーター、マッチメイカーの決めてくれた相手と全力で戦います。同国人と戦うこともボクサーの仕事の一部ですし、ファンが喜ぶカードが組めるなら喜ばしいことです。

物静かな中にも熱い闘志を感じさせるダスマリナス 撮影・杉浦大介      
物静かな中にも熱い闘志を感じさせるダスマリナス 撮影・杉浦大介      

――大家族で育ったということですが、やはり家族により良い生活を供給したいという思いがボクサーとして戦うモチベーションになっているんでしょうか?

MD : 私には9人の兄弟姉妹がおり、父はお米の農家で働き、大工の仕事もこなしながら家族を養ってくれました。母はすでに亡くなりました。私が戦うことで家族を助けたいという気持ちは、間違いなくモチベーションになっています。

――ボクサーとしての最終目標は何でしょう?

MD : 世界チャンピオンになり、私のボクサーとしての能力、勇気、テクニックを認めてもらいたいと思っています。まだ若く、トレーナーが不在だった頃に2敗は喫しましたが、以降は負けてないですし、私は誰も恐れません。そのことを世界中のボクシングファンに知ってもらいたいですね。

――最後になりますが、あなたのニックネームである“ホット&スパイシー”の由来を教えてください。

MD : 私の故郷は唐辛子の産地として有名だったため、私も“ホット&スパイシー”と呼ばれるようになりました。誰が名付けたか?それは私も知りません(笑)。たぶんBoxrec(プロボクサーの戦績を記録したウェブサイト)の編集人が考えつき、そのまま定着したのではないかと思います。

写真提供:Sean Gibbons
写真提供:Sean Gibbons