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中谷正義との重要な一戦にどう臨む? フェリックス・ベルデホ独占インタビュー

杉浦大介スポーツライター
Photo By Mikey Williams / Top Rank

12月12日 ラスベガス MGMグランド カンファレンス・センター

ライト級10回戦

フェリックス・ベルデホ(プエルトリコ/27歳/27勝(17KO)1敗

元OPBF東洋太平洋ライト級王者

中谷正義(日本/31歳/18勝(12KO)1敗)

*今回のインタビューは通訳を介して電話で行われた。

中谷にも自分の強打を当てられる

ーー重要な一戦が間近に迫っていますが、コンディションはいかがですか?

フェリックス・ベルデホ(以下、FV) : 調子はいいし、トレーニングに集中できています。12月12日に自分が何をすれば良いかはわかっていますし、準備ができていると感じています。

ーー中谷の映像を見て研究していると思いますが、相手の印象は?

FV : 長身で、射程距離が長い選手という印象です。ただ、試合の結果は背の高さで決まるわけではありません。中谷は良いボクサーだし、経験も積んでいますが、必ず勝利を手にするという心持ちで臨みます。

ーー中谷は昨年7月、テオフィモ・ロペス(アメリカ)に善戦したことでアメリカでも名前を知られました。ロペス対中谷戦を見てどんな感想を持ちましたか?

FV : テオフィモが強打を当てるシーンもありましたが、中谷がダメージを受けなかったことには少し驚かされました。中谷は良い戦いをしたと思います。あの試合をよく見直し、私たちの戦いに向けてアジャストメントを施していきたいと考えています。

ーーあなたは2018年3月、アントニオ・ロサダ・ジュニア(メキシコ)戦で初黒星を喫しました。ロサダも長身の選手ですが、中谷とロサダには共通点が多いと感じますか?

FV : 私の意見では、2人の共通点は背が高いことくらいだと思います。私がロサダに負けたのは、彼が長身だったことが理由ではありません。私のコンディションが良くなく、しっかりとした準備ができなかったから負けたのです。あの試合時は減量がうまくいかず、体重オーバーを恐れて試合2日前から水を飲むこともできませんでした。相手が長身だからといってパンチが届かないわけではなく、コンディションさえよければ中谷にも強打を当てられると信じています。

ロサダに敗れて以降、4連勝。前戦ではウィル・マデラに初回KO勝ちと、再び上昇気流に乗っている。 Photo By Mikey Williams / Top Rank
ロサダに敗れて以降、4連勝。前戦ではウィル・マデラに初回KO勝ちと、再び上昇気流に乗っている。 Photo By Mikey Williams / Top Rank

ーー今回の試合にはどういったファイトプランで臨むつもりですか?

FV : 私はカウンターパンチャーであり、自分の武器、長所をいかすという点は普段と変わりありません。それに加え、中谷はパンチの射程距離が長いので、機会を見て距離を詰め、懐に入る必要はあるのでしょう。

ーープロ入り時のあなたに対する期待は大きかったですが、すでに1敗を喫し、ここでまた強敵と対戦します。マストウィン・ファイト(絶対必勝)のプレッシャーは感じていますか?

FV : 順調に準備を進めることができていますし、必要以上のプレッシャーは感じていません。良いパフォーマンスを見せるため、ジムでやるべきことはわかっています。だからこそ、こうして落ち着いていられるのです。現在の準備の成果を12月12日にはリング上で発揮できると確信しています。

ーー敗れたのはロサダ戦だけですが、あなたはしばらく不振の時期を経験しました。最近は好調を取り戻した印象ですが、以前と今の違いはどこにあるのでしょう?

FV : 以前の私は自分自身のためだけに戦っていました。それが今では娘のミランダにより良い将来を供給したいと願い、そのために戦っています。人生に新たな目的が生まれたことが違いになっているのでしょう。娘のおかげで、今では自身のキャリアのために必要なことに集中できています。

トリニダードとマルケスのファン

ーー中谷に勝ったとして、その後のプランをどう考えていますか?ロペスやアマチュア時代に対戦経験のあるワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)といった同じトップランク傘下の強豪たちとの対戦が視界に入ると思いますか?

FV : 中谷との試合を終えたら、チャンピオンと戦いたいというのが私の希望です。ライト級には多くのビッグネームが属しており、そのうちの誰が相手でも構いません。この激戦階級でトップに立ちたいというのが今の目標です。

ーー現在、ロペスがライト級の頂上に君臨していますが、彼がロマチェンコに勝ったことには驚かされましたか?あの試合の印象は?

FV : サプライズがあったとすれば、ロマチェンコが後半まで攻めに転じなかったこと。実際には後半はロマチェンコが押し気味だったのですから、攻守の切り替えが遅すぎたのでしょう。ただ、ロペスの力がそうさせた部分もあるのでしょうし、彼はストレートパンチを使ったシンプルなボクシングをやりきったと思います。ロペスはロマチェンコ攻略のためにやるべきことを冷静にやったという印象でした。

ーーあなたの現在のトレーナーであるイスマエル・サラスは日本との関わりも深い指導者ですが、サラスの素晴らしさを説明していただけますか?

FV : 攻守両面で細かな部分にまで目が届くことが、彼を優れたトレーナーにしているのだと思います。また、長くこの業界にいて、ボクシングに関する知識が豊富にあることももちろん重要な要素。自分が何をやっているか、何をやるべきかを常に理解している指導者です。

サラストレーナー(写真右)と組んで以降、ベルデホは台頭期の瑞々しさを取り戻したという見方もある。 Photo By Mikey Williams / Top Rank
サラストレーナー(写真右)と組んで以降、ベルデホは台頭期の瑞々しさを取り戻したという見方もある。 Photo By Mikey Williams / Top Rank

ーー先日、サラスは新型コロナウイルスで陽性反応を示したと報道されました。中谷との試合でもあなたのセコンドにつけるのでしょうか?

FV : サラスがコロナ感染したと報道された後、まだ彼とは話していません。だから今後のことは未定のままです。

ーープエルトリコの人々は依然として次のスター候補としてあなたに大きな期待をかけています。あなた自身の少年時代からのフェイバリットファイターは誰だったんですか?

FV : 子供の頃はフェリックス・“ティト”・トリニダード(プエルトリコ)が好きで、ティトに憧れてボクサーを目指しました。自分がボクサーになってからは、同じカウンターパンチャーのファン・マヌエル・マルケス(メキシコ)のファンになりました。

ーー先ほど当面の目標はライト級制覇という話がありました。その先まで見据え、キャリアの最終目標は?

FV : 人々がボクシングの話をしたときに、すぐに名前が出てくるような選手になりたいです。“フェリックス・ベルデホ抜きにボクシングは語れない”と言われるようなボクサーになりたいと願っています。

スポーツライター

東京都出身。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、ボクシングを中心に精力的に取材活動を行う。『日本経済新聞』『スポーツニッポン』『スポーツナビ』『スポルティーバ』『Number』『スポーツ・コミュニケーションズ』『スラッガー』『ダンクシュート』『ボクシングマガジン』等の多数の媒体に記事、コラムを寄稿している

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