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中島健人、全方位アイドルへの『Mission:K』コンプリート。

杉谷伸子映画ライター

中島健人のアイドルとしての輝きがすごいことになっている。

Sexy Zone5名と内博貴、A.B.C-Z橋本良亮の総勢7名による「Summer Paradise 2017」。1か月にわたる夏の祭典のトップバッターとなったのは、昨年の公演で“王子様”ぶりがもはやキャラではなく、本気の本物であることを見せつけた中島。今年はその本物の王子様が、アイドルとしてさらなる力を蓄えていたことを証明した。

アイドルと一口に言っても、その魅力はさまざまだ。中島も一昨年の『Love Ken TV』では「TVの中のスター」とカノジョのデートをテーマに THEアイドルな“キラキラ”を、昨年の『#Honey Butterfly』では ハニーとバタフライとして“ファンタジックな華やかさ”を楽しませてくれた。「今年は少し男らしいコンセプトにしたいなと思って」と公演前の囲み会見で語っていた彼が 3年目のソロ公演『Mission:K』で魅せるのは “クール”。3017年からやってきた“ケントロイド”が、会場に集まった“Kenty Girls”(中島のファン)を幸せにするというミッションを遂行するというのがコンサートのコンセプトだ。

オープニング映像で2017年に向かう転送装置に乗り込んだ黒いスーツのケントロイドが、ステージ上段に登場する幕開けから、中島はその圧倒的な存在感を印象づける。やまない歓声のなか、軽くひじを曲げた両腕を左右に広げて仁王立ちになるアンドロイド感たっぷりのポーズで1分近く微動だにしないのだ。一瞬にして世界を作りあげ、その世界観を無言で保つオープニングに感じるのは、この1年でさらに磨かれた中島の俳優としての力。

もちろん、『Mission』を皮切りに エージェントに扮したSnow Manとともに序盤からたたみかける歌とダンスもクールなら、『BAD BOYS』では『劇場版 BAD BOYS J 〜最後に守るもの〜』のエンドロールでしか流れたことのない極楽蝶の演奏シーンも映し出されるなか、バンドスタイルでも盛りあげる。

アドリブ ピアノコーナーでは公開中の主演映画『心が叫びたがってるんだ。』に登場する『あなたの名前呼ぶよ』『心が叫びだす』を交え、『ディアハイヒール』では回転するステージでロマンティックにピアノを弾き語る。さらには、棺桶に入ったSnow Manの宮舘涼太と入れ替わる、ジャニーズの伝統芸のひとつとも言えるイリュージョンにも初挑戦。

クールなケントロイドを軸にさまざまなテイストで楽しませながら、曲の合間に「この汗で のちほど虹が見えるかもしれない」など、甘いフレーズもふんだんに織り込みながら、沸かせるのは中島ならでは。

そもそも、オープニングでファンを沸かせた最初のひと言「1000年先から君を守りに来た」といい、ケントロイドと名乗るコンサート会場とはいえ、このドラマティックなフレーズをリアルな空間で成立させられる生身の人間はそうそういるものじゃない。

そのインパクトは、この日、初めて中島の公演を観覧した東山紀之に「独特の世界観だね」と感心され、オープニングのケントロイド・ポーズを真似されるほど(佐藤勝利も後日、自身のソロ公演のMCで真似していた)。さすがに大先輩の東山とのトーク中は、ケントロイドのキャラは崩壊していたものの、ひとたびコンサートが再開すれば瞬時にスイッチが入るあたりもお見事。

そんな中島が、『Mission:K』に込めたのは、「何気なく過ぎていく日常も一つ一つをミッションだと思って生きれば、より人生が華やかになるんじゃないかなと。“人生 is Mission”というテーマを掲げさせていただきました」という想い。「1000年先もみなさんとこうやって愛しあえたら幸せだなと思います」と中島らしい甘い言葉もふんだん綴るラストの挨拶でも、「僕たちは今というこの瞬間を大事に生きなくちゃいけない」という言葉がひときわ印象的だった。

『心が叫びたがってるんだ。』では、THE王子様の中島が、 “芝居をせずに芝居をする”という難易度の高い芝居を通して、本音を心に隠した高校生をナチュラルに演じたこと自体にも興奮させられたものだが、その対極にある『Mission:K』が再認識させてくれたのは 中島健人というアイドルの魅力。

“キラキラ”も“華やか”も、そして“クール”も、どんなテイストでも 王子として世界を構築し、いまや立ち姿に風格すら漂う。もはや、全方位でアイドルとして輝ける中島健人という存在そのものがエンターテインメント。アンコールではTシャツを破るというパフォーマンスで悲鳴のような歓声をあげさせていたが、このパフォーマンスがハマる精悍さも加わった23歳。「あれはボロボロになっても君を守るというテーマなんです」と囲み会見で明かしていたが、まさに『Mission:K』はKenty Girlsへの包容力に溢れていた。(7月29日17時公演:TOKYO DOME CITY HALL)

【Summer Paradise 2017 Mission:K 7/29(土)17時公演セットリスト

M1. Mission(中島ソロ・新曲)

M2. Sun Burns Down(JIN AKANISHIカバー曲)

M3. Fly(SMAPカバー曲)

M4. Black Cinderella(中島ソロ曲)

M5. BAD BOYS

M6.もう君以外愛せない(KinKi Kidsカバー曲)

M7.アドリブピアノコーナー

M8.ディアハイヒール(中島ソロ曲)

M9.エンジェル(KinKi Kidsカバー曲)

M10. CANDY ~Can U be my BABY~(中島ソロ曲)

MC

M11. Boogie Woogie Baby(Snow Man 歌唱/Snow Man 楽曲)

M12. IF YOU WANNA DANCE

M13. Mr.Jealousy(中島ソロ曲)

M14. Forever L(中島ソロ曲)

M15.愛してる愛してない(米倉利紀カバー曲)

コーナー

M16.カレカノ!!(中島ソロ曲)

M17. Believe(V6カバー曲)

M18. Secret Agent Man(期間限定ユニット「Secret Agent」カバー曲)

M19. Hey! Summer Honey(中島ソロ曲)

M20. LOVE風(中島ソロ曲)

En1. Teleportation(中島ソロ曲)

En2. Mission(中島ソロ曲・新曲)

映画ライター

映画レビューやコラム、インタビューを中心に、『anan』『25ans』はじめ、女性誌・情報誌に執筆。インタビュー対象は、ふなっしーからマーティン・スコセッシまで多岐にわたる。日本映画ペンクラブ会員。

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