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いつだって“予想外”は“期待以上”。A.B.C-Z Star Line Travel Concert

杉谷伸子映画ライター

7月20日にリリースした3rdアルバム『ABC STAR LINE』を引っさげて、約1年ぶりとなるコンサートを国立代々木競技場第一体育館で開催したA.B.C-Z。今年も総合演出を河合郁人、振付を五関晃一が担当したコンサートは、A.B.C-Zの持ち味であるアクロバットや華麗なダンスを存分に楽しませてくれるとびきりのエンターテインメント空間。

A.B.C-Zの代々木でのコンサートといえば大掛かりな機構が恒例だが、今回はそうした機構を封印。だが、そこは身体能力の高いメンバー揃いのA.B.C-Z。新たにトランポリンを採用して、アクロバティックなパフォーマンスをリズミカルに楽しませる。なかでも、体操経験のある塚田僚一は、高さ3m30cmの壁をトランポリンの反動で走りきるウォールトランポリンにも挑戦。この日の昼公演は失敗だったそうだが、取材が行われた東京最終公演では見事に成功させて会場は大盛り上がり。

その塚田、「A.B.C-Zのコンサートがスポーツ!」と昼公演後に行われた囲み会見で熱く宣言していたのも印象的だったが、最近は『SASUKE』への出場でも知られている。この日は番組で出会った仲間たちの姿も客席に。「オープニングで口笛吹いてくれた人、いたでしょ? 俺、あれですごくテンション上がった」と河合がMCで話題にした指笛も、塚田が「冗談で金髪にしてきてくださいよと言ったの。そしたら、ほんとにしてきてくれた」と驚いたように、「金髪筋肉塚ちゃんです」のフレーズでおなじみの塚田と同じ金髪で揃えてきたグループから起きたものとわかり、会場を沸かせていたが、実際、センターステージのリフターで歌い、客席を盛りあげる5人を見上げるオープニングは、会場中の観客のテンションも一気にMAXへと上げずにいないものだった。

次の目的地も楽しみに

ABC STAR LINEに乗っていろいろな世界へ飛び出そうというメッセージを込めたアルバムがベースなだけに、コンサートもバラエティに富んだ内容。

メジャーデビュー後のコンサートでは初めてとなるフライングもバルーンを使ったり、さまざまなバリエーションを見せてくれたかと思えば、河合はコミカルなソロ曲『S L BOY』では『DREAM BOYS』亀梨和也に触発されたというフライングまで披露。ソロでも『To Night’s love』のイントロからクールに魅了する五関に象徴されるA.B.C-Zの鮮やかなダンスも、屋良朝幸も振付を手がけたダンスコーナーを設けるなど、たっぷり堪能させてくれる。

ギターをかき鳴らして力強く歌う『V』で、ともに歩み続けてきたメンバーやファンに対する思いを届ける戸塚祥太。母親への想いを曲にした『へそのお』では鍵盤ハーモニカの演奏を観客にそれこそ母親のような気持ちで見守らせたかと思えば、恒例の花道での連続バック転を予告なしでスタートして驚かせ、見事に30回成功させて会場を大きく沸かせる塚田。その長い花道を歌いながら移動して、『Crazy about you』をソロコンサートとは違う魅せ方でぐっと大人っぽくなった表情を印象づける橋本良亮。と、ソロ曲だけをとっても個性はさまざま。その5つの個性が共鳴しあい、A.B.C-Zとしてひとつの世界観を楽しませてくれる。その幸せを、今回のコンサートはひときわ感じさせてくれた気がする。

この日、見学に来ていたKis-My-Ft2北山宏光とのやりとりで、「予想外の展開。それが俺の構成の仕方だからさ」と応えていた河合だが、コミカルな演出もふんだんに盛り込みつつ、決める時は華麗に決めるA.B.C-Zのダンスの魅力を存分に楽しませるなど、予想外でいながら期待以上のものを見せてくれるのは抜かりなし。

「東京ドームでやりたいですよね。東京ドームだったらA.B.C-Zのアクロバットどうなっちゃうんだろう?」と囲み会見で河合が話していたが、空間をフルに生かしてA.B.C-Zらしいスタイルを満喫させてくれた今回のコンサート。彼らなら東京ドームをどう使うのか。それを確かめられる日が来るのも楽しみにさせてくれた。(8月11日17時公演を取材/東京公演は8月10日〜11日)

『A.B.C-Z Star Line Travel Concert』大阪公演は10月1日〜2日、大阪城ホールで開催。

『ABC座2016 株式会社応援屋!!OH&YEAH!!』は10月5日〜27日、日生劇場

映画ライター

映画レビューやコラム、インタビューを中心に、『anan』『25ans』はじめ、女性誌・情報誌に執筆。インタビュー対象は、ふなっしーからマーティン・スコセッシまで多岐にわたる。日本映画ペンクラブ会員。

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