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木村拓哉と城西支部の魅力炸裂、『HERO』初日舞台挨拶。

杉谷伸子映画ライター

大作映画が続々公開される2015年夏。サマーシーズンの本格到来を告げるように、『HERO』が7月18日に公開された。全国166の劇場でも生中継された初日舞台挨拶には主演の木村拓哉をはじめ城西支部メンバー全員が登壇した。

木村拓哉が演じる型破りな検事・久利生公平を中心に東京地検城西支部で働く検事と検察事務官らの活躍を描く『HERO』は、連続ドラマの第1シーズンがきっかけで検事を目指す若者が増えたといわれる人気シリーズ。8年ぶりに映画化された本作では、久利生と城西支部の前に、治外法権や外交特権という壁が立ちはだかる。

連発!爆笑連携プレー

公開まで完成披露試写をはじめ一般試写を一切行わず、まさしくこの日が初めて観客の目に触れる機会。お台場シネマメディアージュで行われた初日舞台挨拶には、木村拓哉、北川景子杉本哲太濱田岳正名僕蔵吉田羊松重豊八嶋智人小日向文世角野卓造の城西支部メンバー全員と監督の鈴木雅之が登壇し、全国166の劇場でも生中継。

事件に大小はないという久利生の姿勢は『HERO』の根幹の魅力だが、城西支部のチームワークもまたこのシリーズの大きな魅力。初日舞台挨拶はそんな城西支部のメンバーさながらに、キャストたちが撮影現場の空気とキャストのチームワークの良さを伝えてくれるものだった。

「皆さん、朝早くから僕らキャスト・スタッフ、ほんとに気持ちを込めて作らせていただいた今回の『HERO』、受け取ってくれて本当にありがとうございました。今現在、ここを含めて、全国166箇所でこの舞台挨拶を観てくださっている、劇場に来てくださった皆様にも感謝しています。今日は限られた時間ではありますけれども、よろしくお願いします」という木村の挨拶に続く、登壇者の挨拶はとにかく賑やか。

全国166の劇場に生中継されているということで、八嶋が「166館の皆さんも元気ですかっ!」と問いかければ、お台場シネマメディアージュを埋めた観客から「イェ〜イ!」というレスポンス。「聞こえた、奇跡的にっ!」と受ける八嶋に、進行役のフジテレビ・軽部真一アナが「月曜日のテレビ放送を考えた盛り上げ、ありがとうございます!」と続ける。キャストと観客、そしてテレビ番組の見事な連携プレーは、人気ドラマの映画化ならでは。

テラ級ドSのヒーロー

「役柄とのギャップがいちばん大きいのは誰?」という質問には、「川尻部長は若干キレやすいところもあるんですけど、ご本人はものすごく温かくて、すごくおおらか」(木村談)ということで松重の名が。

「いちばんNGが多いのは?」という質問には杉本の名が挙がるが、「長いシーンとかは、誰かひとりが失敗すると一からやりなおすことになりますんで、逆にみんなの結束力が高まるみたいな。いいところありますよね、木村さん」という八嶋に、「そうですね。自然にセットの中で僕ら全員が円陣を組んで気合入れてから撮影に臨んで一発OKいただきました」と木村が続ける。そのやりとりにうかがえるのは、現場の温かさと結束力。

そんななか、「いちばんSなのは?」という問いかけで最も多くの票が集まったのは木村。

その木村が「ときどきブラック・コヒが出るんですよ」「人のNGを誰よりも喜ぶ(笑)」と小日向を挙げると、八嶋が「(小日向は)自分がNG出すと、“出してない”みたいな顔するんですよ。そういうのを全部拾ってツッコんでいくのが木村さんですね」と現場の様子を披露。

さらに、北川が「一回、超ド級のSだと思うとご自身でおしゃっていて」と木村について話すと、キャストのタイミングを合わせなければならない各取調室のドアが一斉に開くシーンの撮影待ちの間に不安がる北川に、「ジタバタしてんじゃねえよ」とたしなめた自分について「テラ級ドSだから」と言ったことを明かす一幕も。

『HERO』、そのタイトルの意味

連ドラも映画も、タイトルにはサブタイトルがなく、タイトルはあくまで『HERO』だけなのも、このシリーズの特徴。そのシンプルなタイトルについて尋ねられた木村は、こう答えた。

「自分、14年前にTVシリーズとしてやらせていただいたときから一切タイトルの変更もないですし。それだけ、この物語の中に出てくる久利生公平をはじめ、皆さんが一切ブレずにやりつづけてきたということで、きっと、一切サブタイトルだったりとか、そういうものが必要ないんじゃないかなと思いますし。特定の人がヒーローということではなくて、その場に存在する人、今日で言ったら、この壇上にいるみんなもそうですし、客席に座ってくださってる皆さんもその一人ということで、僕は考えてます」

最近はハリウッド大作も主演スターや監督を迎えてのジャパンプレミアはもちろん、ときにはワールドプレミアが行われるのも珍しいことではなくなってきたが、初日舞台挨拶にこれだけのキャストが勢ぞろいするのは邦画の強み。この先も続々とハリウッド大作が公開される2015年サマーシーズン、『HERO』がどんな伝説を打ち立てるか。「このまま終わるのか、続くのかはきっとみなさん次第だと思います」と木村が語った今後とともに楽しみだ。

『HERO』は全国東宝系で超拡大ロードショー中。

映画ライター

映画レビューやコラム、インタビューを中心に、『anan』『25ans』はじめ、女性誌・情報誌に執筆。インタビュー対象は、ふなっしーからマーティン・スコセッシまで多岐にわたる。日本映画ペンクラブ会員。

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