就職や転職で、「やりたいこと」と「できること」、どちらで会社や仕事を選ぶべきか

(写真:アフロ)

■WILLーCANーMUST

就職や転職の際に自分の適職を考えるうえでよく用いられるフレームワークに、「WILL」「CAN」「MUST」というものがあります。

WILLというのは、「やりたいこと」のこと。つまり「志向・価値観」のことです。

CANというのは、「できること」のこと。つまり「パーソナリティや能力・スキル」のことです。新卒学生で考えるなら「できそうなこと」ぐらいでよいかもしれません。

MUSTというのは、「やらねばならぬこと」のこと。つまり「仕事自体」のこと。

この3つの要素の重なりが大きいような仕事を選ぶことができれば、その人は幸せだということで、よく使われるフレームです。

■「やりたいことを仕事にする」がベストか?

現在の社会的望ましさの文脈で言えば、「やりたいことを仕事にする」というのが良いこととされているように思います。つまり、WILL→CAN→MUST(やりたいことを、できるようにして、仕事に就く)という流れがよいのではないかということです。

しかし、いくつかの点で、私は違う流れの方が自然ではないかと思っています。

■やりたくてもできなければかなり苦労する

まず、今できていないことをできるようにするにはかなり大変な努力を必要とするという点です。仕事に就くまでに、これまで長い年月(新卒でも20年以上)を人生を生きてきて、それでもできるようになっていないことを、就職前後の短期間で習得するということは、現実的には難しいのではないでしょうか。

できていないのは、能力的に不足があるなど、何らかの理由があってのことが多いと思います。そういう大変な努力をあえてすることが最上のことなのでしょうか。

■そもそも本当にやりたいことなのかが疑問

次に、そもそも確固たる「やりたいこと」を持っている人がどれほどいるのかという点です。就職支援をしていて思うのが「やりたいことが見つからない、わからない」という悩みがとても多いということです。

日本人はどんな場でも変わらない強い「アイデンティティ」よりも、場に合わせて柔軟に「役割意識」によって自分を変えることを要請されて育っているので、いざ自由にやってよいと言われても困ってしまう人が多いように感じます。

そういう背景の中、とってつけた即席の「やりたいこと」をやるために、後づけで大変な能力開発をするというのは無理があるのではないかと思うのです。

■自分の「できること」から考えたほうが自然では

ですから、自然なのは、「できることを仕事にすると、やりがいが生まれる」という流れではないかということです。

つまり、CAN→MUST→WILLという流れです。

できることを仕事にすれば、成果が出るので褒められる。褒められるとうれしくなり、やりたくなる。これが多くの人にとっては自然な流れに思います。そもそも、特段「これでないと嫌だ」と思えるほどの「やりたいこと」がないのであれば、この「できること」を軸に仕事を選ぶ方が自然ではないでしょうか。

■「できること」はプロに発見してもらえる時代

その「できること」はどうやって認識するか。自分で自分の能力をアセスメントするのは難しいです。仕事をやったこともないのに、どんな仕事ができるか、自己判定できる人は極少数でしょう。

そうであれば、アセスメントのプロである採用担当者達に身を預け、「自分はこれこれこういうことをやってきたのだが、できることありますか?」というような姿勢で就職・転職活動に臨めば、ちゃんと見極めてくれることでしょう。

最近ではスカウトメディアというものがあり、自分の情報を登録しておけば、会社側からアプローチがあります。まず、自分を素のままで出してみて、高い評価をしてくれるところに行くというのがよいと思います。そして「私が何ができそうだと思ってアプローチしてくれたのですか」と問えばよいのです。

天職は英語で「Calling」と言います。まさに「向こう側から呼んでいる」ものなのです。その呼びかけに応じて、自分の進むべき道を選ぶのが、多くの人にとっては自然な行為ではないかと思います。