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WBAスーパーライト級タイトルマッチで対戦する両者の言葉

林壮一ノンフィクションライター
Esther Lin/Premier Boxing Champions

 3月30日に催されるWBAスーパーライト級タイトルマッチ、チャンピオン、ローランド・ロメロvs.イサック・クルス戦の記者会見が行われた。

 両者の言葉をお伝えしたい。

Esther Lin/Premier Boxing Champions
Esther Lin/Premier Boxing Champions

 15勝(13KO)1敗のチャンピオン、ロメロは言った。

 「この試合を中継するプライムビデオが手掛ける、最初のスーパースターになってみせる。その為にもイサック・クルスをノックアウトしなきゃな。KOが必須だ。とはいえ、賭け率ってのは単なる数字だ。ジャーボンテイ・"タンク"・デービス戦以降、クルスが挙げた勝利の方が俺よりも多いから、あちらを有利と予想する人がいるようだね。でも、今こそ俺に賭けなきゃだぜ。

 不利を囁かれることには慣れている。タンク戦もこんな調子でプロモーションしたから、目新しいことじゃないね。現時点で、他の140パウンドの選手については全く関心が無い。俺は今、この大試合だけに集中している。

クルスが、チワワ、プードル、あるいは少し太ったパグに似てるかどうかなど、どうだっていい。とにかく、3月30日の戦いに注目してくれ」

Esther Lin/Premier Boxing Champions
Esther Lin/Premier Boxing Champions

 デービス戦では先手を取ったかに見えたが、実は攻めさせられており、6ラウンドに沈められたロメロ。そんな王者に対し、クルスは粘り強くフルラウンドを戦い抜き、評価を上げた。しかも同ファイトは、ロメロの代役として急遽お鉢が回ってきた世界挑戦だった。

 25勝(17KO)2敗1分けの挑戦者も話した。

 「今は、ヤツには好きなだけ喋らせてあげるよ。戦いが終わったら、彼はチワワのように泣くことになるだろうから。私の目標はロメロを黙らせ、自分が真のメキシカン王者だと世界に示すこと。ベルトを必ず祖国に持ち帰る。

 この戦いを実現させてくれた皆さんに感謝する。3月30日が待ち切れない。我がチームは何度も仕事をし、戦い続けてきた。そうして再び世界タイトル挑戦のチャンスを得たのだ。ロメロ戦の準備は万端だ。私はメキシコ人ファイターとして誇りを持っており、自分に何が出来るかをリングでお見せする。

 この戦いを自分の子供たちに捧げたい。私がここまで辿り着いたのは、チームと家族のサポートのお陰だ。勝利をお礼として届ける。ただ、ファイト当日の本当の勝者はファンであってほしい。その為に、私はロメロからベルトを奪取し、ファンの望みを叶えたいと考えている」

Esther Lin/Premier Boxing Champions
Esther Lin/Premier Boxing Champions

 両者は直近の試合で、それぞれ評価を下げた。チャンピオンはダウンを喫して打たれ脆さを、チャレンジャーは詰めの甘さを露呈した。互いに真価が問われる一戦だ。

 さて、生き残るのはどちらか。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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