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現WBOスーパーウエルター級チャンピオンvs.元WBA/WBC統一ウエルター級王者の記者会見

林壮一ノンフィクションライター
Esther Lin/Premier Boxing Champions

 3月30日に催される、現WBOスーパーウエルター級王者のティム・チューと、元WBA/WBC統一ウエルター級チャンピオンのキース・サーマンの記者会見が行われた。

 両者の言葉をお伝えしたい。

Esther Lin/Premier Boxing Champions
Esther Lin/Premier Boxing Champions

 まずは、24戦全勝17KOのチュー(29)。

 「この立場に就くことができて光栄です。こういったファイトは一度限りですから、華々しく戦いたいと思っています。ここに至る過程で、長い時間を要しました。ブライアン・メンドーサとの試合が終わるとすぐに、次の試合に向けて動き始めたのです。何カ月もかけて準備し、キース・サーマンという素晴らしい選手との対戦が決まった際には、サンタクロースからプレゼントをもらった子供のようでした。

 ただ、彼がガゼルのように走って逃げ回るのではなく、自分と同じように戦ってくれることを願います。私は間違いなく、12ラウンド以内に彼をノックアウトしますよ。

Esther Lin/Premier Boxing Champions
Esther Lin/Premier Boxing Champions

 私はキースがどんな人物なのか、彼が何をしてきたかも知っています。とはいえ、彼の時代は終わったと感じます。時は流れ、もはやティム・チューの時代なのです。キース・サーマンに勝つことばかりでなく、己の力を見せつけるつもりです。

 ボクシング評論家が何を喋ろうが関係ありません。私は戦うべき相手のリストがあります。今の目標は、チューを史上最高のボクシングファミリーとすることです。ここまで上ってきましたが、どこまでやれるかというところですね。

 私は自分の能力を認識しています。私のような昔ながらのファイターは、今のボクシング界にいません。私は誰とでも戦うつもりだし、リングに上がれば相手を痛め付けることが出来るのです」

Esther Lin/Premier Boxing Champions
Esther Lin/Premier Boxing Champions

 続いて30勝(22KO)1敗の35歳、キース。

 「記者の皆さん、お久しぶり。 3月30日の試合で、自分がレガシーを引き継ぐことを楽しみにしている。再びワールドクラスの大きなイベントの幕開けだよ。

 チューはメキシカンスタイルの鈍足ファイターだ。リングの真ん中で対峙するよ。ヤツは泣きながら家に帰ることになる。チューは俺の映像を見たかもしれないが、理解できていない。今回の契約書にサインはしたものの、自分が何をしたのかは分かっていないね。ヤツを苦いと感じた選手もいるだろうが、俺とっては甘いさ。

 ボクシング界において、増量ってのはよくある。147パウンドが大好きだったが、ウエルターで得られるものは全て手にした。

Esther Lin/Premier Boxing Champions
Esther Lin/Premier Boxing Champions

 自分はリングに上がる度に、アメリカンドリームを実現している。ボクサーは皆、己が払っている犠牲の意味を把握しており、そうした犠牲こそが我々を作っていくんだ。ウエルターで多くのことを成し遂げたので、スーパーウエルターでもいい結果を残したい。

 俺はただ単に、素晴らしい戦いをしたいんだ。チューは俺が望む戦いを提供してくれた。今、ヤツは新しい時代への扉を開こうとしているが、目の前のそれを閉めるのが自分の仕事だ。

 キース・サーマンほどアンチを黙らせたい男はいないよ。今すぐチケットを入手して、当日はアリーナに来てほしい。シンプルに、ブーン、ブーン、ブーンという音だけを聞くことになるだろう」

Esther Lin/Premier Boxing Champions
Esther Lin/Premier Boxing Champions

 舌戦は、なかなかのものだった。リングでは、どんな展開となるか?

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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