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前日本ライト級チャンプ、宇津木秀の再起戦

林壮一ノンフィクションライター
撮影:筆者 再起戦に向け、スパーリングを重ねる宇津木(左)

 2023年4月26日、3度目の防衛戦で敗れ、日本ライト級タイトルを失った宇津木秀。来る12月14日の再起戦に向け、熱の籠ったトレーニングを重ねている。

 4月のファイトは、初回から仲里周磨の右を浴び、第3ラウンドでKO負けした。デビュー以来12戦全勝10KOと、順調に歩を進めていた宇津木にとって苦過ぎる敗北だった。

撮影:筆者
撮影:筆者

 宇津木は言う。

 「冷静に振り返ってみると、自分のボクシングが出来ていなかったですね。『前半から行くぞ』『先手を取るぞ』と、気持ちばかり先走っていた感があります。それが空回りしてしまいました。上体も高かったですね…。

 初黒星を喫して見えた課題が、ディフェンスと精神面です。今は『圧倒する』『KOする』という意識よりも、相手のパンチを貰わない事、落ち着いて試合を組み立てる事、そして穴の無いボクシングをする事を心掛けています。

撮影:筆者
撮影:筆者

 トレーナーや京口紘人さん、また、周囲の人たちから様々なアドバイスを頂きました。それをきちんと取捨選択しなければいけませんよね。これまでの僕は、他人の声に惑わされる部分が多かったのですが、整理することが肝心だなと」

 今回の対戦相手は、花形ジムの柳堀隆吾。第68回全日本新人王を経て、現在日本9位にランクされている。

撮影:筆者
撮影:筆者

 「柳堀選手は、くっついて戦うイメージがあります。彼の良さを出させずに、自分の戦いを貫きます。『宇津木は世界に行ける!』というところを、改めて見せたいですね。

 『仲里戦は、お前のスタイルじゃなかったな』と色んな方に言われましたし、そう思わせてしまった自分が歯痒いです。でも、1敗を肥しに、絶対に這い上がります。まだ自分は進化出来ると思っていますから」

 再起戦のゴングまで2週間。12月14日の後楽園ホールで、宇津木はどんな変化を見せるか。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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