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2人の元世界王者が語った寺地拳四朗

林壮一ノンフィクションライター
撮影:山口裕朗

 9月18日に、ヘッキー・ブドラーを9回KOで下してWBA/WBCライトフライ級王座を防衛した寺地拳四朗。そのファイトについて、2名の元世界王者にコメントをもらった。

撮影:山口裕朗
撮影:山口裕朗

 まずは、ブドラーと対戦している元WBA/IBF同級チャンピオンの田口良一。

 「自分は、早い段階で拳四朗がKOすると予想していました。6ラウンド以内に仕留めるだろうと。昔だったら、自分に勝った相手が負ける姿って見たくないという感情がありましたが、もう、拳四朗はそんなレベルじゃないんですよ。

 ですから、純粋に拳四朗を応援していましたね。もっと緩急をつけ、ペースアップしていたら、早い段階で決着がついていたんじゃないかなとも思いますね」

撮影:山口裕朗
撮影:山口裕朗

 今年1月にWBOミニマム級タイトルを失い、再起ロードを歩み始めた谷口将隆も次のように話した。谷口は、寺地とスパーリングをした経験がある。

 「拳四朗選手は、いつものスタイルでしたが、ブドラーのこの一戦に懸ける思いが伝わってきましたね。徹底した対策で挑んだ印象があります。かなり仕上げてきましたよね。拳四朗選手も『あれ、止まんねぇな』と感じたでしょう。早いラウンドで格の違いを見せるぞ、という思いだったのでしょうが、蓋を開けてみたら、ブドラーが想像以上に善戦しました。

 それでも、捻じ伏せた拳四朗選手は本当に強いですね。あれだけハイテンポで動いてもスタミナが落ちない。そればかりではなく、KOに結び付けるために、終盤にギアを上げたじゃないですか。あの運動量には脱帽させられました。ブドラーも手を出し続け、相当動きましたが、それを上回ったんですから。挑戦者はパンチ力がある訳でも、スピードがあるタイプでもないじゃないですか。ただ、運動量が豊富なんです。パンチ力のある拳四朗選手が、それを上回って差がつきましたね」

 寺地は更にベルトを集めたいようだが、次の相手は誰になるだろうか。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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