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元WBAウエルター級王者のカムバック

林壮一ノンフィクションライター
Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 9月末日にWBCウエルター級暫定王座決定戦に挑むヨルデニス・ウガスが試合前の心境を語った。

 キューバ人である彼が五輪で銅メダリストとなったのは、2008年の北京。早いもので37歳の大ベテランとなった。2021年8月21日にWBAウエルター級チャンピオンとしてマニー・パッキャオを引退に追い込み、昨年4月にはWBC/IBF王者のエロール・スペンス・ジュニアとの統一戦に敗れた。

 今回の相手は、元WBAスーパーライト級のマリオ・バリオス(28)。ウガスにとっては、スペンスにベルトを奪われて以来の復帰戦である。

Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 ウガスは語った。

 「試合終了まで、どのラウンドも、前のラウンドと同じ集中力と真剣さで戦うことが大事だ。全てのラウンドを支配したいね。自分は予想屋ではないが、どんな試合でもトップ選手と戦ってきたし、毎ラウンド全力を尽くして金を稼いでいるんだ」

 今回のファイトは、サウル・"カネロ"・アルバレスvs.ジャーメル・チャーロ戦の前座として組まれた。

 「ビッグマッチの雰囲気には慣れているが、カネロのようなビッグスターと同じ興行に出場できるのは実にエキサイティングだ。大きな誇りでもある。目にするファンのために最善を尽くすよ。

 エロール・スペンス・ジュニア戦後、肉体的にも精神的にも苦しい時を過ごした。敗北を引き摺らざるを得なかった。今、自分自身を取り戻し、全ては過ぎ去ったことだと認識している。ただ、必ずリングに戻ると決めてはいた。痛めた目も手術後に回復したし、準備万端だ」

Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 普段、ラスベガスでトレーナーのイスマエル・サラスと共にトレーニングを重ねるウガスにとっては、第2の故郷でのファイトとなる。

 「再び、ここラスベガスで戦えるのは素晴らしいことだ。ラスベガスでは5勝0敗。T-モバイル・アリーナで戦うのはこれで3度目。ラスベガスが大好きで、家にいるような気持ちになるよ。

 ジムに戻った時、やりたかったことが出来る喜びを感じた。12月にトレーニングを再開し、その数か月後からスパーリングを開始したよ。

 クロフォードがWBCのベルトをどうするかは分からないが、自分の戦いに集中している。やるべきことをやっているし、これからも続けていくつもりだ」

 ウガスは世界戦線に再浮上出来るか。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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