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WBC4位vs.6位の潰し合い

林壮一ノンフィクションライター
Esther Lin/SHOWTIME

 直近の発表でWBC4位となったヘスス・ラモス・ジュニアと、同6位のエリクソン・ルビンの対戦が決まった。9月30日、WBA/WBC/IBF/WBOスーパーミドル級チャンピオンのサウル・”カネロ”・アルバレスvs.2階級下のスーパーウエルター級4冠統一王者、ジャーメル・チャーロ戦のセミファイナルで対峙する。

 本コーナーで何度か述べてきたが、20戦全勝16KOのラモスは、これまで政治力に守られた過保護なマッチメイクでランキングを上げてきた。一方、25勝(18KO)2敗のルビンは、2017年10月14日にジャーメル・チャーロに挑み、初回KO負け。更に2022年4月9日にもWBC暫定スーパーウエルター級王座決定戦で、9回終了時に棄権して敗れている。

 ルビンが喫した2つの黒星は、共にKO負けだが、暫定王座決定戦は倒し倒されの内容で、けっして彼の評価を下げるものではなかった。

https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/9822f8c13599311c8a68fe2f43433d4333945f51

Esther Lin/SHOWTIME 暫定王座決定戦で7回にダウンを奪ったルビン
Esther Lin/SHOWTIME 暫定王座決定戦で7回にダウンを奪ったルビン

 先日、両者は記者会見で顔を合わせた。

Esther Lin/SHOWTIME
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 ラモスは言った。

 「ルビンと戦えると聞いて、ワクワクしている。チャーロに負けた後に自分を作り上げ、素晴らしいファイトを続けている彼を尊敬している。実力者を叩きのめして自分を証明したい。だからこそ、この試合にサインした。

 人々は俺の真の実力を理解していない。だから、それをきちんと見せないとね。この試合をモノにして、スーパーウエルター級のトップが誰であるかを世間に分からせたい。勝ち続けることで、俺の価値を示したい。自分は成長過程にあるし、これまでの経験をルビン戦のリングで披露するよ。これまでと違う俺を見せる。

Sean Michael Ham/Mayweather Promotions メイウェザーの興行で戦ったこともあるラモス
Sean Michael Ham/Mayweather Promotions メイウェザーの興行で戦ったこともあるラモス

 自分にはパンチも、技術もある。そしてファイターとしての知恵も備えている。これまでに頑強な選手と対戦してきたが、一番タフなのはルビンだろう。彼のキャリアがそれを物語っている。何度も修羅場を潜っているもんな。だからこそ、誰からも尊敬されるんだよ。

 自分には彼ほどのキャリアは無いが、不利だとは感じない。日々自分を追い込み、ハードなトレーニングをこなしている。とにかく、圧倒して勝たなきゃいけない。それが自分のプランだ」

Esther Lin/SHOWTIME
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 エリクソン・ルビンも話した。

 「まだ肩に傷が残っているが、私が目指すものは変わらない。世界のベルトだ。今、飢えた状態にある。目の前の若者もお腹を空かせているが、こちらだって同じだ。9月30日は火花が散るだろう。勝利して、ビッグマッチに繋げたい。

 私は逆境を乗り越えながら自分を高めてきた。チャーロ戦後、懸命に練習を重ねて、6連勝した。(2022年4月9日の)セバスチャン・フンドラ戦も、優勢だった筈だが、負けたことで一から出直そうという気持ちになれた。

Esther Lin/SHOWTIME
Esther Lin/SHOWTIME

 ラモスは堅実なファイターだよな。先の試合を見たけれど、格好いいよね。でも、私は彼の相手だったジョーイ・スペンサーじゃない。スーパーウエルター級トップ選手の一人なんだ。自分自身を証明するためにここにいるし、毎回最も危険なファイトを望んでいる。実は、彼がジョーイ・スペンサーと戦う前からこの試合のオファーを出していたんだよ。

 この勝利で、自分は確固たるポジションに行けるだろう。タイトル戦が開けると信じる。この戦いの勝者は、間違いなくビッグファイトを迎えることになるさ」

 さて、いかなるファイトとなるか。注目のカードだ。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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