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井上尚弥が返上した「IBFバンタム級王座」決定戦

林壮一ノンフィクションライター
(写真:ロイター/アフロ)

 元IBFバンタム級チャンピオンのエマヌエル・ロドリゲス(30)が、井上尚弥の返上で空位となった同タイトル決定戦に出場する。8月12日、メリーランド州MGMナショナルハーバーの「ザ・シアター」で、ニカラグアのメルビン・ロペス(25)と対峙するのだ。

 現在ロドリゲスが2位、ロペスは3位にランクされている。

写真:ロイター/アフロ

 プエルトリコ、マナティ出身のロドリゲスは、目下21勝(13KO)2敗。昨年10月15日、19戦全勝12KOだったゲリー・アントニオ・ラッセルを下し、世界戦線に復帰した。

 ロドリゲスは、2018年5月にポール・バトラーに勝利してIBFバンタム級タイトルを獲得。5カ月後の初防衛戦では、ジェイソン・モロニーを相手に防衛に成功した。井上尚弥にノックアウトされた両選手に判定勝ちしたのだ。

写真:ロイター/アフロ

 その後、2019年5月18日にグラスゴーで井上尚弥に2ラウンドで屠られ、再起を賭けた2020年12月のレイマート・ガバリョ戦でも判定負け。そして、2021年8月14日のゲリー・アントニオ・ラッセル戦では、ファーストラウンドに受けた偶然のバッティングで試合続行不可能となるダメージを負い、ノーコンテストに。

 3試合連続で白星を挙げられなかったロドリゲスは終わったかに見えた。が、2022年3月25日に初回KO勝ちを飾った後、何とか漕ぎ着けたゲリー・アントニオ・ラッセルとの再戦では8ラウンドにダウンを奪って判定勝ちを収める。

写真:ロイター/アフロ

 ロドリゲスは言った。

 「世界チャンピオンに返り咲くチャンスを与えられて嬉しい。華々しく勝ちにいくし、目標は自分が118パウンドで世界最強だと示すことだ。バンタム級の統一王者を狙っている。だから、メルビン・ロペスとも戦う必要があるんだ」

 グラスゴーの悪夢から4年余り。井上尚弥のパンチに沈んでから、よくここまで這い上がった。トップスピードで進化する井上尚弥との差は、もはや埋まらないだろうが、ロドリゲスは、かつて保持していた赤いベルトをもう一度腰に巻けるか。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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