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ノニト・ドネア(40)が挑むWBCバンタム級タイトル空位決定戦

林壮一ノンフィクションライター
Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 本来なら7月15日に催される予定だったWBCバンタム級タイトル空位決定戦。ついに現地時間29日にゴングが鳴る。

 井上尚弥との2戦が記憶に新しいドネアだが、不惑にして戦うことへのモチベーションはまったく褪せない。今回は4冠統一ウエルター級タイトルマッチの前座とあって、注目度も高い。

 試合2日前の最終記者会見で、42勝(28KO)7敗のドネアは語った。

Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 「2022年6月7日の井上尚弥戦(2回KO負け)で、私は賭けに出ました。ボクシングは、勝つこともあれば負けることもあります。今回のファイトに臨むにあたって、自分がまだやれるということを証明しなければなりません。今、私は自分のため、己の実力を示すためにやっています。ボクシングを愛していますし、チャンスをもらえたことに、心からお礼を述べます。

 齢は重ねましたが、パワーアップしていますよ。感情のコントロールや経験値だけでなく、人間として成長した様をリングパフォーマンスに結び付けたいですね。

写真:ロイター/アフロ

 対戦相手には敬意を表します。彼は一度も倒れたことがないんですよね。でも、ノックアウトほど嬉しいものはありませんから、チャンスがあれば狙います。それをものにするのが私です。

 余計なことは考えません。私には4冠統一チャンプになるという大きな目標があります。自分のキャリアで唯一達成していないことなんですよ。沢山の賞賛を受けましたがね。目標があるからこそ、私はまだ戦い続けているのです」

Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 メキシコ・ティフアナ出身の27歳で、27勝(14KO)3敗5分の対戦相手のアレクサンドロ・サンチアゴも言った。

 「IBFスーパーフライ級タイトルを懸けて戦ったのは、2018年の9月。当時の俺は若かった。が、もう過去のことだ。ハードワークと規律、そして素晴らしいチームに恵まれたことで、成長出来た。今の俺は、あの頃よりもずっと成長している。世界チャンピオンになるためにここに来たんだよ。

 ノニトのことは尊敬している。でも、試合当日は世界中が俺の存在と実力を知ることになるさ。ファンを満足させるショーにするつもりだ。

 今、本当に燃えている。世界王者になるという夢を実現させたい。目的だけでなく、歩みが大事なんだ。ここに来るまでの道のりを楽しんできた。また、息子が2カ月前に生まれたので、このファイトを息子と家族に捧げたい」

Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 井上尚弥とのリターンマッチで、完膚なきまでに叩きのめされたドネア。あれから14カ月、敗北を受け入れ、再び世界タイトルマッチのリングに上がるまでには幾多の障壁を乗り越えたに違いない。

 ドネアの40歳の挑戦を、目に焼き付けたい。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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