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NBAファイナル第1戦で爆発した211cmのセンター

林壮一ノンフィクションライター
セルビア人であるニコラ・ヨキッチは、2014年のドラフトでコールされた(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ついに今季のNBAファイナルが始まった。西地区の覇者、デンバー・ナゲッツのホームで行われた第1戦は、フランチャイズの大声援を背に受けたナゲッツが、マイアミ・ヒートを104-93で下した。

 ナゲッツのエース、ニコラ・ヨキッチは27得点、10リバウンド、14アシストの大暴れ。同チームがNBAファイナルに進出するのは初めてのことで、その力強さにファンは酔いしれた。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 デンバーのファンは、長年、恋焦がれていた地で初日にトルプリダブルをマークしたセルビア人センターの名を、生涯忘れることはないだろう。ヨキッチは、NBA史上唯一、ファイナルのファーストゲームでトリプルダブルを達成した選手としてジェイソン・キッドと並ぶこととなった。

 そんなヨキッチのプレーが功を奏し、ナゲッツは序盤から主導権を握る。リズムを崩すことなく、3Qには24点もの差をつけた。

カナダ出身のマレーは、ケンタッキー大を経て2016年にNBA入りした
カナダ出身のマレーは、ケンタッキー大を経て2016年にNBA入りした写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 PGのジャマール・マレーも26得点、6リバウンド、10アシストをマーク。地区ファイナルの4試合で平均32.5得点している。鋭く戦況を見詰めながらゲームメイクする様は、躍動感に満ちている。

 マレーはドラフト7位でナゲッツに入ったが、ヨキッチは全体41位。つまり2巡目のコールだった。2人は共に、NBA入りしてからナゲッツ一筋でプレーしている。そんな主軸の活躍に、デンバーは狂喜乱舞した。

 一方のヒートは、やはりボストン・セルティックスとの7連戦の疲れが残っていた。3連勝後の3連敗。しかも、最終戦から中2日でファイナルに進んだのだから当然である。

ヒートのC、バム・アデバヨが26得点13リバウンドのダブルWと闘志を見せたが…
ヒートのC、バム・アデバヨが26得点13リバウンドのダブルWと闘志を見せたが…写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 206cmのセンター、バム・アデバヨが26得点、13リバウンド、5アシストと奮闘したが、チーム全体としてアウトサイドからのシュートが、なかなか決まらなかった。

 デンバーが放ったシュートは79、そのうち40本を決めた。対するマイアミは96分の39。この舞台で雑なプレーは通用しない。

東地区ファイナルは最終戦までもつれ込んだ
東地区ファイナルは最終戦までもつれ込んだ写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 先手を取ったデンバーが、このまま波に乗るか。あるいは東の王者が巻き返すか。今年も目が離せないファイナルだ。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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