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カタール大会は、メッシにとって最後のワールドカップとなるか? 今夜、第1戦

林壮一ノンフィクションライター
(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 実兄のピチは、あのディエゴ・マラドーナと共にワールドユース東京大会(1979年)で世界一となった右ウイング。息子は、アトレチコ・マルテ(エルサルバドル1部リーグ)所属のエスクデロ競飛王。

 自身は、元アルゼンチンユース代表&ビーチサッカーアルゼンチン代表であるセルヒオ・エスクデロ。

 2019年末から、川越市のフットサル場で自らスクールを始め、今日、埼玉県のジュニアユース、トリコロールFCのコーチとして指揮を執る彼が、祖国のスターについて語った。

撮影:筆者
撮影:筆者

 リオネル・メッシは、歴代のアルゼンチン代表のキャプテンの中でも優しいリーダーなんです。どうしたってマラドーナと比較されます。それは、選手としてのレベルが同じくらいだからです。つまり、世界一なんですね。

 メッシは、アルゼンチン代表として92ゴールしています。それは歴代の代表選手の中でナンバーワンです。因みにマラドーナは34なんですよ。それだけで優劣はつけられませんが。メッシはFKで15点以上挙げています。そんな選手はいません。

 ずっと代表として勝てなかったから、非難されてきましたが、2021年のコパ・アメリカでブラジルを下して優勝したので、国民の評価はぐっと上がりましたね。この勢いで、ワールドカップも制すればマラドーナと並ぶ、あるいは超える伝説になれるでしょうし、なってほしいです。

写真:ロイター/アフロ

 マラドーナというキャプテンはチームメイトに対して「ふざけるな馬鹿野郎! 君たちは頑張らないといけない!」といった口調で鼓舞していました。優勝した1986年のメキシコ・ワールドカップでイングランドと当たった時は「フォークランド紛争で、君たちの兄弟、親戚、仲間が殺されているだろう。これはただの試合じゃない。戦争だ。絶対に倒すぞ」と語って、チームに火を点けたんです。"神の手"もありましたが、その試合で5人抜きでしょう。もう、言動がLegendに相応しいんです。唯一無二の選手。

 マラドーナと肩を並べられる選手、超えられるかも…と期待できる選手は、メッシしかいないんですね。

1986年メキシコW杯を制したマラドーナ
1986年メキシコW杯を制したマラドーナ写真:アフロ

 メッシは、そういうタイプじゃありません。「僕も頑張るから、皆も頑張ろう」って、あまり大きくない言葉で告げる人。良いことは話すらしいですけれどね。

 やっぱり代表チームで92ゴールもしている人の言葉は、他の選手の胸にスッと入ってきますよね。それで36試合負けなしの記録が生まれました。チームとしてまとまっています。是非、カタール・ワールドカップで更に記録を積み上げて、優勝してほしいです。

 メッシの相棒である、アンヘル・ディ・マリアも今、かなり調子がいいですよ。最高のコンディションでカタールに入りました。何かやってくれそうです。

写真:ロイター/アフロ

 今、35歳のメッシにとって、最後のワールドカップになるだろうと話す人が多いですが、ブラジル代表のダニエウ・アウヴェスは39歳ですから、まだ出来るかもしれませんよ。僕は最後と思っていません。

 今回のアルゼンチンはチャンスです。最大のライバルはブラジルでしょう。尊敬しますし、怖い相手です。5回もワールドカップで優勝した国ですよ。ネイマールだけじゃない。全て素晴らしい選手です。決勝、せめて準決勝までは当たりたくないです。

 アルゼンチン代表の第1戦が近付いてきました。楽しみですね!

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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