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91歳のドン・キングが手掛けるクルーザー級ファイター

林壮一ノンフィクションライター
Don King Productions

 91歳のプロモーター、ドン・キングがWBCクルーザー級のシルバー王者、ノエル・ミカライアンとの契約を締結した。ミカライアンは32歳のドイツ人で、目下26勝(11KO)2敗。

 ミカライアンは語った。

 「伝説のプロモーターであり、真の開拓者でもあるドン・キングと仕事ができることを心から嬉しく感じる。彼は僕にとって最適な道を用意し、世界王座に就くという夢が実現する舞台を作ってくれるだろう。ワクワクしている」

1999年のドン・キング
1999年のドン・キング写真:ロイター/アフロ

 ドン・キングは毀誉褒貶のある男だが、ボクシング史に残る数々のビッグマッチを催してきたのも事実だ。もはや第一線からは退いたものの、こうして怪気炎を上げる姿は恐れ入る。

 「ミカライアンが倒せない選手など見当たらない」とキングの鼻息は荒い。現在WBCクルーザー級王座に就くイルンガ・マカブのプロモートもキングの社が担当する。

 「この2名は世界中のベストファイターだ。私の使命はファンに最高級の試合を提供すること。いずれ両者は戦うこととなるだろう」(ドン・キング)

四半世紀前のドン・キング
四半世紀前のドン・キング写真:ロイター/アフロ

 キングは井上尚弥がバンタム級を制したWBSSについて言及した。

 「ミカライアンはクルーザー級トーナメントで勝った筈だった。ジャッジの判断には納得がいかない。が、いつでもトップ選手であることを証明できる」

 2020年に終了したWBSSを持ち出すとは、キングが現場からかなり離れていることを示す。また、メキシコ、アカプルコで行われた先のWBC総会には、ドクターストップで出席がかなわなかった。

Don King Productions
Don King Productions

 91歳のキングは、今後どのような働きを見せるのか。全盛期の彼は多くのファイターを意のままに操り、搾取し、人生をボロボロにした。果たして、ミカライアンはいかなる扱いを受けるのか。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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